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栄養相談での声かけフレーズ〈初回の栄養相談〉


栄養相談を始めたころは、右も左もわからない状態で、患者さんにどのように話しかけたらいいのかわからないことが多々ありました。しかし、今では、声かけ1つで、栄養相談の結果や患者さんの受け答え方が変わることを日々実感しています。

私たち管理栄養士は、保険点数上、栄養相談で指導できる時間は限られているので、短い時間で結果を出す必要性あります。(それでも医師よりは患者さんと長く話せると思います。)

そのため、適切な声かけと、正しい知識(主にGLや食事摂取基準)が栄養相談で求められます。今回は、栄養相談での声かけに絞って、お話ししていきたいと思います!

閉ざされた質問と開かれた質問

声かけは、質問形式になることが多いですが、質問の方法には2種類あり、閉ざされた質問と、開かれた質問があります。

閉ざされた質問はyesまたはnoで答えられる質問です。閉ざされた質問のメリットとしては、簡単に答えられるという性質があるため、信頼関係が構築していない場合や、無関心期の患者さんにも答えやすいというメリットがあります。患者さんによっては、閉ざされた質問から話を広げてくださる方もいらっしゃいます。

開かれた質問には、yesまたはnoで答えられない質問が該当します。
例えば、昨日の夕ご飯は何を食べましたか?という質問です。「カレーです」と答える人もいれば、「カレーです。近所に食べログ100名店があって、1時間も並んで食べたんですよ。」とこちらが求めた情報以上に答えてくれる人もいるでしょう。相手の関係性によって、たくさん話してくれる方もいれば、知らない方にはあまり話したくないと思う方もいるかもしれません。特に、無関心期の方の場合は、あまり話をしてくれない方が多い印象です。開かれた質問のメリットは沢山の情報を得られる可能性が高いですが、開かれた質問が続くことで、質問攻めにされているような印象を受けて、疲れてしまう方もいらっしゃいます。

そのため、相手の反応を見ながら、閉ざされた質問と開かれた質問を組み合わせ、相手の気持ちを引き出しながら、時には共感をすることで会話を円滑に進めます。

具体的な声かけのフレーズ

・先日受けられた健診結果で血糖値が高かったのですね(閉ざされた質問)

・今回は先生に栄養相談を勧められて来て下さったのですか(閉ざされた質問)

・今回の検査結果で一番気になる数値はありますか(開かれた質問)

・今回の結果を聞いて、どのような気持ちでしたか(開かれた質問)

・今回の検査結果に、心当たりはありますか(閉ざされた質問)

・身内に糖尿病の方はいらっしゃいますか?(閉ざされた質問)

・先月の採血で急に血糖値が上がってしまったのですね(閉ざされた質問)

・糖尿病と聞いて、どのようなイメージがありますか(開かれた質問)

・今回の結果をご家族にもお話しされていますか(閉ざされた質問)

・今回の検査結果を聞いてから、既に何か行動されたことはありますか(開かれた質問)

・行動を起こす前は、どのようなお食事を召し上がっていましたか(開かれた質問)

・日頃からお食事で気を付けていることはありますか(開かれた質問)

・バランスの良いお食事はどんなお食事をイメージしますか(開かれた質問)

・本当はこのようにやりたいけど、できていないことはありますか(開かれた質問)

・(身長体重がわからない場合は、)身長と体重を伺っても良いでしょうか(開かれた質問)

・ここ数年で体重の変化はございますか(閉ざされた質問)

・体重に関して、痩せたい、維持したいなどの希望はありますか(開かれた質問)

・減量する場合、何kgまで減量したいですか(開かれた質問)

・栄養相談を受けるにあたって、〇〇さんの生活を少し変える必要があるのですが、今から食事療法に関してお話ししてもよろしいでしょうか(閉ざされた質問)

・生活習慣病を治療する上で、食事療法、運動療法、薬物療法の3つがありますが、〇〇さんはどの治療方法を取り組んでいきたいですか(開かれた質問)

・お一人暮らしですか(閉ざされた質問)

・お仕事はされていますか(閉ざされた質問)

・お仕事は外回りですか、デスクワークですか(閉ざされた質問)

・ウォーキングなどの運動は何か取り組まれていますか(閉ざされた質問)

・朝昼夕のお食事の時間を伺っても良いですか

・朝昼夕のお食事の内容を伺っても良いですか

・就寝時間と起床時間を教えてください

・先に聞いておきたいことや、お食事で困っていることはありますか

上記のように患者さんの知識量や、行動変容ステージ、目指す数値、減量などによって、質問を織り交ぜていきます。全て質問しなくても、患者さん自ら話してくれることもありますし、時間の関係で次回に質問しても良いこともあります。

患者さんのライフプランをそれとなく聞き出す

>今回の検査結果で一番気になる数値はありますか
>糖尿病と聞いて、どのようなイメージがありますか
>日頃からお食事で気を付けていることはありますか
>先に聞いておきたいことや、お食事で困っていることはありますか

とくに上記の4つの質問は、患者さんの本音が垣間見えることが多いです。

患者さんがどんな人生を送りたいか?
いままでどんな人生を送ってきたのか?
人生の生い立ちを知るくらいの勢いで、その方に寄り添うことができると
とても栄養相談がスムーズになります。

>先に聞いておきたいことや、お食事で困っていることはありますか
と聞いたときに、お酒は飲んでもいいですかと質問されたことがありました。
その質問から、患者さんにとってお酒が人生においてとても大事ということが伺えます。

その方の栄養相談の行動目標を決めるときに、お酒を細く長く飲むために
お食事を頑張りたいですとご本人の口から言ってもらえると、とてもスムーズに栄養相談が進みます。

もしかしたらそれは、患者さん自身はなんとなく思っていたことでも
声にだすことでより現実味が増すことがあります。
そして、当たり前のことでも声に出すことはとても重要です。

お互いどこを目指して栄養相談をしていくのが決まると、方向性を見失わないで済みます。例えば、患者さん自身はHbA1c8%で良いと思っているけど、
合併症のリスクから7%以下にした方がいい場合は、
目標のHbA1cについてや、合併症について説明する必要性が出てきます。

そして、どうしてこのかたは血糖値を下げようとしないだろう?と管理栄養士が空回りしているだけで、患者さんがHbA1c8%が高いと思っていない=知識を得れば正しい行動に結びつくことがあります。なので、患者さんの知識の立ち位置を知るためにも、患者さんへ質問することはとても大事です!

逆もあり、例えば高齢でADLが低下していて、当時と違ってインスリンを打っているけど
10年前に言われた通りHbA1c7%以下を目指そうとしている方がいた場合は、
HbA1c8%でも問題ない可能性があります。
※詳しくは高齢者糖尿病の血糖コントロール目標を参照


また、初回の栄養相談で70kgだった人が、半年で65kgを目指す目標を立てたけど、
2回目の栄養相談でそのことを忘れていた、ということもしばしばあるので、
「前回の栄養相談で半年で65kgを目指すと仰っていましたね」と
声かけをすることで、お互いが何を目的で栄養相談をしているのかがはっきりわかります。

そのため、初回の栄養相談でアセスメントに失敗しないためにも、
声かけはとても重要です!

まとめ

声かけの引き出すを増やすことで、臨機応変に会話をすることができます!
今回挙げた声かけ以外にもまだまだたくさんあると思います!思い出し次第、追加していきたいです。

思ったよりも初回の質問だけでボリュームが多くなってしまったため、
2回目以降の声かけは、次の記事にまとめたいと思います!

栄養相談、特定保健指導等に悩んでいる管理栄養士の方に、
少しでも参考になれば幸いです。
よろしくおねがいします~

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