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【Wine ワイン】2019 Mezzacorona Chardonnay
シンプルクリーン北イタリア!
楽天
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■Producer (生産者)
⁃ Mezzacorona
■Country / Region (生産国 / 地域)
⁃ Trentino-Alto Adige
■Variety (葡萄品種)
⁃ 100% Chardonnay
■Pairing (ペアリング)
⁃ Risotto con le Mele リゾット・コン・レ・メーレ(リンゴ入りリゾット)
Trentino-Alto Adigeトレンティーノ・アルト・アディジェ州
■プロフィール
イタリアで最も北に位置するトレンティーノ・アルト・アディジェ州は、北はオーストリア、スイスと国境を接し、西はロンバルディア州、東はヴェネト州に接している。北のボルツァーノ自治県がドイツ語圏のアルト・アディジェ地方で、南のトレント自治県がイタリア語圏のトレンティーノ地方である。両県とも自治県で、幅広い権限を持っている。アルト・アディジェでは、道路標識、ワインのラベルなどすべてドイツ語、イタリア語併記である。州の真ん中を北から南にアディジェ川が流れ、その両側には世界遺産ドロミーティ山塊が連なっている。アルト・アディジェは、イタリアを代表する白ワイン産地だ。気候、土壌、標高に応じて多数の品種が植えられているが、白ワインはすべて清らかな酸を持ち、香り高く、クリーンかつフレッシュな味わいで、抜群の安定感を誇る。ピノ・ビアンコ、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランなども素晴らしいが、ケルナー、シルヴァナー、リースリング、ゲヴュルツトラミネルなどのアロマティック品種のものも卓越している。量は多くないがヴェンデンミア・タルディーヴァ(遅摘み)などの甘ロワインも素晴らしい。赤ワインではデリケートなデイリーワインを生むスキアーヴァ品種と、濃厚な果実味を持つラグレインが重要だ。生産者協同組合の造るワインの品質が高いのもアルト・アディジェの特色である。サンミケーレ・アッラディジェ農業学校はブドウ栽培、醸造の研究で知られていて、多くの優れた研究者や醸造家を輩出している。トレンティーノで近年成長が著しいのが、瓶内二次発酵によるスパークリングワインのTrento トレントである。シャルドネを中心に造られるトレントは、鮮やかなアロマと、ミネラル分に富んだ味わいを持つ。フランチャコルタと並んで、イタリアの瓶内二次発酵スパークリングワインを代表する呼称であるが、果実中心のフランチャコルタ、ミネラル中心のトレントとその個性は対照的だ。白ワインにも優れたものが多く、ミュラートゥルガウ、ピノ・グリージョ、シャルドネの出来が特に良い。赤ワインでは繊細なマルツェミーノ、濃厚な果実を持つテロルデゴが注目に値する。生産量は非常に少ないが、ノジオーラで造られるヴィーノ・サントは繊細かつ優美な味わい。トレンティーノには規模の大きい生産協同組合が多く、質の高いワインを生産する。
■歴史
南北を結ぶ交通の要所としてローマ時代から栄えたトレントは、中世以降聖俗両方の権力を行使するトレント可教公により統治された。宗教改革に対抗するために開かれたトレント公会議(1545年〜1563年)は有名である。その後、ナポレオンの支配を経て、ハプスブルグ領となった。チロル公国からハプスプルグへと引き継がれていたアルト・アディジェがトレンティーノとともにイタリア王国領となったのは、第1次世界大戦後である。この併合はアルト・アディジェのオーストリア系住民には受け入れがたく、戦後に至るまで根強い抵抗が行われた。その後、自治州としての手厚い保護により、不満は収まり、テロも影をひそめたが、アルト・アディジェの住民は頑固に自分たちの文化を守っている。
■文化
「ドイツ人以上にドイツ的」と言われるアルト・アディジェの住民は非常に伝統を重視し、勤勉であるが、イタリア人によると「融通が利かない」とされる。非常に凡帳面な人たちである。トレンティーノの住民も、勤勉で、控えめな人が多い。
■経済
農業、商業も盛んだが、観光業が非常に重要である。戦後は自治県として多くの優遇が与えられていることもあり、住民一人あたりの所得は高く、生活の質が高いことでも知られている。
■気候風土
南北に連なるドロミーティ山塊は3,000mを超す峰々が続く。州の面積は13,607k㎡だが、ほとんどが山岳地帯で、森林が土地の70%以上を占め、耕作可能な土地は少ない。ブドウ畑は標高200〜1,300mに広がっているので、それぞれの標高に適した品種を栽培することができる。ドロミーティは石灰質の苦灰石で、ミネラル分に富んだ、フレッシュなワインを生む。アディジェ川沿いは沖積土壌、氷堆石土壊である。
トレンティーノの南にはガルダ湖があり、この辺りは温暖な亜地中海性気候でオリーヴ、糸杉なども見られる。アディジェ川中部の渓谷は、亜大陸性気候で、雨が少なく、リンゴの栽培で有名だ。さらに上流に行くと大陸性気候になり、もっと北ではアルプス性気候となる。
■ワイン生産量
ワイン生産量は1,282.710hℓ(2018年)、ブドウ栽培面積が15,045ha(2018年)。白ワインが72%。
■主要ブドウ品種
[白ブドウ]
Pinot Bianco ピノ・ビアンコ
⁃ フラワリーなアロマを持つ、優美な白ワインを生む。
Pinot Grigio ピノ・グリージョ
⁃ 果皮は薄い紫がかった灰色。白醸造するとフルーティーで、ボディのしっかりとした白ワインとなり、世界的成功を収めている。
Chardonnay シャルドネ
⁃ トレンティーノ・アルト・アディジェ州でも広く栽培されている。
Müller Thurgau ミュラー・トウルガウ
⁃ トレンティーノ・アルト・アディジェではデリケートなアロマを持つフレッシュな白ワインを生む。
Traminer Aromatico トラミネール・アロマティコ
⁃ バラ、ライチ、トロピカルフルーツのアロマを持つ華やかな白ワインを生む。味わいはやわらかく、アルコール度数が高い。トレンティーノ・アルト・アディジェのものは非常に人気が高い。
Nosiola ノジオーラ
⁃ トレンティーノ地方で栽培されている珍しい固有の白ブドウ。軽めのフレッシュな白ワインを生む。陰干しされヴィーノサントに使わることが多い。
[黒ブドウ]
Schiava スキアーヴァ
⁃ アルト・アディジェ地方の固有黒ブドウ。第1次世界大戦までは幅広く栽培されていたが、今は減ってきている。デリケートで軽めの優美な赤ワインを生む。
Lagrein ラグレイン
⁃ アルト・アディジェ地方の固有黒ブドウで、主にボルツァーノ周辺で栽培されている。濃厚な色で、プラムなどの深い香りを持ち、ややスパイシーで力強いワインを生む。ロゼワインにも適している。
Teroldego テロルデゴ
⁃ トレンティーノ地方の固有黒ブドウで、ロタリアーノ平野のものが知られている。色が濃く、フルーティーで、タンニンは強くないが、酸がしっかりした赤ワインを生む。
Marzemino マルフェミーノ
⁃ 主にトレンティーノ地方南部で栽培されている固有の黒ブドウ。フラワリーなアロマを持つデリケートな赤ワインを生む。モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」に登場することでも知られる。
Pinot Nero ピノ・ネーロ
⁃ トレンティーノ・アルト・アディジェ州で優美な赤ワインを生む。
■北部
■Alto Adige アルトアディジェ地方
■土壌
石灰土壌、火山性土壌が混ざる。
■気候
アルプスに近いので冷涼な気候であるが、昼は温度がかなり高くなる。特にボルツァーノ盆地は夏は非常に温度が上がる。
■主要ブドウ品種
[白ブドウ]
⁃ Chardonnay シャルドネ
⁃ Pinot Bianco ピノ・ビアンコ
⁃ Pinot Grigio
⁃ Müller Thurgau
⁃ Riesling リースリング
⁃ Traminer Aromatico トラミネール・アロマティコ
⁃ Moscato Giallo モスカート・ジャッロ
⁃ Kerner ケルナー
⁃ Sylvaner シルヴァーナー
[黒ブドウ]
⁃ Schiava スキアーヴァ
⁃ Lagrein ラグレイン
⁃ Pinot Nero ピノ・ネッロ
⁃ Cabernet Sauvignon カベルネ・ソーヴィニヨン
⁃ Merlot メルロ
■地方料理と食材
[スープ]
⁃ Leberknödelsuppe レーバークネーデルズッペ(仔牛のレバーを入れたパンの団子を浮かべたスープ。ベーコン、ハム、玉子などを混ぜたパン団子は、アルト・アディジェではKnödel、トレンティーノではCanederli カネデルリと呼ばれて、スープに入れて食べられることが多い)
[魚料理]
⁃ Forelle Blau フォレッレ・ブラウ(クール・ブイヨンで煮たアルプスの鱒)
[チーズ]
⁃ Stelvio ステルヴィオ(D.O.P.、牛乳、非加熱圧搾)
■主要なD.O.P.(D.O.C.)ワイン
Alto Adige アルト・アディジェ
⁃ D.O.C.アルトアディジェの中では大きなテロワールの違いがある。ボルツァーノからブレッサノーネにかけて北東へ延びるイサルコ谷は、標高も高く、気候が冷涼である。ここではミュラー・トゥルガウ、シルヴァナー、ケルナーなどのドイツ系アロマティック品種の白ワインが、清冽な味わいで素晴らしい。ボルツァーノからメラーノにかけて北西に伸びるヴェノスタ谷のほうでは、リースリング、ピノ・ネーロに興味深いものが多い。ボルツァーノの北西にあるテルラーノでは、火山性土壌と石灰質土壌が混ざり、ミネラル分の強い長期熟成能力を持つ偉大な白ワインが造られている。洗練された味わいのピノ・ビアンコ、シャープな味わいのソーヴィニヨン・ブラン、調和の取れたシャルドネなど、どれも卓越している。ボルツァーノ周辺は昔から赤ワイン産地として有名で、スキアーヴァ品種によるデリケートな赤ワインが多く造られてきたが、近年はLagrein ラグレインの産地としても注目されている。ラグレインは濃厚な果実味を持つ品種で、近代的な赤ワインも造られているが、エレガントなロゼも親しまれている。冷涼なトーンを持つカベルネ・ソーヴィニヨンも魅力的な個性を持つ。ボルツァーノの南にあるカルダーロ湖周辺ではスキアーヴァが有名だが、フレッシュで優しい味わいを持つ高品質な白ワインも造られている。カルダーロ湖の南にあるテルメーノの村では、ゲヴュルツトラミネルが有名だ。テルメーノのドイツ語読みがTraminトラミンなので、地元の人はゲヴュルツトラミネルはここが原産と主張しているが、証明されてはいない。
■南部
■Trentino トレンティーノ地方
■土壌
アディジェ川沿いは沖積土壌、丘陵は苦灰岩、石灰岩、斑岩の土壌。
■気候
ドロミーテ山塊の影響で冷涼な気候だが、昼は温度が高くなる。ガルダ湖の影響も受ける。
■主要ブドウ品種
[白ブドウ]
⁃ Nosiola ノジオーラ
⁃ Chardonnay シャルドネ
⁃ Pinot Bianco ピノ・ビアンコ
⁃ Pinot Grigio ピノ・グリージョ
⁃ Riesling リースリング
⁃ Müller Thurgau ミュラー・トゥルガウ
⁃ Traminer Aromatico トラミネール・アロマティコ
⁃ Moscato Giallo モスカート・ジャッロ
[黒ブドウ]
⁃ Teroldego テロルデゴ
⁃ Marzemino マルツェミノ
⁃ Pinot Nero ピノ・ネーロ
⁃ Cabernet Sauvignon カベルネ・ソーヴィニヨン
⁃ Merlot メルロ
■地方料理と食材
[リゾット]
⁃ Risotto con le Mele リゾット・コン・レ・メーレ(リンゴ入りリゾット)
[肉料理]
⁃ Maiale alla Trentina マイアーレ・アッラ・トレンティーナ(豚肉とリンゴのロースト)
[その他]
⁃ Strüdel ストゥルデル(リンゴ、干しブドウ、松の実をロールにした焼き薬子)
[チーズ]
⁃ Trentingrana トレンティングラナ(D.O.P.、牛乳、加熱圧搾、グラナ・パダーノD.O.P.でも山岳地帯のトレント産は別格)
⁃ Spressa delle Giudicarie スプレッサ・デッレ・ジュディカリェ(D.O.P.、牛乳、加熱圧搾、低脂肪)
■主要なD.O.P.(D.O.C.)ワイン
Trento トレント
⁃ イタリアを代表する瓶内二次発酵スパークリングワイン。ほとんどの場合標高350m以上の畑でブドウが栽培されるため、フレッシュさを保持したスパークリングワインが造られる。
Teroldego Rotaliano テロルデゴ・ロタリアーノ
⁃ トレント市の北にあるロタリアーノ平野では、テロルデゴが栽培されている。ちょっと荒々しい野生的な果実を持つテロルデゴは、1980年代末から90年代初頭にかけて大いに注目を浴び、ブームとなったが、その後、再び地元消費が中心となっている。
Trentino トレンティーノ
⁃ 多くの品種を含む幅広いD.O.C.。トレントの北のラヴィス村から東に延びるチェンブラ渓谷は、斑岩土壌で、ミュラー・トゥルガウ、ノジオーラにとって最高のテロワールである。ほのかにアロマティックで、フレッシュな酸を持つミュラー・トゥルガウはトレンティーノならではの白ワインで、食前酒にも適している。ロヴェレートの町の周辺に広がるラガリーナ渓谷はマルツェミーノの産地だ。モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」のアリアでも有名なこの赤ワインは、過去に高い名声を誇っていた。繊細な果実のトーンがあるフレッシュな赤ワインで、軽やかで喜ばしい。トレントの西にある「湖の谷」と呼ばれる渓谷では、ノジオーラを陰干ししてヴィーノ・サントが造られている。トスカーナのヴィンサントと比べると、酸化熟成香が控えめで、よりデリケートで繊細な味わいである。「湖の谷」地方は、蒸留でも有名で、一家に一台蒸留器があると言われるほどである
■Trentino-Alto Adigeトレンティーノ-アルト・アディジェ州の食とワイン
「君知るや、レモンの花咲く南の地」とゲーテが憧れた、イタリアの入り口の州である。100%が山岳地帯にあり、トレンティーノとアルト・アディジェという2つの地名をつなぎ合わせて1つの州としている。山の地域の多くは、交通の便が悪いため孤立した独自の食文化を築くものだが、ゲーテが通った道があるように、アルト・アディジェは北方との通路であり、第二次世界大戦前までの支配国オーストリアにとっては、国の南端の地であった。そのためイタリアからはアルト・アディジェ(アディジェ川の上流)と呼ばれているが、オーストリア側からは南チロルと呼ばれている。言語もドイツ語、食の面からもキャベツで作られたクラウティ(サワークラウト)、ビールなどオーストリアと共通しているものがたくさんある地域だ。トレンティーノは、州都「トレントの」という意味で、言語はイタリア語、ヴェネトの影響を受けている。しかし両方とも山の食文化であることに変わりなく、ジャガイモなどのように保存のきく食材が繰り返し使われている。嬢煙をかけた加工肉が多いのは、生活に不可欠な暖炉の煙の利用からである。塩を少しでも節約するためだが、その結果独自の魅力的な食材が生まれた。
トレンティーノ-アルト・アディジェのブドウ品種
[トラミネル・アロマティコ]
トレンティーノ-アルト・アディジェ州、フリウリ-ヴェネツィア・ジューリア州で栽培される。果皮は赤褐色を帯びた灰色。ゲヴュルツトラミネルの名で広く知られているこの種の起源は、アルト・アディジェのトラミンであるとの一説がある。またハプスブルク帝国時代に持ち込まれたという一説もある。ただ1000年頃の書簡にトラミネルの記述がある。アルト・アディジェにおいてスキアーヴァが主役の座を奪う16世紀まではポビュラーな品種だった。
[スキアーヴァ]
トレンティーノ-アルト・アディジェ州、他北部2州で栽培される黒ブドウ。アルトアディジェで栽培される「ジェンティーレ」、「グリージャ」、「グロッサ」と、トレンティーノ、ヴェネト州、ロンバルディア州で栽培される「ネーラ」の2つのタイプに大別され、DNAも異なる。アルト・アディジェが原産であるとする説もあるが、他から持ち込まれたとの説もある。アルト・アディジェがオーストリア本国の一部だった時代は、そこがオーストリア最南端であり、赤ワイン用ブドウ栽培に向いている地とされ、スキアーヴァはポピュラーな赤ワイン用ブドウとして広く栽培された。イタリアに編入されてからは、逆に最北の地となったことで、白ブドウ生産のために多くのスキアーヴァは引き抜かれた。
[テロルデゴ]
トレンティーノ-アルト・アディジェ州で栽培される黒ブドウ。マルツェミーノと類似関係にあると言われているが、起源はおそらく小アジア(アナトリア)と思われる。ヴェローナに残る古代の文書に、ヴェローナよりアディジェ深谷に、桑の木とともに移民の手で運ばれた、との記載がある。名前の由来は、ゲルマン語の* Gold”とチロルを意味する“ Tirolo "が接合され、語形、音韻を変化させ、最終的にTeroldego"となった。18世紀末には、オーストリア、ドイツ、スイスで人気の高いワインとなった。
[ラグレイン]
トレンティーノ-アルト・アディジェ州で栽培される黒ブドウ。紀元前3〜4世紀頃、ギリシャ人がイオニア海沿岸からイタリアに上陸し、南イタリアを中心に植民地化したが、そのひとつの“ Lagara "と呼ばれる集団が* Lagaritanos”と呼ばれるワインを造っていた。これがLagreinから造られたものであろうと推測されている。また近年、ギリシャやアルバニアの品種と同系遺伝子型だと判明したことからも裏付けられる。1097年、ボルツァーノ近郊のムリグリエス修道院で裁培されていたという記録が残されている。
参考文献:「土着品種で知るイタリアワイン」(中川原まゆみ著/ガイアブックス)
■リンゴを使ってドルチェにも
Sturudel di Crne ストゥルーデル・ディ・カルネ
(肉のストウルーデル)
ストゥルーデルはリンゴを使ったドルチェが有名だが、こちらは同じ調理法で肉を使ったセコンドピアットだ。ポイントは生地を層にして、サクッと仕上げている事。最近は出来上がったパイ生地を使うことが多いが、本来はこのリチェッタのような作り方、つまり生地をよくこねて弾力をつけ、透けるように薄く伸ばしてから、その間にチーズなどを入れて層を作った物である。生地を層にするという調理法は、イタリアには昔からあり、ラードを使ったリグーリアの「復活祭のトルタ」やカンパーニアの「スフォリアテッラ」などがよく知られている。
作り方
小麦粉、バター、卵、砂糖、塩、ぬるま湯で生地を作り、寝かせる。ローストした豚肉の小角切り、リンゴ、松の実、スーゴ・ディ・カルネ、おろしたライ麦パン、グラーナ・パダーノを合わせ、味をなじませる。薄く伸ばした生地の表面に、グラーナ。パダーノ、パン粉、溶かしバターを散らして、詰め物を巻き込んでから、200度のオーブンで焼く。
■国境を越えたチロル料理
Canederli tirolesi カネーデルリ・ティロレーズィ(南チロル風力ネーデルリ)
国境をはさんだオーストリア側のクネーデルと同じ料理で、名前もよく似ている。ともにアルプスの山中であり、食生活の基本が酪農と肉加工にあるという条件から自然に同じ料理が分布したのだろう。バター、牛乳、スペックを使っていることからも読み取れる。忘れてならないのは、パンの存在である。カトリックの人々にとって、パンはキリストの肉であり、聖なるものである。固くなっても無駄にすることなど考えられず、各地にパンを使った料理が発達した。パン粉やパンのサラダ「パンツァネッラ」、スープ「パンコット」などがそれである。
作り方
ボウルに、刻んだパン、バターで妙めたタマネギのみじん切り、スペックのみじん切り、刻んだシブレット、ソバ粉、卵、塩、コショウ、グラーナ・パダーノ、温めた牛乳を加え、柔らかくしたバターを入れて全体をよく混ぜ合わせる。固さは牛乳で調節する。生地を直径5センチほどの団子状にし、塩をした湯で茄でてから、鶏のブロードを注ぐ。
■地ビールを使った郷土料理
Spalla di maiale alla salsa di birra スパッラ・ディ・マイアーレ・アッラ・サルサ・ディ・ビッライタリアでもドイツ文化に影響を受けている地域には、伝統的にビールがある。豚肉はイタリア全土に分布しているが、特にアルプスの山の中では冬を乗り切るための重要な食材であり、中でもエネルギーを与えてくれる脂が重視される。使われている食材の中で、トマトペーストだけ土地のものではないが、これは最近になって流通が発達してから取り入れられた物だろう。調理方法の面から、アルプス独特の薪を使ったコンロの存在も忘れてはならない。一つのコンロに、プレート、湯を沸かす部分、オーブン機能が備え付けられた便利なものである。
作り方
鍋にバターを溶かし、ニンジンのぶつ切りと等分に切ったタマネギを妙める。クミン、トマトペースト、ローリエを加えてから、塩、コショウしたスペベアリブの塊の表面に焼き色を付ける。スペックの皮を入れ、ラガービールと鶏のブロードを半量ずつ注いで、180度のオーブンに、蓋をせずに3時間ほど入れる。汁を渡してから、切り分けた肉にかける。
参考資料 日本ソムリエ協会教本、隔月刊誌Sommelier
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