見出し画像

公立化検討中大学の現状①千葉科学大学(2025年2月2日現在)

2025年2月1日時点で、公立化を目指す大学は
千葉科学大学
美作大学
長浜バイオ大学
九州看護福祉大学
そして、山形県・酒田市・鶴岡市・庄内町・遊佐町・三川町と公立化に向けてすでに基本合意に達している東北公益文科大学の5大学

今回は、千葉科学大学の現状について整理する


千葉科学大学 沿革

2004(平成16)年4月
銚子市からの要望を受け、千葉科学大学(薬学部薬学科、危機管理学部 防災システム学科、環境安全システム学科、危機管理システム学科)開学

2006(平成18)年4月
薬学部 薬学科の修業年限を4年制から6年制に変更及び薬科学科を設置

2008(平成20)年4月
薬学部 動物生命薬科学科 設置

2009(平成21)年4月
危機管理学部 動物・環境システム学科設置
医療系3コース(臨床工学コース、臨床検査学コース、救急救命学コース)を集約して医療危機管理学科設置
危機管理学部 防災システム学科、環境安全システム学科 募集停止

2010(平成22)年4月
薬学部 薬科学科、動物生命薬科学科 募集停止
薬学部 生命薬科学科 設置
危機管理学部 航空・輸送安全学科 設置

2012(平成24)年4月
危機管理学部 動物・環境システム学科 募集停止
危機管理学部 環境危機管理学科、動物危機管理学科 設置

2013(平成25)年4月
危機管理学部 航空・輸送安全学科から工学技術危機管理学科に名称変更

2014(平成26)年4月
銚子市からの要望を受け、看護学部看護学科 設置

2014(平成26)年度
文部科学省「地(知)の拠点整備事業」採択

2016(平成28)年度
文部科学省「私立大学研究ブランディング事業」採択

2017(平成29)年4月
危機管理学部 工学技術危機管理学科から航空技術危機管理学科に名称変更

2019(平成31)年4月
危機管理学部 危機管理システム学科から危機管理学科に名称変更
危機管理学部 医療危機管理学科から保健医療学科に名称変更
薬学部 生命薬科学科 募集停止
危機管理学部 環境危機管理学科 募集停止

銚子市の公立化検討過程

千葉科学大学は「定員割れ」と「支出超過」により、銚子市へ学校法人加計学園が公立化を要請
銚子市が公立大学法人を設立し運営する可能性検討のため委員会を設置。

千葉科学大学公立大学法人化検討委員会

千葉科学大学公立大学法人化検討委員会は10名の委員により、2024(令和6)年4月14日~8月25日までに5回開催された

千葉科学大学公立大学法人化検討委員会 委員は以下の10名(敬称略)
【高度の専門的な知識経験を有する者】
■委員長■矢尾板 俊平(淑徳大学 地域創生学部長)
太田 康広(慶應義塾大学大学院経営管理研究科/エーザイチェアシップ基金教授)
小栗 一徳(公認会計士・税理士小栗事務所 所長)
高岡 正幸(学校法人千葉敬愛学園 常務理事)
田村 秀(長野県立大学グローバルマネジメント学部 教授)
【公共的団体等を代表する者】
伊藤 晴美(銚子市教育委員会 教育委員)
齋藤 隆広(一般社団法人銚子青年会議所 理事長)
野本 春道(銚子市町内会連合協議会 会計)
林 広幸(銚子市立銚子高等学校 校長)
松本 恭一(銚子商工会議所 副会頭)

第1回:2024(令和6)年4月14日開催

第2回:2024(令和6)年5月12日開催

第3回:2024(令和6)年6月30日開催

第4回:2024(令和6)年7月28日開催

第5回:2024(令和6)年8月25日開催

千葉科学大学公立大学法人化に関する検討結果まとめ

公立大学法人化の7条件

①大学規模の見直しと財務の持続性確保

・2学部2学科(看護学部看護学科・危機管理学部危機管理学科)を基本とし、定員削減を検討
・銚子市の判断により「保健医療学科」を設置する選択肢も

②建物・設備の無償譲渡と不要施設の撤去

・加計学園から銚子市へ無償譲渡。不要施設は加計学園が除却

③財務資産の移行と財政リスクの協議

・公立化後の収支不足が予想されるため、安定運営のための資産移行を加計学園と協議

④市の財政負担軽減策

・施設管理・更新にあたり、PPP/PFI手法(公民連携)を活用し財政負担を回避

⑤地域高校との連携強化

・市立銚子高等学校との「7年一貫教育」を構築
・県立高校とも連携し、地域の高校生に魅力ある進学先として確立

⑥地域貢献・研究拠点の設置

・研究資源を活かし「地域連携センター(仮称)」を設置
・産学官連携・生涯学習・医療人材育成を推進

⑦適切な運営体制の確立

・「公立大学法人設置準備室」や「設置・監理委員会」を設置し、移行・運営を監視・支援

検討委員会の評価と課題

(1)学修ニーズ:地域高校生の関心は低く、学部学科の見直しが必要
(2)他大学との競争:看護・薬学分野の競争は激しく、教育の質向上が課題
(3)教育の質:国家試験合格率が低く、改善が必要
(4)財政リスク:市財政への負担増の可能性あり

最終結論

・最優先は私立大学としての存続

・加計学園が存続困難な場合、7条件を満たせば公立化も選択肢
・地域社会・経済への影響が大きいため、慎重に判断が必要
公立大学化=万能の解決策ではなく、財政・教育改革が不可欠

その後の情報

加計学園「回答は少し待って」と銚子市に連絡 千葉科学大公立化問題(朝日新聞:2024年10月3日)

千葉科学大学の公立大学法人化問題で、銚子市は8月28日、運営主体の加計学園に「私立大学としての存続を希望する」との回答書を送付し、話し合いの再開を求めた。しかし、9月27日に学園側から「管理・運営について検討中のため、協議再開をもう少し待ってほしい」と市に連絡があったことが、9月30日の定例記者会見で越川信一市長により明らかにされた。
学園側は、市の提案との隔たりが大きいとしつつも、2025年度の学生募集は予定通り3学部6学科で実施すると説明。市は公立化の条件として、2学部2学科への縮小や金融資産の譲渡を求めており、学園側は対応を検討中とみられる。
越川市長は「千葉科学大単体ではなく、岡山理科大や倉敷芸術科学大を含めた3大学で黒字経営と理解しており、私立大としての運営継続を望む。しばらくは学園側の返答を待つ」と述べた。

朝日新聞記事のまとめ

千葉科学大学の公立化「留学生多いなら難しい」 銚子市長が見解(朝日新聞:2024年11月5日)

千葉科学大学の公立化問題で、越川信一・銚子市長は10月29日の定例記者会見で、「留学生が多数を占める状況では、公立化は難しい」との見解を示した。大学の存続が地域活性化につながるとの意見がある中、学生数だけでなく出身地も含めた議論が必要だと述べた。
同大は定員割れが続き、留学生の受け入れを積極的に進めてきた。越川市長は「私立大学としては問題ないが、公立化するには市民の理解が得にくい」と指摘し、地元ニーズを重視する考えを強調した。
市は8月末に識者による検討委員会の答申を受け、公立化の協議再開を加計学園に申し入れたが、9月末に「検討中のため待ってほしい」と猶予を求める返答があり、その後の進展はない。答申では、私立大学としての存続を基本としつつ、一部学部学科の公立化の可能性も示唆された。
朝日新聞の調査によると、2024年の同大入学者279人のうち、留学生は128人。特に危機管理学部危機管理学科では84人中67人、薬学部では48人中24人が留学生だった。

朝日新聞記事のまとめ

千葉科学大 東学長3月退任へ 後任は藤本氏「改革する」(毎日新聞:2025年1月31日)


いいなと思ったら応援しよう!