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偏食が過ぎると 「英語のそこのところ」第111回
【前書き】
今回、投稿するエッセイは7年前の2016年6月23日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
テレビのスポーツ番組をわれわれNative Japanese Speakerは普通だと思って観ていますが、Native English Speakerには、非常に奇妙なものだと感じているようです(著者)
拙著「英語の国の兵衛門」のkindle版を出版しました。
2008年に株式会社メディア・ポートより上梓され、その後同社の解散により入手不可能になり、みなさんにはご迷惑をおかけしておりましたが(一時は、古本が2万3万ぐらいで取引されていたようで。いやはや、私には一銭も入りませんが_| ̄|○)、kindle という形で復活させることが出来ました。
これを機にぜひお手に取ってみてください。
新展開 第2弾! 映画や小説の台詞を英語にして英語力を鍛える「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル8」発売中!
English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト(全10巻)で、英文法を網羅しましたので、ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル7から、様々なコンテンツの名言、名台詞を英語するより実践的なトレーニングをやっていきます。
この「ESM Practice 8」では、アーサー・C・クラークの「幼年期の終り」とモンゴメリーの「赤毛のアン」のセリフを英語にすることに渡来します。
我々が彼の動機を疑っても不思議ではないでしょう?(from 幼年期の終り)
カレルレンは、彼(ストルムグレン)が決して解けないなぞに付きまとわれたまま、生涯の長い黄昏の時へと踏み込んでいくのを、見るに忍び難く思ってくれていたのだ。(from 幼年期の終り)
彼らは決して最後まであきらめることはない。(from 幼年期の終り)
世界はまだ美しい。いずれは別れねばならないとしても、なぜ出発を早める必要があるだろうか?(from 幼年期の終り)
楽しもうと決心すれば、たいていいつでも楽しくできるものよ。(from 赤毛のアン)
グリーンゲイブルズのマシュー・カスバートさんでしょ?(from 赤毛のアン)
お愉しみに。
大好評! Kindle で一日500ページビュー 「English Sentence Maker」シリーズ
English Sentence Maker は、あなたの感情や意見、思っていることを伝えるためにはどの時制や助動詞、文法事項を選ぶべきかがわかる実践英語・英会話力養成テキストです。
著者の主宰する英会話スクール「英語・直観力」の企業向けテキストから、契約企業様向けの問題文などを差し替え、一般向けに手直ししました。
7年間で100名以上のビジネスピープルを単独での海外出張や海外赴任ができるスキルを持った国際ビジネスピープルにした実績があります。
ぜひ、この実績あるテキストを完全マスターしていただき、世界を相手にビックディールを成し遂げ、人生を愉しんでください。このテキストはその扉を開くカギになります。
実践英語・英会話力養成テキストEnglish Sentence Maker は、3つの特色を持っています。
ひとつ目は、能動的な学習だということ。
English Sentence Maker は書き込み式のテキストです。各Lesson ごとの解説を読み、そのあとに掲載されている日本文をご自身のノートもしくはkindle のノートブックなどに英語にして書き入れてください。その際に、知らない単語は調べたりせずに、日本語のまま英語の文の位置においてください。そうすることで、知っている単語、知らない単語を区別し、身に着けるべき単語を浮かび上がらせることが出来ます。
ふたつ目は、どの文法事項を使うかの判断基準を身に着けられるということ。
小・中・高校と長い間英語を学ぶために、多くに人々は英語の現在形、過去形などの文法事項を知っています。しかし、残念ながら、その文法事項をどういう場合に使えばよいかという判断基準を身に着けていません。
たとえば、ここ何ヶ月かフットボールに夢中になっているということを伝えたい場合に使うべき時制は、現在形でしょうか? それとも現在進行形でしょうか? 迷われると思います。
この知ってはいるけれども使い方に迷ってしまう文法事項を使う判断基準を各Lesson ごとの解説でくわしく説明しています。それを理解することで、英語を使う際に十全にあなたの感情や意見、思っていることを伝えることが出来るようになります。
みっつ目は、英語を英語で考えることが出来るようになるということ。
English Sentence Maker は日本語を英語にしていくことで、英語を習得していくテキストです。しかも、どういうときに、どういうことを言いたいときに、どの文法事項を使えばよいかという判断基準が出来ていくために、日本語の文字面を英語に移していくのではなく、日本語を読んでその内容をイメージして、そのイメージを英語にするというスキルを身に着けることが出来ます。頭の中のイメージから英語を作ることが出来るということは、そこに日本語は介在しません。つまり、英語を英語で考えることが出来るようになるのです。
具体的には、
私は彼が来るだろうことを知っていた。
という日本語を英語にする際には、日本語の文字面を英語に移していくと、
I knew that he will come.
と、しがちです。「知っていた」なのでknew、「来るだろう」なのでwill comeというわけです。
しかし、よく考えてください。「彼が来るだろう」というのは、「私が知っていた」過去の時点のことです。であれば、「彼が来るだろう」と書いてあっても、過去から見た未来のwould を使って、would come としなければなりません。日本語をその字面のまま英語にしてはいけないのです。しかし、日本語を読んでその内容をイメージして、そのイメージを、判断基準をもって英語にすることが出来れば、問題はなくなります。頭の中に時の流れのイメージがあるために、
I knew that he would come.
という英文が難なく作れるようになります。 英文作成力や速読力を付けたいと思っておられる方ぜひ、手に取ってみてください。必ず、英語・英会話が出来るようになります。
☆「English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト」および「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル」で使っている英文はすべて、Native English Speakerと協同で製作したものです。安心して、Native English Speakerの自然な英語を知り、習得してください。
【本文】
この号が発刊されるのは6月23日ですから、一方はグループリーグが一通り終わって、もう一方は準決勝も終わり、決勝を残すのみになっているのだと思います。この原稿は前もって書いてるんで、どんな組み合わせになっているのかは全く分からないんですが、私が疲れ切っているのは間違いない。朝の3時過ぎからの試合を見たと思ったら、すぐさま、午前10時過ぎからもう一試合ってわけで、いくら『🎶うれしいィ! たのしいィ! 大好き!』(ⒸDreams come true)でも、体力には限界があります。
はて? なんのこと?
と思ってらしゃるとは思いますが、FOOTBALL、フットボール! ですよ。なんといっても、ワールドカップに次ぐ大会の「欧州選手権(ユーロ)」と「南米選手権(コパ・アメリカ)が同じ年の同じ時期に行われる。これを観ずに何を観るというんでしょう! こっちの体力も考えて欲しいものです、ほんとに。仕事になりゃしない!
おっと、ちょっと激してしまいましたが、普段は、ユーロとコパは、別々の年にやるんで、こういうことにはならないんです。今年は、コパの第1回大会から100年目だそうで、特別に開催されています。
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そういうわけで、またぞろ友人のNative English Speakerのサッカー好きと徹夜覚悟で、パブに試合を観に行ったりしているわけですが、試合を見る前の雑談で、へぇっと思ったことがあります。
「ねぇ、Rich、日本のスポーツニュースってみる?」
「見ないよ、だってつまらないじゃん」
Dickに問われたRichが、下唇を突き出してこたえる。
「やっぱり、そうだよね。English man も同じだよな」
「なに? Dickも?」
「そうなんだよ。あれ、なんだろうね?」
「なに? 日本のスポーツ番組がお嫌いで? おのおの方」
面白そうな話を逃すまいと、徳田が二人に割り込む。
「嫌いっていうか、奇妙だね」
Dickが言葉を選んでいった。
「奇妙?」
意外な形容に徳田が首を傾げた。
「どのあたりが?」
「あんまり気を悪くしてほしくないんだけどさ」
「Dick、大丈夫。徳さんは変わり者だから」
Richの横槍に徳田がRubbish! と言って手を振ったが、うらはらにちょっとうれしそうだ。顔が笑っている。
「おれは、心が広いんで、大丈夫さ、言ってみ?」
「変わり者だから、大丈夫か」
聞こえなかったのか、無視したのかわからないがDickはRichの意見を採用してそういうと、
「日本のスポーツ番組はさ、日本人の話が多すぎるんだよ」
と身も蓋もないことを言った。
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思わず徳田がまじまじとDickを見る。
「ああ、そう、それだよね。違和感の正体はそれだ」
Richがすぐに同調するのを、徳田がまたまじまじと見た。なにを言ってるんだとありありと判る。
「あれ? 徳さん、意外そうだね。そうだそうだっていうと思ったけど」
「だって、日本のスポーツ番組なんだから、日本人の話がメインでしょ? UKやUSは違うの?」
あまりに当たり前のことに不満を持たれても困る、ここは日本なんだから、と徳田が二人に反問する。
「USはアメリカ人のニュースメインで、UKはイギリス人のニュースがメインでしょ? 普通。今日のアメリカ人プレーヤーの活躍とか、ブリティッシュの活躍とかいうコーナー、ないの」
ふたりは同時に頸を振った。
「ないの!?」
衝撃の事実に、徳田は腰を浮かす。
「そんなにビックリされても困るけど、あってもちょっとだけだよ。わざわざアメリカ人というだけでフューチャーはしないんだ」
「へぇ」
「UKもそこは一緒だね。この前マレーがウィンブルドンを制した時は、大騒ぎになったけど、そういう時ぐらい。ベスト8ぐらいでは騒がれないよ」
「……」
徳田が腕を組んで考え込む。
「それって、じゃあ、スポーツ番組はなにをメインに伝えるの?」
「それは、その日の最高峰のゲームでしょ。で、最高のプレーにスポットを当てる」
「なるほど」
普通に考えると至極もっともな話に、徳田がうなずいた。同時に、それは日本では受けないだろうなとも思う。日本人は、日本人が世界で活躍するのを観るのが好きなのだ。自分たちがどういう人間なのかということも判るし、海外の人に受け入れてもらえていると判るのも、嬉しいことだ。マスコミは視聴者・消費者の求めていることを伝えるという商売なんだから、ニーズの低いことを伝えているとチャンネルを変えられるかTVのスイッチを切られてしまう。
「でも、まぁ、海外ではそうかもしれないけど、日本では日本人の活躍の情報が求められているんだからさぁ」
「それは、判る。耳触りのいい情報を届けるのがマスコミだからね。でも、バランスが悪いよ。悪すぎる」
Dickが、憤慨したように言う。もう一ネタあるらしい。
「なんかあったのかい?」
Richが呼び水を与える。
「この前、横浜球場に行ったんだけどさぁ」
「うん」
ふたりは、Dickの話に耳を傾けた。
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