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ボタンを押し間違えないで「英語のそこのところ」第129回
【前書き】
今回、投稿するエッセイは7年前の2017年3月2日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
今回は、Native English SpeakerにはNative English Speakerへの、Native Japanese SpeakerにはNative Japanese Speakerへの話し方というのがありまして、それを2パターンご紹介した話です。(著者)
拙著「英語の国の兵衛門」のkindle版を出版しました。
2008年に株式会社メディア・ポートより上梓され、その後同社の解散により入手不可能になり、みなさんにはご迷惑をおかけしておりましたが(一時は、古本が2万3万ぐらいで取引されていたようで。いやはや、私には一銭も入りませんが_| ̄|○)、kindle という形で復活させることが出来ました。
これを機にぜひお手に取ってみてください。
映画や小説の台詞を英語にして英語力を鍛える「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル15」発売中!
English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト(全10巻)で、英文法を網羅しましたので、「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル7」以降では、様々なコンテンツの名言、名台詞を英語するより実践的なトレーニングをやっています。
この「ドリル15」ではFreddie Mercury のI was born to love you. を題材に英文を作っていきます。
君がチャンスをくれるなら、何でもしてあげられるのに。
それで、ぼくと一緒にかけてみないか。
君との夢物語を作らせてよ。
夢に取り込まれているんだ。
そうさ、私の夢は今叶ったよ。
信じられないよ。
こんなことがぼくに起こるなんて。
素晴らしい感覚が駆け巡る(from I was born to love you)。
英語でどう言うのでしょうか?
このテキストを使えば、きっちり身に付きます。お試しください。
大好評! Kindle で一日500ページビュー 「English Sentence Maker」シリーズ
English Sentence Maker は、あなたの感情や意見、思っていることを伝えるためにはどの時制や助動詞、文法事項を選ぶべきかがわかる実践英語・英会話力養成テキストです。
著者の主宰する英会話スクール「英語・直観力」の企業向けテキストから、契約企業様向けの問題文などを差し替え、一般向けに手直ししました。
7年間で100名以上のビジネスピープルを単独での海外出張や海外赴任ができるスキルを持った国際ビジネスピープルにした実績があります。
ぜひ、この実績あるテキストを完全マスターしていただき、世界を相手にビックディールを成し遂げ、人生を愉しんでください。このテキストはその扉を開くカギになります。
実践英語・英会話力養成テキストEnglish Sentence Maker は、3つの特色を持っています。
ひとつ目は、能動的な学習だということ。
English Sentence Maker は書き込み式のテキストです。各Lesson ごとの解説を読み、そのあとに掲載されている日本文をご自身のノートもしくはkindle のノートブックなどに英語にして書き入れてください。その際に、知らない単語は調べたりせずに、日本語のまま英語の文の位置においてください。そうすることで、知っている単語、知らない単語を区別し、身に着けるべき単語を浮かび上がらせることが出来ます。
ふたつ目は、どの文法事項を使うかの判断基準を身に着けられるということ。
小・中・高校と長い間英語を学ぶために、多くに人々は英語の現在形、過去形などの文法事項を知っています。しかし、残念ながら、その文法事項をどういう場合に使えばよいかという判断基準を身に着けていません。
たとえば、ここ何ヶ月かフットボールに夢中になっているということを伝えたい場合に使うべき時制は、現在形でしょうか? それとも現在進行形でしょうか? 迷われると思います。
この知ってはいるけれども使い方に迷ってしまう文法事項を使う判断基準を各Lesson ごとの解説でくわしく説明しています。それを理解することで、英語を使う際に十全にあなたの感情や意見、思っていることを伝えることが出来るようになります。
みっつ目は、英語を英語で考えることが出来るようになるということ。
English Sentence Maker は日本語を英語にしていくことで、英語を習得していくテキストです。しかも、どういうときに、どういうことを言いたいときに、どの文法事項を使えばよいかという判断基準が出来ていくために、日本語の文字面を英語に移していくのではなく、日本語を読んでその内容をイメージして、そのイメージを英語にするというスキルを身に着けることが出来ます。頭の中のイメージから英語を作ることが出来るということは、そこに日本語は介在しません。つまり、英語を英語で考えることが出来るようになるのです。
具体的には、
私は彼が来るだろうことを知っていた。
という日本語を英語にする際には、日本語の文字面を英語に移していくと、
I knew that he will come.
と、しがちです。「知っていた」なのでknew、「来るだろう」なのでwill comeというわけです。
しかし、よく考えてください。「彼が来るだろう」というのは、「私が知っていた」過去の時点のことです。であれば、「彼が来るだろう」と書いてあっても、過去から見た未来のwould を使って、would come としなければなりません。日本語をその字面のまま英語にしてはいけないのです。しかし、日本語を読んでその内容をイメージして、そのイメージを、判断基準をもって英語にすることが出来れば、問題はなくなります。頭の中に時の流れのイメージがあるために、
I knew that he would come.
という英文が難なく作れるようになります。 英文作成力や速読力を付けたいと思っておられる方ぜひ、手に取ってみてください。必ず、英語・英会話が出来るようになります。
☆「English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト」および「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル」で使っている英文はすべて、Native English Speakerと協同で製作したものです。安心して、Native English Speakerの自然な英語を知り、習得してください。
【本文】
3月ですねぇ。
ようやく少しずつ暖かくなって、清澄で切れるような冬の空気の代わりに、いろいろなものを含んだ豊饒な春の空気を感じるようになってきました。季節はめぐってるなぁっと、柄にもなく詩人な気分になって、街をうろうろする。うろうろしたって、一句ひねるような才能はないんで、今日は熱燗にしようか、それとも常温にしようか、酒の肴は、出始めの鰆か、それとも最後の牡蠣かなんて、食いしんぼなことを考えているだけなんですが(笑)
ふわっとしたいろいろなものが含まれているのを感じる春の空気は、相手との間を取り持ってくれる気がして、日本人的でいいものだなぁっと常々思っていたんですが、実は残念なことに2年ほど前からそうも言っていられなくなってしまっています。
ピンときた方は同じ悩みをお持ちの方でしょうか、そう、花粉症ってやつでして。
2年前の2月から3月にかけて、突然くしゃみと鼻水が引かなくなったんです。ちょうどプライヴェートなことでいろいろあって、ストレスがたまっていた時期で、
「ああ、ストレスで免疫力が落ちてんのかなぁ」
と思っていたんですが、あんまりにひどいので耳鼻科に行くと、
「はい、花粉症です!」
と、無慈悲な宣告。
おかしい、そんな繊細で高級な文明病にはかからないはずと思っていたのでちょっとショックでしたが、まぁ、かかっちまったものはしょうがない。症状を和らげる薬をもらってそのときは、なんとかなりましたが、以来、春は要注意な季節になっています。
でも、私の花粉症は不思議なやつでして、躰が冷えてると出てきて、あたたまってくると引いていくんです。まるで、雪だるまみたいなもので寒い朝にはいるけど昼になると溶けてなくなる、宿り主と同じく意気地のない花粉症。ネコやイヌは飼い主に似るって言いますけど、病気もそうなんでしょうかねぇ。なんだか不思議です。
それはともかくとして、まぁ、躰があったまってくれば問題はないんで特に薬をもらいに行くこともなく、もともと信じていない似非科学の治療法にも興味を示さずに朝は鼻水を出しっぱなしにしてるんですが、この間、仕事の打ち合わせをしていたら、Native English speaker に叱られてしまいました。はい。
ちょっと、忘れていた私が悪いんですがね。同時に、言葉遣いって大切だなぁっと思った一件でした。
「で、プランとしては、まず、自己紹介をしてもらって、そのあとにNative English speaker の意見を述べるときの構造を説明をする」
徳田は、新たにチームに加えたNative English speaker のChrisにグループセッションの流れを説明した。去年の春から計画してようやく秋に実現化したプロジェクトをさらに大きくするために、講師を増やすことにしたのだ。今日は、その第1回の打ち合わせをスタッフのRichの自宅でやっている。
今まで徳田は基本となる英語力(文法・語彙)や英会話力のスキルアップを指導してきている。顧客である受講生たちはそれぞれに目的を達成して満足して卒業しているが、徳田としてはプラスして英語を使う場所を提供できればという思いがあったのだ。しかし、ただのしゃべりの場を提供するというのでは、うまくいかないのは経験上目に見えている。目的のないおしゃべりはなかなか続かないものなのだ。初めはグループレッスンに参加していた受講生も飽きが来てしまい2,3回で参加しなくなる。
「詳しい構造に関しては、おれから説明した方がいいかな?」
キッチンから出てきたRichがコーヒーを徳田に渡しながらいった。
「そうだね」
そういう徳田の横に腰を落ち着けたRichがChrisに説明を始める。
「おれたちって、自分の思っていることを相手に言うときに何を期待しているか自覚ある?」
「返事ってこと?」
「そう」
「そうだな……」
当たり前すぎて思いつかないのか、Chrisは言い澱んだ。
「たとえば、『日本は素晴らしいと思う』っておれが言ったら、どう返す?」
「そりゃ、『なんで?』とか『どういうところが?』って言うさ。相手に興味がないときは、『ふうん』ってスルー気味に返すかもしれないけど」
「そういうことさ。おれたちは、『なんで?』って訊かれることを期待して、自分の思っていることを言う」
「ああ、なるほどね。何かを主張する時には、理由も考えてから言ってるな」
「さらに言えば、その理由が相手に響かないときには、理由を補強する根拠も付け加えていく」
「相手の常識が判らないからな」
「うん。ところが、日本人は、自分の思っていることを相手に言うときに、相手からの同意を期待してるんだよ。だから『なんで?』って訊くと言葉に詰まったり、嫌な顔をしたりする」
「ああ。確かに、日本人に理由を訊くとぎくしゃくするな。前にマエケンが好きっていうので、なんで? って訊いたら困った顔をされたことがある」
「ただ、うんって言ってほしいだけなのに、『なんで?』『どんなところが?』って訊かれるのは責められている気がするのさ。だから、責めているわけではなくて、そういう風に訊くのがNative English speaker では普通のことなんだということを説明する必要がある」
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「なるほどね。当たり前すぎて気がつかなかったな」
「そうなんだよ(ズッ)」
徳田がふたりの話に加わる。
「Native English speaker にとって当たり前すぎて(ズッ)」
どうしたのか徳田が突然鼻をすすり始めた。
「おれたち日本人にとっては異質な(ズッ)」
Chrisが眉をしかめた。
「Native English speaker 独特のコミュニケーションの仕方を(ズッ)」
徳田はChrisが納得してくれたのがうれしいのかChrisの表情の変化に気がつかない。
「教えて(ズッ)、トレーニングしてほしいわけさ(ズッ)。でね、」
と、Chrisは手を上げて徳田を制した。
「ん? どうしたの?(ズッ)」
いまさらながらに徳田はChrisの表情が厳しいのに気がついた。なにか怒らせてしまったらしい。
Chrisは一瞬戸惑いを見せたが、決然と徳田に言った。
「あの、徳田さん。日本ではどうかわかりませんが、人前で鼻をすするのは私たちにとってとても失礼なことです。アメリカでは非常に重大なマナー違反なのです。ですので、やめてください。ご存じないのですか?」
「あっ」
徳田の赤くなっている鼻が白くなる。鼻白むとはこのことだ。しまった。鼻すすりがNative English speaker に嫌われることをすっかり忘れていた。
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「す、すまん」
自分のチョンボに反省する。でも、そんな言い方はないじゃないかとちょっとムッとしてしまうことを止めることができない。
『ここは、日本なんだから、アメリカのマナー押し付けんなよ。それより、お前らの人前で鼻を盛大にかむのはどうなのさ?』
という英語がパタパタと組み上がる。それをどう冗談にして伝えようかと生じた空隙にRichが言葉を滑り込ませた。
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