【大学入学共通テスト】これから共通テスト・日本史Bに挑む人へ
こんにちは!穎才学院講師のMです。
今日は、2022年1月16日に実施された大学入学共通テスト本試験の日本史Bのレビューをします。さらにそれをふまえて、来年度以降に受験をする方へのアドバイスをします!
1.総評
要求される知識の量は第一回目の共通テストと変わりないです。しかし、問題がうまくひねられており、ただ知っているだけでは解けないという面倒な構成となっています。そのせいで時間を食われて実力を奮えなかった受験生が続出したようです。実際に2021年度のものと平均点を見比べてみると、2021年度の64.26点から10点以上低い52.81点となっています。
以上のことから分かるように、歴史に対するより深い知識が要求されるような試験となっており、高得点を目指すためには相当の努力が必要とされるものとなっています。ただその一方、思考力さえあれば示された表や文章から答えが導き出せる問題もいくつかあります。ですから、道筋を立てて物事を考える習慣のある人であれば、事前知識なしでそこそこの点が取れることもあります。
2.問題解説
以下では、全ての問題には言及しないものの、共通テストの特徴が表れている問題を2つ取り上げて解説したいと思います。
第1問の⑹
この問題は共通テストで歴史に対する深い理解が求められることを象徴するような問題です。
第1問は苗字と姓の歴史についてです。初めに姓と苗字それぞれの特徴を箇条書きした表が示されており、それと二人の生徒の対話内容から各問の答えを導き出さなければならないという問題となっています。⑹は以下の文の中から正しいものの組合せを選ぶ問題です。選択肢はそれぞれ以下のようになっています。
a.天皇は姓をもっておらず、それを臣下に与える存在であったと考えられる。
b.江戸時代以前における日本の支配階層においては、夫婦同姓が原則であったと考えられる。
c.近世の百姓・町人が基本的に苗字の公称を許されなかったのは、武士身分との差別かとぉ図るためと考えられる。
d.明治の民法が女性に嫁ぎ先の名字を使用させたのは、 啓蒙思想の普及を図ったためと考えられる。
① a・c ② a・d ③ b・c ④ b・d
これらの文のうち c は平民の名字が許された後に不平士族による反乱が続発したことから正であること、d は民法典論争などから誤りであることがわかります。つまり、これらは教科書に書いてある知識から直接推測することができるのです。
しかし、a と b に目を向けてみると一変、全く予想が付きません。それもそのはず、これらの知識は教科書に記されていないからです。じゃあこの問題をどのように解くのかというと、この問題が記されているページから6ページも前の表と2人の生徒の対話内容から導き出す必要があるのです。まず、a について。ここでは、表の「姓」の部分に注目します。すると、
・天皇は姓を持たない。
・姓は大王から氏に与えられた称号。
という記述を見つけることができ、これが正であることが分かります。
また、 b については、大輝さんのセリフに登場する北条政子に注目してみると、北条政子は姓が平である一方、夫の源頼朝の姓が源であることから誤りであることがわかります。つまり、この問題の答えは①です。
この問題から分かることは、共通テストでは中途半端な知識が通用しないということです。
つまり、前半の a と b については教科書に書いてある知識だけで選べるものの、後半のc と d は充分な歴史の知識がある前提で、それをいかに考えるかが問われているのです。ただ知っているだけでは解けない問題となっているのです。
第3問の⑷
この問題は史料を読んでそこから読み取れる情報として正しいものの組み合わせを選ぶという問題です。背景知識というよりも思考力が問われる問題です。よって、日本史の知識が全くなくても正解することができます。日本史の試験なのにどういうことなんだと思うかもしれませんが、実際にそうなのです。以下が実際の問題です。
史料
日本国使、通信を以て名と為し、多く商物を齎し、銀両八万に至る。銀は宝物と雖も、 民、之を衣食すべからず。実に無用たり。我国、方に綿布を以て行用し、民、此に頼りて 生活す。民の頼る所を以て、其の無用の物に換え、利は彼に帰し、我れ其の弊を受く。甚 だ不可たり。況んや倭使の銀を齎すこと、在前になき所なり。今若し貿を許さば、則ち其 の利の重きを楽み、後来の齎す所、必ずや此に倍せん。
行用:行使。用いること。
在前:以前。事前。
後来:こののち。将来
a.銀は日本の輸入品で、その多くは朝鮮からもたらされて、流通量が大幅に増加した。
b.綿布は日本の輸入品で、その多くは朝鮮からもたらされて、衣類などの材料として普及した。
c.朝鮮は、現在の貿易をそのまま続ければ、未来に大きな利益をもたらすと主張している。
d.朝鮮は、現在の貿易をそのまま続ければ、未来に大きな弊害を及ぼすと主張している。
① a・c ② a・d ③ b・c ④ b・d
1文目から、日本国使が銀を八万ももたらしていることが分かるため a が間違いであることが分かります。また、4文目の記述からこの貿易から、「我れ其の弊を受」けていることが分かります。よって、答えは④となるのですが、この問題ではここまで解くのに日本史の自前知識を全く用いていません。必要とされたのは読解力と思考力です。これこそが共通テスト日本史のもう一つの特徴です。
3.共通テストを来年以降に控える新高校1年生、2年生へ
2章で書いたように共通テストの日本史には2つの大きな特徴があります。一つは歴史に対する深い理解が必要であること。もう一つは思考力さえあれば日本史を全く勉強していない人でも解ける問題があることです。
これらに共通していることは普段の勉強から歴史を考えて学んでいるかを問われているということです。ひとつひとつの出来事に対して、それが起こった原因と、それによる影響を考えていれば、深い理解ができる上に、それに伴って思考力も身につきます。つまり、「承久の乱」に関して、1221年に起こったことと、後鳥羽上皇が関わったことだけを知っていれば良いのではなく、「3代目将軍実朝が暗殺されたことをきっかけに朝幕関係が悪化して承久の乱が起こり、そこで上皇側が負けたことからその後貴族の影響力が弱まった」というような歴史の流れを普段から考える必要があるのです。
このような勉強が必要な以上、受験直前に急いで教科書を読むのでは間に合いません。今のうちからコツコツと勉強して合格を掴みましょう!!
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