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金太郎飴に入ってないもの「英語のそこのところ」第147回


【前書き】

 今回、投稿するエッセイは7年前の2017年11月9日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
 メディアリテラシィという言葉があります。マスコミの情報を鵜呑みにするのではなく、そこから分析し理解する能力ですが、Native English Speakerと付き合っていると、われわれ日本人とずいぶん違うなぁ~と思うことがしばしばあります。今回は、Native English Speakerが日本のスポーツニュースすら観ないというお話です。(著者)

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VERSANT スコアアップ法を大公開

 英語なんて好きでもないし、得意でもない。ていうか、むしろ嫌い。でも、仕事で英語を教えなきゃならなくなった! さあ、こまったぞ、どうする? 
これは作者の15年にわたる英語との格闘をギュッと濃縮した英語スキルアップ物語。
英語・英会話習得、VERSANTスコアアップの詳しいやり方、学習期間がわかって、ふつふつとやる気が湧いてきます。

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 2008年に株式会社メディア・ポートより上梓され、その後同社の解散により入手不可能になり、みなさんにはご迷惑をおかけしておりましたが(一時は、古本が2万3万ぐらいで取引されていたようで。いやはや、私には一銭も入りませんが_| ̄|○)、kindle という形で復活させることが出来ました。
これを機にぜひお手に取ってみてください。

映画や小説の台詞を英語にして英語力を鍛える「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル22」発売中!

 English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト(全10巻)で、英文法を網羅しましたので、「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル7」以降では、様々なコンテンツの名言、名台詞を英語するより実践的なトレーニングをやっています。
 この「ドリル22」では名曲World In Unionを題材に英文を作っていきます。英文を作ってみたあと、ぜひ「World In Union」をYou Tube やCDで聞いてください。より意味が深く判って感動します。

一つの夢がある、わたしは、とてもめずらしく価値があって、とても本当だと感じるので(夢なのだけど)。
団結したすべての世界、ひとつとしての世界。
一緒に集まっている、ひとつの精神、ひとつの心。
すべての信経、すべての肌の色、ひとたび手をつなげば(=ひとたび加われば)、決して離れない。

英語でどう言うのでしょうか? 
このテキストを使えば、きっちり身に付きます。お試しください。

【本文】

 早いもので、今日は11月の9日、この間まで暑い、暑いと言っていたのに最近では寒いぐらいの朝晩になってきました。あっという間に今年も大詰めで、考えてみればのこりは1か月半ぐらいしかない。ああ、今年の正月に立てた一年の計はまったく達成してないなぁ、ダメなおれ、また来年頑張ろうなんていう方もおられるのではないでしょうか。そういう私はというと、一年の計なんて初めから立てない。目標を立てないことが目標ですからね。「今、目の前のこと」を愉しもうという気持で日々を過ごしているんで、目標達成ができなかったぁ、ダメなおれ、なんてことを思う必要がありません。まぁ、目標すら立てられないダメダメなおれと言うこともできるのかもしれませんが(笑)

 そういうわけで、私個人としては「目標を立てないことが目標」なんですが、まぁ、一応、会社の経営なんてことをやっていると、いろいろ言ってくださる方がいて、昨期は非常に順調ですね、では、一層の飛躍のために今期の目標を決めましょう! なんてにこやかに助言してもらえる。
「そうかぁ、会社にはそういうものが必要かねぇ」
 と、根がおだてに弱いものだから、向いてもいないのに途端にその気になって、目標を立てることになる。でも、付け焼刃もいいところで、初めはいいんですが、途中からう~ん、違うなって思ってやめてしまうことになります。ダメダメなおれ、どころじゃないダメダメな経営者と言ったところで、被害が大きい(笑) 会社ですからね、個人より、周りを巻き込む分こちらの方が罪は深いわけです。困ったものです。

 昨期でやらかしたのは、Native English speaker を招いての英語のセッションという企画で、コンスタントに毎回参加してくださる方もいて、参加した方は満足満足。アンケートの評判も良くて、実際にセッションで得たものを仕事に使えたなんて嬉しい言葉ももらえて、やる意義があるなと思っていたんですが、どうも参加者数が増えていかない。困ったなと思って、参加してないけど、興味があるという方に話を聞かせてもらったら、時間的な問題と場所的な問題という話が出てきて、しょぼん
 結構、動かせないものなんですよねぇ、セッションの時間と場所って(泪)
 そういうわけで、この企画はいったんペンディングになっちゃいました。いいセッションだったんですけど、残念です。来期こそ何とか復活をなんて思っちゃうんですが、イベントとかセッションとかは私には向いてないとあきらめて、やめた方がいいでしょうねぇ(笑)

 まぁ、企画は一旦ポシャったわけですが、このセッションを企画する中で以前勤めていた会社のNative English speaker の友人たちとの交友も復活したりして、最近ではNative English speaker の友人たちの自宅に遊びに行ったりするんですが、この前ちょっと変なことに気付きまして。なにかというと彼らの多くがテレビで報道番組を観ないんです。というかスポーツニュースすら観ない。意外な発見でした。

「ちょっと、Dido、Jリーグタイム、観ようぜ」
 徳田がビールを片手にDidoに言った。時間は土曜の9時を過ぎている。某国営放送のスポーツ番組が始まる時間だった。
「ええ、いいよ。スポーツ番組、観ても面白くないじゃん」
「なんでさ? DidoだってF・マリノスのサポーターだろ? 結果、気になるでしょ?」
「そりゃ、気になるけど、スポーツ番組、つまらないじゃん」
「そう? だって結果も判るし、試合後のインタヴューもあるし、面白いじゃん」
 徳田がちょっと不満げにDidoに言う。今日、アントラーズは難敵フロンターレと対戦している。その結果も知りたいし、試合後のインタヴューも観たい。
「それはそうだけどね。でも、Jリーグタイムをわざわざ観なくてもいいじゃん。今日の夜のスポーツ番組のどれかを観れば。どうせ、全部一緒なんだしさ」
「そりゃそうだけどさぁ」
「そうそう、日本のニュースはみんな一緒なんだよなぁ。つまんないね」
 それまで黙ってビールを呑んでいたRichがDidoに加勢に回る。
「そうだよ。スポーツ番組だけじゃなく、報道番組も一緒。民放が5局もあるのにみんな内容は一緒だなんて、びっくりだよ」
 Richと違ってDidoは日本語が判る。報道番組も観ていたことがあるらしい。
「だって、社会的に重要な事柄はだいたい一緒じゃん。同じ内容になっちゃうのは普通じゃない? USだってそうでしょ?」
 徳田はちょっと気色ばんでDidoに反論した。客観的な報道なのだから、そうなるのは当たり前だと思ったのだ。
「違うよ。トピックは同じでも内容は違うんだ」
「??」
 徳田は目をしばたく。Didoが言っていることがよくつかめない。
「つまりさ、客観的事実は同じでも、局によって掘り下げ方が違うってこと」
 Richが助け舟を出す。
「そういうことさ。この前、白人優先主義の集会を妨害しようとしてアフリカ系の人々を中心に暴動がおこっただろ?」

 Didoが嫌そうに話す。Didoは白人男性だが考え方はリベラルなのだ。
「うん」
「あの事件をA局もB局も報道したけど、A局は『アフリカ系の人々に対する白人の暴力』や『差別』を強調して報道したんだよ。だから、そういう白人勢力が存在することを憂慮するという報道だった」
「それに対して、B局は暴徒化したアフリカ系の人々には前科があったり、犯罪を犯していたということを繰り返し報道して、白人優先主義も悪いがアフリカ系の人々も悪いという報道をしていたな」
 RichがDidoを援護する。English man だが、アメリカのニュースは観るらしい。
「でも、それって、偏向報道じゃ……」
「偏向? 偏向ってのはあった事実をないものとして伝えないことや、ウソを伝えることだよ。事実は伝えてるんだから、偏向じゃない。むしろ、その局の特徴を出すためにいろいろな情報が追加されているわけだから、健全なんだよ

「それに比べて、日本のスポーツニュースはさぁ」
 とRichが硬くなった話題をやわらかい方へ戻そうとする。
「そう、みんないっしょ。だから、Jリーグタイムを観るのは却下」
「ええ! そんなぁ」
「ん? この英米同盟に反論できるのかな? 日本は?」
「できるのかな? 米英同盟に?」
 RichとDidoがグラスを合わせる。
「ちぇっ もういいもんね。お前らの分まで呑んでやる」
 徳田がテーブルのビールをかっさらうとグラスに注がずにぐびぐびと呑み始める。
「あ、ずるいぞ! 徳さんがビールはグラスに注ぐもんだって言うからそうやって呑んでるのに!」
「そうだ、そうだ! ルール違反だ。国際法違反! ハーグに訴えてやる! 裁判だ!」
 英米同盟が批判の声を上げ、負けじとビールに手を伸ばした。長い戦いの始まりだった。

 まぁ、三人ともに次の日、宿酔いになったのは言うまでもありません。
 でも、宿酔いになっても私はこの話題は忘れられなくて、なんで日本の報道は十把一絡げ、金太郎飴になるんだろうなと疑問が残っていて、しばらく考えていたんです。
 それで、マスコミに関していろんなことを思い出してたんですが、ふと、アナウンサーをやっていた私の伯従父(いとこおじ 父の従弟です)が言ってたことを思い出した。

アナウンサーの伯従父が言っていたことが気になる方は購入してね。

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