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タイミー初心者が感じたスポットワークのメリットと市場展望

今年7月に上場し、話題となったタイミー。ちょうど「何か良い副業はないか」と探していたタイミングだったので、私もタイミーを試してみることにしました。

実際に使ってみると、意外に新鮮な労働体験でした。そこで、タイミーを利用して良かった点や改善点、そしてスポットワークの未来について感じたことをまとめてみたいと思います。

1.タイミーを利用した理由

タイミー自体は以前から知っていましたが、CMのイメージなどから完全に若者向けのサービスだと思っていました。

しかし実際はユーザーの年齢層にかなり幅があり、中高年も半分以上いるとのこと。それなら自分にもできるかもしれないと思い、利用してみることにしました。

2.スポットワーク市場とタイミー

まずは、タイミーとスポットワーク市場の現状について簡単に整理しておきます。

スポットワーク市場とは、短時間・単発で働く「スキマバイト」や「ギグワーク」と呼ばれる新しい働き方の市場のこと。タイミーはパイオニアとして市場を牽引し、現在はユーザー数約700万人の最大手となっています。

生成AI「perplexity」を利用して要約

ちなみに、2024年9月1日時点で、スポットワーク市場全体のユーザー数は約2,500万人(スポットワーク協会調べ)。

これは、日本の労働人口約7,000万人(独立行政法人 労働政策研究・研修機構調べ)のうち35.7%に相当します。

この数値を有名なキャズム理論に当てはめると、キャズム(普及の壁)となる利用率13.5%をはるかに超え、すでにアーリーマジョリティー(大衆化する前半)の段階に入っていることが分かります。(キャズム理論については下記を参照)

こうして見てみると、タイミーが上場した背景になるほどと納得がいきました。

参考までに、YouTubeのPIVOTチャンネルでやっていたタイミー社長のインタビュー動画が面白かったので、興味のある方はご覧ください。

https://youtu.be/409_LaPKj7E?feature=shared

 

3.タイミーの利用プロセスと仕事内容

さて、自分の話に入ります。私がタイミーで行った仕事は、スーパーのレジ業務でした。勤務回数は3社で合計6回。

以下は、申し込みから就業完了までの簡単な流れです。

(1)仕事の申し込み

まずアプリをインストールして、現在地に近い仕事を検索します。気になった仕事の詳細を確認し、条件が合えばそのまま申し込みます。

マッチング形式なので、基本的にこれで契約が成立。あとは指定された日時に現場に行くだけです。

(2)当日の流れ

  • チェックイン
    店舗に到着後、アプリでQRコードを読み込んでチェックインします。すると現場の担当スタッフが迎えに来てくれて、仕事場まで案内してくれます。

  • 業務開始
    現場に到着すると、担当するレジ機が割り当てられ、業務を開始します。初めての店舗の場合、最初に10〜15分ほどかけて、レジ機の操作方法や店舗のルールを教えてもらえます。

    担当者にもよりますが、ほとんどの場合、とても丁寧に指導してくれるため、初めての場所でもすぐに業務に慣れることができました。

  • チェックアウト
    終了時間の少し前になると担当スタッフから声がかかるので、業務を終了。事務所に戻り、再びアプリでQRコードを読み込んでチェックアウトすると、報酬が確定し、アプリに記録されます。

(3)勤務終了後

店舗を出た後に、簡単な相互評価を行います。自分は働いた店舗を評価し、店舗側からも自分に対する評価が当日か翌日に送られてきます。

なお、確定した報酬はいつでも引き出し可能です。手数料もかかりません。

3. タイミーのメリット

タイミーを使っての労働は、これまでとは少し異なる体験でした。キャズム理論でいう「新市場」の一面をユーザーとしても感じたのだと思います。

私が感じたタイミーの良さは「アプリ」「リアルタイム性」。以下、項目ごとに分解します。

(1) アプリで完結

全てのプロセスはアプリ上で完結します。仕事の申し込みから店舗との連絡、報酬確定や評価まで、すべてをスマホの上で行い、そしてそれらがリアルタイムで進行します。

特に、勤務終了後、チェックアウトした瞬間にその場で報酬が確定したのには驚きました。

通常なら「翌月の給料日」ですが、タイミーでは「労働したら即報酬」です。労働直後なので働いた実感を強く感じられました。

(2) リアルタイム性

自分の働きぶりがすぐに評価されることにも驚きました。

普通は半年に一回とか1年に一回とかの勤務評価ですが、タイミーでは働いた当日もしくは翌日です。 

ここからも労働実感が得られます。評価が良ければ次も頑張ろうというモチベーションにつながり、あまり高くなければ適性を見直すきっかけになります。

半年とか1年とか待たずに、評価をもとにすぐに次の行動に生かすことができるのは、成長の機会を無駄にせずに済んで良いと思いました。

(3) ゲーム的要素

タイミーのアプリにはゲーム的要素がふんだんに盛り込まれています。

例えば、仕事の「開始ー終了」を「チェックインーチェックアウト」で行うのもそうですし、報酬確定時に表示されるキラキラした画面演出や、勤務を重ねるごとにEXPという経験値が貯まる仕組みは、まさにゲームそのもの。

同じ労働でも、ちょっとした楽しめる瞬間があるのは嬉しいものです。

(4) プライバシー配慮

履歴書の提出が不要なことも気に入ったポイントです。

以前のアルバイト先で、履歴書が社内に公開にされ、職場のスタッフから個人的な質問を何度もされて不快な経験をしたことがありました。

学歴だとか業務に直接関係のない職務経歴など、余計な個人情報を公開せずに済むのは、プライバシー侵害の懸念がなく安心です。

4.タイミーのデメリット

メリットの一方で、不便さや不都合を感じる点もありました。しかし多くはスポットワーク市場がまだ発展途上であることと関係しているように思います。

(1)仕事の選択肢が限定的

業種にもよりますが、職種または企業の経験者に限定された求人が多いです。例えば「スーパーレジ経験者限定」や「セブンイレブン経験者限定」など。

そのため、トータルの募集件数が多くても、自分が応募できるものは、さほど多くない印象でした。

(2) 企業ごとに異なるルールに合わせるのが面倒

同じ職種であっても、企業によって細かなルールややり方が違っています。そのため、現場ごとに適応しなければならない点が面倒に感じました。

例えば、スーパーのレジ業務では、A社とB社のあいさつ言葉や、レジ機の仕様が微妙に異なっていました。複数社でレジ業務を行ううちに、どれがどの社のルールなのかわからなくなったり、とっさに違うボタンを押してしまって、間違った処理をしてしまうこともありました。

(3)通常のバイトより、やや割安感がある

企業によっては交通費が支給されず、通常のバイトよりも割安に感じることがありました。

例えば、あるスーパーでは通常のアルバイト時給が1,x00円+交通費支給で募集しているのに対し、スポットワークでは同じ仕事が時給1,x00円のみで交通費が支給されない、などです。

1回1回は大したことないかもしれませんが、回数を重ねるとチリツモで効いてくるので、効率よく稼ぎたい人には不都合を感じるかもしれません。

5.スポットワーク初心者視点による市場の可能性と改善点

今回タイミーを利用した体験から、今後の展望について考察してみました。

スポットワーク市場の今後の発展におけるキーポイントは「スポットワーク業務の標準化」だと考えます。

スーパーやコンビニなどの販売業務に限った話になるかもしれませんが、あいさつ言葉や割引のルールなど、現状各社の独自ルールで行っている業務プロセスを、A社もB社も同じにしてしまう、というものです。

そうすれば勤務する際に店ごとのやり方をいちいち確認する必要がなくなるし、「〇〇店舗経験者限定」といった、募集時の限定条件も気にせずに済みます。

「スポットワーク業務の標準化」は店舗側にとってもメリットがあります。募集する際の対象者が増え、新規スタッフに対する丁寧なインストラクションも不要になり、よりスムーズに運用できるようになります。

標準化を実現するには、職種ごとに各企業が話し合わなければならないので難しそうではあります。しかし、もしそのようなことができれば、スポットワーク市場の流動性が高まり、さらに利用者が広がっていくのではないかと思いました。

6.まとめ

今回、タイミーで初めてスポットワークを体験し、自分自身の労働観が少し変わりました。

これまでは労働に対して、義務感や拘束感といったどこか窮屈なイメージを抱いていました。しかし、タイミーを利用してみて感じたのは、労働がもっと自律的で、そして楽しめる点があるということです。「こんな働き方もあるんだ」と新鮮な驚きを覚えました。

タクシー業界でライドシェアの導入が始まったのと同じように、スポットワークは、その柔軟な労働形態によって、今後深刻化する人手不足の問題解決にも大きく貢献するように思います。

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