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建前がいやな理由 英語エンターテイメントエッセイ「英語のそこのところ」第48回
【前書き】
今回、投稿するエッセイは7年前の2014年10月16日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。今回は「本音と建前」の話題です。(著者)
最新刊! 「English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト5 名詞とその仲間たち」販売開始!
今回はいよいよ「英語を英語で考える」コツをつかむトレーニングがはじまります。
わたしの主宰する英会話スクール「英語・直観力」で使用している7年間で100名以上のビジネスピープルを単独での海外出張や海外赴任ができるスキルを持った国際ビジネスピープルにした実績を持つテキストを一般向けに手直ししました。
時制・助動詞と言った英語の「エンジン」部分を第1巻~第5巻で解説・演習しましたので、次は「フレーム」に当たる名詞とその仲間たちを徹底習得します。
名詞の仲間として「名詞節」が出てきます。実は、この「名詞節」を作るときにあることをちょっと意識することで「英語を英語で考えること」ことが出来るようになります。必読ですよ。
英文作成力や速読力を付けたいと思っておられる方ぜひ、手に取ってみてください。必ず、英語・英会話が出来るようになります。
【本文】
天高く馬肥ゆる秋、海の幸も山の幸もおいしい季節になってきました。私なんかは呑兵衛で、年がら年中、理由をつけては呑み歩いているわけですが、この季節になると付き合って呑んでくれる人も多くなる。以前Vice-President をやっていた英会話スクールで仕事が終わった後、駅までみんなで歩いているとちょっと呑んでいこうか? なんて話になるのが多かったのも秋から冬にかけて。Native English Speakerにとっても、秋はもの悲しくて、ひと恋しくなる季節なんでしょうか。
そんでもって、じゃあという事でそこらの呑み屋に入る。
前の会社の英会話スクールは、西新宿にあったので呑み屋はよりどりみどりで、飽きることはありません。なかでもNative English Speakerが好きなのは「土間土間」や「天狗」といった安くて明朗会計のお店で、ちょっとこじゃれたダイニングバーなんて見向きもしない。ワイワイガヤガヤ、
「オニィサン! 生ヒトツ!」
なんて、もの悲しさも、ひと恋しさもない(笑)、明るい声で店員さんに注文していきます。
で、ぐいぐい呑み始め、食べ始めるわけですが、そういう時の話題ってもっぱら受講生たちのこと。
あの人の英語はずいぶん良くなった。
あの人がどうしても宿題をやってきてくれないんだけど、どうしよう。
そういえば、卒業生の田村さんからこの前メールが来た。サウジアラビアで頑張ってるらしい。
○○さんの英語の発音、自分では巧いと思ってるみたいなんだけど、すごい訛りがきついんだよなぁ、指摘していいのかな?
なんて、受講生や指導方法の情報交換の場になります。
こういうのはいいですね。
幸運なことなのか不運なのかは判らないですが、私はずっとお客様の顔が見える仕事ばかりをしてきたので、会社の呑み会はこういうのが多い。一時期、出版社で編集の仕事をしたときには、すぐに会社や上司の悪口を肴にする人が多くて閉口しました。だって、そんなこと言ったってしょうがないでしょうに、文句があれば直接言っちゃいなよと思っちゃう。まあ、悪口言う人も本気じゃなかったんでしょうね、話題がないから言ってみるという事だったんでしょうか。
その点、入れ代わり立ち代わりお客様が来て下さる商売というのは、話題に事欠かない。悪口を言っている暇もありません(笑)
で、その中で話が盛り上がって、今度のサッカーの日本代表戦に行こう! とか、競馬のGⅠを見に行こう! なんて話も出てくる。秋はサッカーのメインシーズンだし、競馬は最高峰のGⅠもある。なかには、美術館に行きたいなんて女性のNative English Speakerもいて、それもいいねぇとそこにいる男女5、6人が盛り上がって、呑み会はお開き。
さあ、明日からも頑張ろうという帰途につきます。
我々Native Japanese Speakerだけの呑み会なら、まあ話はこれで済んでしまうんですが、Native English Speakerをまじえると、もちろん話はここで終わりません。事件は次の日に起こります(笑)
「じゃあ、いつの試合を見に行く? あと美術館はいつにしようか?」
出社して来たVeraが荷物を置くなり、となりの由美子に話しかけた。
うっと由美子が固まる。
たしかに、昨日そんな話はしたが。。。
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「ねぇ、由美子はいつ休み? ああ、試合は夜だから早引けすればいいのね。でも、美術館は夕方までだから。あたしも、スケジュールを調整するからいつにしよう」
固まる由美子をよそにVeraは愉しそうにイヴェントの話を進める。閉口した由美子は徳田を見た。
「徳さ~ん、次の代表戦っていつでしたっけ?」
「ええ? 代表戦はっと」
徳田はちょちょっとグルカをチェックした。もちろん、代表戦は予定表に入れてある。ついでに言えば、アントラーズ戦も完璧だ。
「ああ、代表戦は今年は東京ではないなぁ。Vera、残念だけどあきらめよう」
「ええ、そんなぁ」
Veraは心底残念そうに肩落とす。由美子はその後ろでほっとした顔をしている。
由美子は本当はサッカーを好きではないのだ。昨日はその場のノリで行こうとは言ったが、本気ではなかった。
「じゃあ、Vera、アントラーズ戦はどう? 今度、横浜であるけど」
「あら、徳さんVeraをナンパですか?」
と由美子がまぜっかえした。
徳田はサムアップする。
「う~ん、魅力的だけど、いいわ。あたし、ベンフィカ以外のクラブチームは応援しないの」
亜麻色の髪が綺麗なVeraがやんわりとだが、はっきり断る。
「ああぁ、またフラれたよ。美人にフラれるのはつらいなぁ」
「あら、美人じゃないといいんですか?」
由美子がツッコミを入れる。
「いや、それもつらい。でも、ここには美人しかいないし」
「徳さん、それもナンパ。セクハラで訴えられるよ」
うしろからRichがケリをつけてくれる。
「おお、こわ」
スタッフの笑い声がオフィスに広がった。
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