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SNSを使った自立支援について

自立支援で大切なのは内的動機です。

リハビリ効果を高めるためには北風のように,無理やり風で服を脱がせようとするのではなく(外的動機)、旅人を太陽が温めて自ら服を脱いでもらったように内的動機が必要です。では利用者の内的動機を引き出すにはどうすればよいでしょうか?

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みなさんはアブラハム・マズローの5段階欲求説をご存じでしょうか?
人間の「欲求」には5つの段階があるとする心理学理論で、「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求(所属と愛の欲求)」「承認欲求」「自己実現の欲求」の5段階があります。そして、これら5つの欲求にはピラミッド状の序列があり、低次の欲求が満たされるごとに、もう1つ上の欲求をもつようになるというものです。

もし仮に自分がなんらかの事故に巻き込まれ無人島に流れ着いたとします。
映画のようなシチュエーションですが、もし自分が無人島で一人で生きていくとなるとまずは何をするでしょうか?

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皆さんが、まず一番最初に思い浮かべるのが水と食料の確保だと思います。多少の危険があったとしてもそのままでは脱水症状で死んでしまいますので、危険を帰りみず食料と水を確保するのではないでしょうか?つまりまずは命を守るために生理的欲求を満たそうとします。
もし水と食料を何とか集め、飢え死にすることがなくなったとします。すると次は何をもとめますか?蛇や虫などの毒虫や危険な野生の動物がいないか?夜は寒くないか?と身の安全を確保すると思います。それが安全の欲求です。

その後、水も食料も安全な住居も確保できたとします。そうしたらあなたはその場所でずっと暮らしていきますか?自分の好きなコトをやってのんびり暮らしますか???


やはりほとんどの人は無人島から脱出しようとすると思います。

それは集団欲求があるからです。集団に属し、なおかつその集団で承認されなければ自分のしたいことができないからです。
もし、素晴らしい才能をもっている人がいたとしても、その人が所属している組織で孤立していて、承認されず自分に価値が無いと思っているとしたら、その人の才能が発揮されることはありません。
 またそもそもコミュニティがなければ、ただ食べるだけで精一杯になり、物を売る人、音楽家、本を書く人など多様な生き方をすることはできません。

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 私たちはつい自立支援という言葉を聞くとその人のしたいことを表面的にとらえ、自己実現にむけて昔好きだったからと言って料理の手伝いをしてもらったり、洗濯やお掃除を手伝ってもらったりします。
 しかし、まずはその料理を作るためのコミュニティが無ければ単なる作業となってしまいます。だから、このコミュニティをあなどってはいけません。利用者と職員の、利用者同士の会話が多い事や、あいさつや感謝の言葉が多いというのは、それだけで利用者の内的動機となり自立支援になるということです。つまり、自立支援の基本はコミュニティ作りです。
 取り組みにより以前よりも会話が増える、挨拶が増える、感謝の言葉が増えるなどコミュニティの活性化を目的にした計画を企画するのが大切です。

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思い出の食事からわかるコミュニティの大切さ
 自立支援の基本はコミュニティ作りという事を確信したエピソードがあります。
これは、握りずしの調理レクレーションの様子です。ある利用者に思い出の食事についてお話を聞いた所、昔親戚が集まった際に握りずしを握ってそれをみんなで食べたのがおいしかったという思い出を話されました。私はその話を聞いてにぎやかな雰囲気で親戚があつまって楽しく食事をされる風景が目に浮かびました。
 普段からコルセットをつけなければベッド上で座位姿勢をとる事ができず、車いすに座ることもできない方ですが、「皆さんが食べる握りずしを握ってくださいませんか」とお声かけすると、ベッドで体を起こして本当に楽しそうに握りずしを握ってもらう事ができました。

 それをみんなに食べてもらい喜んでいる様子を職員が、逐一関わりの際にお伝えするようにしました。配膳の時、お茶をお替りする時、料理の感想を聞く時や、お寿司のお替りを勧める時に都度、「皆さん本当に喜んでいますよ。」「楽しく食べておられますよ。」とみんなが喜んでおられる様子をお伝えしました。自分で作った握り寿司を食べた満足以上の満足を感じてもらえたと思います。


このことから、利用者のニーズは握りずしを握るではなく、自分の握った握り寿司を自分の大切な人や親せきに振る舞いたいであり、他の利用者が喜んでいたという事を伝える事で握りずしを握るという作業から意味のある活動となりました。そういったエピソードを職員が共有し理解することで、今後はより利用者のニーズにあった食事サービスの提供ができると実感した出来事でした。


そしてSNSで発信することでご家族様や親せきの方にも見て頂く事ができ、「昔お母さんは親戚が集まるときよく握りずしを握ってくれたな~」という思い出と変わらないお母さんを見て喜ばれたりするわけですね。それによって利用者と職員だけでなく、利用者とご家族の会話が生まれます。
SNSを使えば施設内のコミュニティからご家族、親戚、地域とのコミュニティへと広げていけると感じています。

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