自分に合った単語帳を見つけよう!「覚え方」別英単語帳レビュー
こんにちは。穎才学院のハチドリです。
英語学習における課題である「単語学習」。わたしたちはその大部分を、よく使う単語がまとまった「単語帳」に頼ることになります。しかし、それでも単語がうまく覚えられない、という悩みを持つ生徒は後を絶ちません(それは受験生以外でも同じです)。
もしかしたら、それは「自分に合った単語帳を使っていない」ことが原因かも?
ということで今回は、受験生になじみのある単語帳を、「覚え方」に焦点を当ててご紹介。自分に合った単語帳を見つけてみてください。
今回紹介する単語帳
・英単語ターゲット1900(旺文社)
・システム英単語(駿台文庫)
・DUO 3.0(アイシーピー)
・速読英単語(Z会)
・東大英単語熟語 鉄壁(角川学芸出版)
今回はこの5つを紹介する。各単語帳について、覚えやすさ、分量をとくにピックアップして解説を加えた。
出る順に覚える: 『ターゲット1900』
受験生にとっておそらくもっとも見慣れた、なじみのある単語帳が、この『ターゲット1900』であろう。
特徴: この単語帳の特徴は、大学入試に「出る順」に単語が配列されていること。前から順番に覚えていけば、優先度の高い単語から覚えられる。さらに、見出し語の意味も主要なものを大きく載せて、覚えやすさをあげている。
覚えやすさ: ハッキリ言って、「覚えやすさの工夫」は乏しい。構成は非常にオーソドックスで、例文や関連表現は載っているが、基本的には単語がずらっと並んでいるだけ。なによりも、出る順の配列は、決して覚えやすい配列ではない。
分量: 見出し語は名前の通り1900語。これを完璧に覚えれば、大学共通テストや一般的な入試問題には十分対応できる。ただし、難関大を狙う場合には少し足りないか。また、頻出の英熟語・慣用表現は不十分で、姉妹編の『英熟語ターゲット1000』で対策する必要がある。
総評: 出る順の配列は魅力的だが、覚えやすさへの配慮には欠ける。機械的な暗記が得意であれば問題ないだろうが、そうでない人については、「迷ったらとりあえずターゲット」という形で選ぶのは、あまり良くないと感じる。
ちなみに、『ターゲット』のブックカバーは両面使えるようになっており、ひっくり返すとおなじみの(ちょっとこわい)犬の表紙が、無機質でスタイリッシュな表紙に早変わりする。裏面のカバーも気分転換に使ってみるといいだろう。
フレーズで覚える: 『システム英単語』
駿台文庫から出ている『システム英単語』も、多くの受験生が知っている単語帳であろう。姉妹編がいくつも出ているが、ここでは基本の『システム英単語』について解説する。
特徴: この単語帳のウリは、単語を覚えやすくするための minimal phrase である。 minimal phrase は、その名の通り短いだけでなく、試験で出やすい形で単語が登場する、という特徴がある。
例えば、 substitute は「~を代わりに用いる」という動詞であるが、実際の英文にはsubstitute A for B「AをBの代わりに用いる」というように、 for を伴って使われることが多い。そのため、この単語には substitute margaline for butter 「マーガリンをバターの代わりに用いる」という minimal phrase がついている。
覚えやすさ: 前述のとおり、単語を機械的にではなく、「短いフレーズで覚える」ことが特徴であり、覚えやすさへの配慮がなされている。ただ、1単語につき1フレーズのため、覚える分量としては変わらない(むしろ多くなっている)。フレーズを口ずさんで覚えることができるなら、後述する『DUO』を使うことも考えてみよう。
分量: 見出し語は2180語。関連語までしっかり覚えれば、難関大までこれ一冊で対応できるだろう。英熟語・慣用表現については弱いため、姉妹編の『システム英熟語』を用いるのがいいだろう。
総評: 英語をより実用的な形で覚える、という点では、ターゲットよりオススメしやすい単語帳である。ただし、覚える労力の軽減はあまりなされていないため、暗記が苦手な人には依然として苦しい単語帳になるだろう。
余談だが、一昔前の『システム単語帳』といえば、表紙のゴチャゴチャとした宣伝(と謎のキャラクター)がうるさく、かっこ悪いデザインだった。最新の5訂版では、それらが排され優美な表紙になっているので、ブックカバーなしで電車で読んでも恥ずかしくない。
例文で覚える: 「DUO 3.0」
DUO 3.0は、大学受験にこだわらない一般的な英語学習者のための単語帳。そのため知名度は前述のターゲットやシステム英単語より劣るが、機械的な暗記が苦手な人は検討の価値がある。
特徴: この単語帳の基本姿勢は、「例文を覚えることで単語を覚える」である。この単語帳には全部で560本の例文が収録されており、すべての見出し語は560本の例文の中に重複なく登場するようになっている。一つの例文には複数の見出し語が複数あり、これは『システム英単語』の minimal phrase とは異なる点である。
英単語・英熟語・慣用表現がまとまっている点も特徴的である。慣用表現も特徴的なものが多く、 split the check (割り勘する)といった慣用表現は、他の単語帳ではなかなか見られない見出し語だろう。
覚えやすさ: 見出し語を詰め込んだ例文のおかげで、覚える労力はかなり軽減されている。加えて、例文の2-3本がまとまって、一つのストーリーを作っていることもある。機械的な暗記が苦手な人にとっては、前述の単語帳より扱いやすく感じるだろう。
分量: 見出し語は2569語とかなり多い。英熟語や慣用表現もしっかりカバーされているため、これ一冊で大学受験に十分対応できる。その分労力は大きくなるので、定期テストや学校の学習のおともに、といった「軽い」用途には適さないかもしれない。
総評: 機械的な暗記が苦手な人にとってオススメの参考書。難関大学を受験する人、単語帳を何冊も使いたくない人にもオススメ。
表紙カバーはカラフルな反面、宣伝文句が目立つ。表紙デザインは青を基調とした落ち着いたデザインなので、素直に外してしまうのがいいだろう。
文脈で覚える: 「速読英単語」
Z会の単語帳『速読英単語』は「速単」と呼ばれ、こちらも受験生にとってなじみのある単語帳である。
特徴: この単語帳では、「英文を読み、単語を紐づけて覚える」というスタイルを採っている。まずまとまった量の英文を読み、そこで出てきた単語や関連語を覚える、という方法で、単語力を増強させることを目指している。
英文のトピックはさまざまな学問分野から幅広く選ばれており、単語の知識とともに教養を身に着けることもできる。また、単語帳を用いて単語学習をしていく過程で、ある程度英語の文章を読みこなす力もつけていくことができる。
覚えやすさ: 先に紹介した『DUO』とは違い、例文をそのまま覚えるタイプの単語帳ではない。しかし、英文は単語を「紐づける対象」としてはたらいており、覚えやすさが上がっていることは間違いないだろう。本を読むのが好きな人、また本で出会った知らない言葉をずっと覚えている、という経験をしたことがある人は、この単語帳と相性がいいかもしれない。
分量: 見出し語は1900語(必修版・改訂第七版)と標準的。関連語彙も合わせれば約2600語となる。難関大学を目指す人には同シリーズの『上級編』、英熟語対策もしたいという人は『速読英熟語』も併用するとよいだろう。
総評: こちらも機械的な暗記が苦手な人にとってオススメの参考書。まとまった量の英文を読むことへの抵抗力を減らせる、さまざまな分野の教養が身につくという点で、覚えやすさ以外でもオススメ。
表紙カバーは、入門編・必修編はデザインが一新されシンプルに。しかしながら上級編・英熟語はイマイチなデザインが残っているので、ブックカバーを付けたほうが無難。
つなげて覚える: 「鉄壁」
東大受験指導の専門塾・鉄緑会の単語帳。「東大英単語熟語」というものものしいタイトルと分厚さで敬遠されがちだが、実は覚えやすさに気を払った単語帳である。
特徴: 鉄壁の特徴はさまざまであるが、一言で表せば「単語同士をつなげる」、ということができるだろう。
まずは単語の配列について。全部で50あるセクションには、「時間」「政治」「調査・研究」などのように、何らかの主題がたてられている。そして、その主題に関連する語彙を「つなげて」身に着けていく、という構成になっている。とくに、類義語・対義語などは一つのセクションの中で連続して登場することが多い。
また、単語帳の中には様々な図やイラストが配置されている。これらは単なる挿絵ではなく、単語の意味を表したものになっている。こうした図と単語を「つなげて」覚えるという活用法もある。
覚えやすさ: 単語同士の関連付け、イラスト、語源など、記憶のとっかかりとなる事項が非常に多く記載されており、覚えやすさはかなり高い。いままで使ってきた単語帳で単語が覚えられない、という人は使ってみるとよいだろう。
分量: 通し番号付きの見出し語は2146語と多め。関連単語や英熟語は4000以上にのぼり、これ一冊で受験は十分に対応できるだろう。最重要語・重要語には印があるので、英語に大きく労力を割けない人はそれらを優先的に覚えるとよいだろう。
総評: 覚えやすさへの配慮という点ではこの単語帳が一番だろう。「東大英単語熟語」というタイトルに気圧されず、一度手に取ってみることをオススメしたい。特に、語源から単語を覚える方法は、ハマれば一気に語彙を増やすことができる。
こちらの単語帳は、表紙に太いゴシックで書かれている「東大英単語熟語」の文字がいかつい。カバーを外した表紙は主張が控えめなので、恥ずかしい人は外してしまうのも手。
さいごに
私の高校では、学校が単語帳を配る、ということはありませんでした。そのため生徒は、各自で単語帳を探し、各自で勉強していました。そのときでも、自分にあった単語帳を使って勉強していた人は、英語力をぐんぐん伸ばしていった印象があります。
人によって、自分によく合う覚え方は違うもの。それぞれにあった単語帳を探してみましょう。
穎才学院では、個別指導の強みを生かし、英単語・英熟語の学習もサポートします。他教科でも、生徒それぞれに合わせた勉強法を探します。
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