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【Wine ワイン】2020 Adega de Moncao Escolha


最近注目の白ヴィーニョ・ヴェルデ、

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■Producer (生産者)
⁃ Adega de Moncao 

■Country / Region (生産国 / 地域)
⁃ Vinho Verde / Minho / Portugal

■Variety (葡萄品種)
⁃ Alvarinho 
⁃ Trajadura

■Pairing (ペアリング) 
⁃ Caldo Verde カルド・ヴェルデ(刻んだケールとスモークソーセージのスープ)

■ Production area overview(生産地概要)
⁃ portugal


北部
Minho ミーニョ
Transmontano トランスモンターノ
Duriense デュリエンセ

中部
Terras de Cister テラス・デ・システル
Terras do Dāo テラス・ド・ダン
Beira Atlántico ベイラ・アトランティコ
Terras da Beira テラス・ダ・ベイラ
Lisboa リスボン
Tejo テージョ

南部
Península de Setúbal ペニンシュラ・デ・セトゥーバル
Alentejano アレンテジャーノ
Algarve アルガルヴェ

諸島
Terras Madeirenses テラス・マデイレンセスAcores アソーレス



■プロフィール
 ポルトガルにはユネスコの世界遺産に登録された文化遺産が14件、自然遺産が1件ある。主要産業はオリーブ、小麦、ワイン、コルク等に代表される農業で、特にコルクはポルトガルの主要な輸出製品の一つである。ポルトガルでは世界のコルクの約半分が生産されており15,000人以上がこの産業に従事している。世界最大のコルクメーカーであるアモリン社(Amorin)は、コルク臭の原因となるTCAのリスクを取り除いたコルクを開発するなど技術的な面においても世界を代表するコルクメーカーの一つとして知られる。また、繊維工業や観光、水産業も盛んで、特に鰯(いわし)は有名である。ポルトガルは一人当たりの魚介消費量が日本に次ぐ世界6位。また、一人当たりの米の消費量はヨーロッパ最多である。この数字からも日本と似た食文化を持つ国であると言える。2018年の国民一人当たりのワイン消費量は62ℓで世界最多を誇る。
 イベリア半島西端に位置し、スペインと国境を接するこの国は、国土が約92,000km²で日本の約1/4、人口は約1,050万人で日本の約1/10と比較的小さな共和制国家であるが、250種を超える固有の品種やテロワールの違いにより、個性豊かでバラエティーに富んだ様々なワインが生産される。また、酒精強化ワインの銘産地として歴史的に名声を築いてきた産地で、ポートとマデイラはスペインのシェリーと共に世界3大酒精強化ワインと称されている。
 ワイン生産量は全体で6,061,243hℓ、D.O.P. スティルワインでは2,349,993hℓ、D.O.P. 酒精強化ワインでは890,634hℓである。ワイン全体での比率は白が33.2%、ロゼが6%、赤が60.8%を占める(Vinhos e Aguardentes de Portugal、Anuário 2018/2019による)。2019年は涼しく、雨のない夏で、全般的にとても良いヴィンテージとなった。



■歴史
 ポルトガルワインの歴史は紀元前600〜500年頃フェニキア人によって始まった。その後、ローマ帝国の属国としてワイン造りが広がるが、8世紀から11世紀までイスラムに支配されたことによりワイン造りは停滞する。イベリア半島でレコンキスタが始まった後、1096年にポルトゥカーレ伯領とコインプラ伯領が統合したことにより現在のボルトガルの原型が生まれた。カスティーリャ王国との戦いの後、ローマ教皇の裁定によってサモラ条約が結ばれ、1143年カスティーリャ王国の宗主下でポルトガル王国が誕生した。この頃からポルトガルワインはイギリスに輸出されていた。
 その後1297年にヨーロッパ最古の国境線となるカスティーリャ王国との境界が定められた。以降、エンリケ航海王子により海外進出が本格化しアメリカ大陸の植民地化が進み、後のヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路発見はポルトガルに莫大な富をもたらした。その後、更に東へ進んだポルトガルは日本に到達し、これを機に日本では南蛮貿易が始まり、織田信長等の大名の保護のもと、南蛮文化が栄えた。織田信長が好んで飲んだといわれる「珍陀酒(ちんたしゅ)」はポルトガルの赤ワインで、ヴィーニョ・ティントが珍蛇に変わって伝わったという説もある。
 やがて16世紀後半から衰退が始まり、スペインに併合されるが、後に独立。17世紀になるとイギリスとフランスの間で戦争が起きたことにより、ポルトガルワインはよりいっそうイギリスに輸出されるようになり、ポートがイギリスのワインと呼ばれるようになった。18世紀になるとオポルトの町でイギリスとドイツのシッパーが確立された。1703年にイギリスとの通商条約であるメシュエン条約が締結し、イギリスがポルトガルワインへの関税を引き下げたことにより輸出が拡大した。
 1932年から始まるアントニオ・サラザールによる独裁体制により、鎖国に近い状態となり、ワインは国内消費用となると共に、後の独立戦争によりワイン業界を取り巻く環境が他の国々に対して遅れていく。しかしながら他の国々から孤立していたこの間に多くの固有品種が発達した。1974年にはカーネーション革命によりサラザール体制が終焉。1961年から続いた植民地独立戦争も終わりを迎えた。その後1986年にEU加盟を果たし、高い経済成長や企業の民営化を遂げると共にポルトガル復興政策としてワイン産業が莫大な投資を受け、急速に品質が向上した。1990年代に入ると、ポルトガル国内でのワイン学科の新設、生産者の海外研修、また小規模キンタの設立が盛んとなった。特にプロモーションにおいては、1997年のVini Portugalの設立によって生産から貿易までの各国団体との連携やロビー活動によってその評判が世界に広がり始めた。
 2000年代に入ると、ルイス・パトやドウロボーイズに代表される若い世代、また海外のワイナリーとのジョイントベンチャー等によって世界的なコンペティションにおいても上位に選出されるワインが多数生み出されている。
 2020年にはポルトに、「World of Wine」という名の文化施設が造られた。ここはレストランやバー、カフェ、ショップ、ギャラリーワインスクール等があり、ポルトガルの産業や伝統、ワインを学ぶことができる。


■気候風土
 ポルトガルは南北に560km、東西に160kmと小さな国でありながら多彩な気候や土壌を持つ。

①北西部は海の影響を受け、降雨量が多く、比較的涼しい気候。
②北東部は山に囲まれ、生育期の降雨量が少ない気候。
③南西部は海の影響を受け温暖な気候。
④南東部は内陸部で乾燥した地域。
⑤半島部は湿度が高く、温暖な海洋性気候。

 年間平均気温は北部の丘陵地帯で約10℃。南部の平地では年間平均気温が17.5℃を超え、夏場はしばしば35℃を超える。平坦な沿岸地域は大西洋からの風の影響を強く受け、オポルトの北に連なる山々の辺りでは年間降水量が2,000mmに達するが、内陸のワイン産地にいくと500mmを下回る。  
 土壌は主に北部と内陸では花崗岩(かこうがん)片岩、粘板岩を主体とし、南部と海岸では主に石灰質、粘土、砂になるが、南部においても品質志向の生産者には片岩質が好まれる。また、ところにより沖積土や大理石、火山岩などもあり変化に富んでいる。


■主なブドウ品種
 250種を超える固有品種があり、1ha当たりの固有品種数では世界最多。サラザールの独裁政権下で近隣のワイン生産国との鎖国状態がその背景にある。この国では様々な品種をブレンドする伝統があり、最も極端な例としては200種類以上をブレンドして造られた白ワインがある。しかしながら、単一品種から造られるバイラーダのバガ種やヴィーニョ・ヴェルデのアルヴァリーニョ種等の例外もある。
 ポルトガルの白ブドウで最も多く栽培されているのがFernão Pires フェルナォン・ピレスである。この品種はワインに柑橘系(かんきつけい)の味わいとマスカットを思わせるフローラルなアロマをもたらす。早く収穫されたブドウからはフレッシュな白ワインやスパークリングワインが造られる他、遅く収穫されたブドウからは甘口のワインが造られるなど様々なスタイルのワインに用いられる。この品種はMaria Gomes マリア・ゴメスの呼称でも知られていて、西海岸を中心に全国的に幅広く栽培されている。
 Alvarinho アルヴァリーニョは国内外で評価が高まってきていて、栽培地域が拡大しつつある白品種である。桃や柑橘類、トロピカルフルーツのアロマがあり、リッチでミネラル感のあるワインを生み出す。ポルトガルのワインとしては珍しく、多くの場合単一品種で使われる。ヴィーニョ・ヴェルデ北部で主に栽培されているが、近年栽培地域は南部まで広がりつつある。
 Loureiro ロウレイロはヴィーニョ・ヴェルデの海沿いを中心に多く栽培されている。ワインにはその名の由来とされるローレルの花やリンゴ、桃等のアロマがあり、爽やかなスタイルとなる。伝統的には他品種とブレンドされることが多かったが、近年では単一品種から造られることが増えている。
 Arinto アリントは非常に高い酸味が特徴の白品種である。成熟の遅い品種なので気温の高い場所で栽培しても清涼感が保たれる。造られるワインはリンゴやレモンのアロマを主体とした、ミネラル豊かでエレガントなスタイルとなる。この品種はPedernã ぺデルナァとも呼ばれている。ブセーラスが良く知られた産地であるが、国内の広大なエリアで栽培されていて、酸度の低いローカル品種のバランスを補うためにブレンドされることもよくある。
 ポルトガルの白品種の中でも特にオークとの相性が良い品種の一つとしてEncruzado エンクルザードが挙げられる。造られるワインは濃厚でありながらエレガントさを持ち合わせ、ブルゴーニュのようなワインになる可能性を備えている。ダン地方で主に栽培されていて、ポルトガルで最も興味深い白ワインのいくつかがブレンドによって造られている。
 黒ブドウでは、ポルトガルを代表する品種としてTouriga Nacional トウリガ・ナショナルがまず挙げられる。この品種は濃い色調で凝縮した果実味とタンニンをもつワインになる品種であったが、近年、栽培地や生産者のスタイルによってエレガントなスタイルのワインも増えてきている。原産地はポルトガル北部であるが、現在、栽培地は全国に広がっている。
 今、注目を集めているドウロ渓谷において最も多く栽培されているのがTouriga Franca トウリガ・フランカである。この品種は主にブレンドに使用される品種で、濃厚な色調と豊かなアロマをワインにもたらす。
 Tinta Roriz ティンタ・ロリスはスペインのテンプラニーリョと同じ品種で、デリケートでエレガントなワインを生み出す。Touriga NacionalやTouriga Franca等とブレンドされポルトやドウロの主要品種を担う他、ダンでも重要視されている。アレンテージョではAragonez アラゴネスと呼ばれトリンカデイラ等とのブレンドによりしっかりとしたワインが造られる。
 ポルトガル品種において、単一で使用される最も代表的な黒品種がBaga バガである。若いうちは濃密で収敵性の強いスタイルのワインが多いが、こういったワインは熟成により真価を発揮し、10年以上かけて複雑なアロマとまろやかな味わいを発展させる。原産地はバイラーダ地方だが、ベイラス地方等で栽培されている。また、この品種はスパークリングワインのベースとしても使用される。
 ポルトガル南部で最も栽培されている黒品種がCastelão カステラォンで、デリケートなアロマを備えたワインの原料となる。南部一帯で栽培されているがパルメラ地方やペニンシュラ・デ・セトゥーバルに特に良く馴染み、ここで最大のボテンシャルを発揮する。
 Jaen ジャエンはスペインのガリシア地方のMencia メンシアと同じ品種で瑞々しい若飲みの赤ワインとなる。
 その他、国際品種も栽培されており、今後有望そうな品種としてSyrah シラーが挙げられる。

(Vinhos e Aguardentes de Portugal、Anuario 2018)
[白ブドウ]
品種名
面積(ha)
Fernão Piresフェルナォン・ピレス(Maria Gomesマリア・ゴメス)
10,458
Loureiro ロウレイロ
5,790
Arinto アリント(Pedernã ペデルナァ)
5,394
Siriaシリア(Roupeiro ロウペイロ/ Códega コーデガ)
4,666
 Alvarinho アルヴァリーニョ
3,227
Malvasia Fina マルヴァジア・フィナ(Boalボアル)
2,295
Trajadura トラジャドゥーラ / Treixaduraトレイジャドゥーラ
1,498
Rabigatoラビガト 
1,446 
Azal アザル
1,416

 [黒ブドウ]
品種名
面積(ha)
Aragonez アラゴネス(Tinta Roriz ティンタ・ロリス / Tempranillo テンプラニーリョ) 
19,091
Touriga Franca トウリガ・フランカ 
12,667
Touriga Nacional トウリガ・ナショナル  
12,143
Castelao カステラォン(João de Santarém ジョアォン・デ・サンタレン Periquita ペリキータ)
8,133
Trincadeira トリンカデイラ(Tinta Amarela ティンタ・アマレラ / Trincadeira Preta トリンカデイラ・プレタ)
7,702 
Baga バガ 
6,855
Syrah シラー(Shiraz シラーズ)
5,098
Alicante Bouschet アリカンテ・ブーシェ
4,437
Vinhão ヴィニャン(Sousão ソウザォン)
3,772
Tinta Barroca ティンタ・バロッカ 
3,412
Jaen ジャエン(Mencia メンシア)
3,567
Rufete ルフェッテ(Tinta Pinheira ティンタ・ピニェラ) 
2,844
Caladoc カラドック 
2,090
Marufo マルーフォ(Mourisco Roxo ムーリスコ ・ロショ) 
1,843 
Cabernet Sauvignon カベルネ・ソーヴィニヨン 
1,627


■ワイン法と品質分類
1.ワイン法の歴史
 ドウロはワイン生産地として1754年に制定され、ポートとしては1756年に世界で初めての原産地呼称管理法が成立。ポルトガルワイン全体としては、1986年のEU加盟に伴いワイン法が整備され、原産地統制名称ワインD.O.C.(Denominacio de Origem Controlada デノミナサン・デ・オリジェン・コントロラーダ)、産地限定上質ワインI.P.R.(Indicação de Proveniência Regulamentada インディカソン・デ・プロヴェニエンシア・レグラメンターダ)、地理的生産地表示テーブルワインVinho Regional ヴィーニョ・レジョナル(1991年認定)、Vinho de Mesa ヴィーニャ・デ・メサの4階層が制定された。
 その後、2008年のEUのワイン法改訂に伴い現在の形に変更された。原産地名称保護D.O.P.(Denominacão de Origem Protegida デノミナサン・デ・オリジェン・プロティジーダ):D.O.C.とラベルに表記することも可能、地理的表示保護I.G.P.(Indicacão Geográfica Protegida インディカシオン・ジオグラフィカ・プロティジーダ):Vinho Regional ヴィーニョ・レジョナルとラベルに表記することも可能、Vinho(ブドウ品種名や収穫年の表示のあるものとないもの)に分けられる。現在V.R.が14、D.O.C.が31認められているが(Wines of Portugal資料による)、産地としてはD.O.C. PortoとD.O.C. Douroまた、D.O.C. PalmelaとD.O.C. Setúbal、そしてD.O.C. MadeiraとD.O.C. Madeirenseが重なる。

2.ワイン法による分類
(1)Vinho ヴィーニョ
 ポルトガルの最もシンプルなワインであり、Vinho Regionalの品質用に規定された、いかなるルールにもさらされない。収穫年やブドウ品種の有無に関わらず、様々な地域のブドウのブレンドによりワインを造ることができる。
(2)I.G.P.(地理的表示保護)
Vinho Regional ヴィーニョ・レジョナル(V.R.)
 14に分割されている地方ワインのエリアで造られるワインの呼称。規定はD.O.C.よりも緩い。品種やアルコール度数等の条件はあるが、D.O.C.で認可されていない品種やブレンドの比率、配合を選択できる等、生産者にとってより自由度の高いカテゴリー。
(3)D.O.P.(原産地名称保護)
Denominacão de Origem Controlada デノミナサン・デ・オリジェン・コントロラーダ(D.O.C.) 
 D.O.C.の基準はブドウの最大収穫量や推奨、または認可されている品種の指定等によって制定されている。すべてのワインは、テイスティング、試験等の公式認定の通過が義務づけられている。

3.伝統的表記として認められている呼称Reserva D.O.Cワインに使われる呼称で、アルコール度数が地域の法定最低度数より0.5%以上高い、ガラス瓶に詰められている、官能検査を通過する等の条件を満たしたワインに認められる。



■EUの分類
①原産地呼称保護
(D.O.C)
②地理的表示保護
(I.G.P)
③地理的表示のないワイン

■ポルトガルのカテゴリー
①Denominacao de Origem Controlada
②Vinho Regional
③Vinho



[産地別の栽培面積]
(Vinhos e Aguardentes de Portugal、Anuário2018)
Region
D.O.P. (ha) 
I.G.P. (ha)
Total Region(ha)

Minho ミーニョ 
16,203
1,061
21,973
Trás=os=Montes トラス=オス=モンテス
613
399
13,539
Douroドウロ 
39,446
66
42,556
Beira Atlántico バイラーダ・アトランティコ 
2,022
196
14,630
Terras da Beira テラス・ダ・ベイラ 
1,371
903
15,110
Terras de Cister テラス・デ・システル 
440
522
2,184
Terras do Dāo テラス・ド・ダン 
4,357
223
14,476
Lisboa リスボン
1,061
8,533
17,989
Tejo テージョ
1,473
2,319
11,944
Peninsula de Setúbal ぺニンシュラ・デ・セトゥーバル 
2,760
2,535
7,265
Alentejo アレンテージョ 
13,831
7,158
24,544
Algarve アルガルヴェ 
40
423
1,352
Acores アソーレス 
654
314
1,708
Madeira マデイラ
299
314
1,708
合計 
84,525
24,652
190,322



■北部

1.Minho ミーニョ
■プロフィール
 ポルトガル北西部に位置し、スペインとの国境となるミーニョ川一帯に広がる栽培地区。ポルトガルのブドウ収穫量の1/8、栽培面積の14%を占める産地である。ヴィーニョ・ヴェルデのヴェルデとは日本語で「緑」という意味であり、ここは「緑の地」と呼ばれるほど自然が美しい場所で、夏の避暑地として別荘を構える人も少なくない。
 1926年にヴィーニョ・ヴェルデの生産統制とマーケティングを目的にCVRVV(ヴィーニョ・ヴェルデ地域生産委員会)が創立された。現在ワインのブランド数は約2,000あり、ここ10年程の間に輸出量は約2.5倍に増えている。


■歴史
 2200年に及ぶ歴史を持つ産地で、歴史に残る最古のワインはローマ時代のセネカとプリニウスにより記されている。1908年に産地として定められ、初めて他のヨーロッパの国々に輸出されたポルトガルワインがヴィーニョ・ヴェルデであると語られている。サブリージョンにもなっているアマランテには、紀元前4世紀頃ローマ人が居住していたことから、その地名は当時の統治者であるアマラントの名に由来している。


■文化
 世界遺産にも登録されているギマラインスは初代ポルトガル国王生誕の地であり、アフォンソ1世が生まれた城等史跡も多い。祈りの町と言われ、数多くの教会があるブラガはかつてミーニョ地方の首都であった町で、レコンキスタ後に大司教座が置かれ、中世から近世にかけてポルトガル第一の宗教都市として栄えた。また、ポルトガルのマスコットである雄鶏(おんどり)にまっわる伝説を持つ町、バルセロスもこの地方に位置する。


■気候風土
 西は大西洋の影響を受け、海洋性の気候であるが、北と東は標高1,000m級の山々に囲まれているので、より大陸的な気候となる。全体的に夏は比較的涼しく、冬は比較的温暖で降水量が多く、年間1,600mmに達するほどの場所もあるが、各サブリージョンによって異なる。
Monção and Melgaço モンサォン・イ・メルガッソ
Lima リマ
Cávado カヴァド
Ave アーヴ
Bast バスト
Sousa ソウザ
Amarante アマランテ
Baião バイアォン
Paiva パイヴァ
以上9つのサブリージョンによって気候や降水量が異なるので、ワインのタイプやスタイルも多様である。土壌は花崗岩を主体とする。モンサォンイメルガッソは丘陵地帯が大西洋の影響を遮るので比較的大陸的な気候になる。ここの気候は熟すのが早いアルヴァリーニョ種に向いていて、この品種からボディがあり、熟成に耐えることのできる白ワインが造られる。また、オークで熟成させるものもあり、スペインのアルバリーニョと比べてより凝縮して深みのある味わいとなる。その南のサブリージョン、リマ、カヴァド、アーヴは大西洋の影響を強く受け、海洋性の気候になる。ここはブドウの成熟期間が長く続くので、晩熟のロウレイロ種に適し、フレッシュな酸と柑橘果実やフラワリーなアロマが豊かな白ワインが主に生産される。山岳部のバストは最も内陸にあり、標高も高いので、厳しい大陸性の気候になる。軽やかな白、また、赤ワインも多く造られる。アザル種のワインはここで最も良いものができる。アマランテ、バイアォンのサブリージョンは大西洋の影響をあまり受けない内陸部に位置し、アヴェッソやアリント、アザル等からミネラル感のある白ワインが造られる。アマランテ、ソウザ、パイヴァのサブリージョンも比較的大陸的な気候で白ワインと共にヴィニャンやエスパデイロ等の品種からの赤やロゼで有名な産地である。


■ワイン生産量
総生産量:759,757hℓ
D.O.P.:731,451hℓ


■主要ブドウ品種
[白ブドウ] 
Alvarinho アルヴァリーニョ
Avesso アヴェッソ
Arinto アリント
Azal アザル
Loureiro ロウレイロ
Trajadura トラジャドゥーラ
この中でもAlvarinhoとLoureiroは単一で使われることも多く、しっかりとした個性をもっている。

[黒ブドウ] 
Amaral アマラル
Alvarelhão アルヴァレリャオン
Borraçal ボラサル
Vinhão ヴィニャン


■地方料理と食材
 Caldo Verde カルド・ヴェルデ(刻んだケールとスモークソーセージのスープ)
Lampreia ランプレイア(ヤッメウナギ。リゾットやフライにして食される)
Cabrito カブリット(薪窯でローストした仔山羊)
Sarrabulho サラブーリョ(豚肉、鶏肉、または仔山羊をクミンで香り付けした血のソースで煮込んだ料理。Arroz de Sarrabulho アローシュ・デ・サラブーリョは同じく米を煮込んだもの)
Arroz de Pato アローシュ・デ・パト(鴨ご飯)
Arroz de Cabidela アローシュ・デ・カビデラ(鶏の血入りの臓物リゾット)



■主要なD.O.C.ワイン
1.Vinho Verde ヴィーニョ・ヴェルデ
 ヴィーニョ・ヴェルデのヴェルデには若々しさという意味もあり、若いうちに飲むべき爽やかなタイプのワインが多いが、近年、技術の向上等によってアルコール度数の高いしっかりとしたワインでも注目を集めている。微発泡でアルコール度数が低く爽やかなタイプから、しっかりとしたタイプ、そしてスパークリングワインまで白が大半を占めるが、赤やロゼも少し造られている。
 ブドウの仕立ては伝統的には木に蔓(わら)を絡ませるEnforcado エンフォルカードや木から木へと枝を伸ばすArjões アルジョスまた、花崗岩の支柱に木を絡ませるRamadas ラマダスといった方法が使われていたが、現在ではより品質の良いブドウができる垣根仕立ても多く採用されている。かつては、 伝統的な高い仕立てのブドウ樹の下で他の作物を栽培することによって、土地を有効活用していた。また、湿度の高い地域において、このような高い仕立ては灰色カビ病などの病気のリスクを減らす役割を果たしてき



参考資料 日本ソムリエ協会教本、隔月刊誌Sommelier  

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