パリの古着市場、独自のサステイナブルな生態系
近頃、90年代ファッションやY2Kトレンドのリバイバルによって、古着の人気が若者の中で高まっています。YouTubeやTik Tok上で、古着屋をインフルエンサーが訪れる様子を目にすることも多いのではないでしょうか。実際に、世界の古着市場は2021年から2027年まで、2021年に実施されたREPORTOCEANによるレポートによると、年平均成長率11.1%で成長する見込みです。
ここフランス、パリでも多くの古着屋を目にします。ヴィンテージのフレンチラグジュアリーグッズを展開する店ももちろん人気ですが、若者たちに馴染みがあるのは5〜10ユーロで安くおしゃれな服が手に入る古着屋です。彼らはここで手頃な古着を購入し、いらなくなった古着はまた寄付することで市場に戻り別の消費者の手に渡るという、あまり日本では馴染みのない服の循環が行われています。今回はそんな若者たちが通うfriperie(仏語で古着屋)を、現地の人の声と共にいくつかピックアップして紹介したいと思います。
FREE’P’STAR
一軒目に紹介したい古着屋は、FREE’P’STARです。こちらは歴史的ユダヤ人地区でありLGBTQカルチャーの中心でもある、マレ地区周辺に4店舗を構えます。ユニークな照明が他の古着屋にはない独特の雰囲気を醸し出す店内は、日本の古着屋で人気なUS古着とはまた一味違った1970〜90年代のユーロビンテージを体感できるラインアップで人気の店です。
主な価格帯は5〜15ユーロで、こじんまりとした店内には所狭しとディスプレイされています。全ての商品に目を通そうとすると、1時間は経ってしまうのではないかという印象を覚えます。陳列は商品カテゴリーごとにされていますが、あまり整理整頓がなされてないので中には有名ブランドの商品が紛れていること多く、自分の目で商品を吟味しながら宝探しをするのも古着屋での醍醐味の一つです。地下のフロアには1ユーロで買える服のボックスが設けられていて、メンズレディース問わず多くの服が放り込まれているので、そこから好みの服を探すのもおすすめです。
Guerrisol
紹介する2店舗目は、Guerrisolです。こちらはパリ近郊に8店舗を構えます。今回は、一軒目のFREE’P’STARからも徒歩圏内でもある2区のChatlet付近にある店舗へお邪魔しました。平日の午前中にも関わらず、店内には買い物客の姿がちらほら見受けられました。FREE’P’STARとはまた違った雰囲気でこちらは店内が明るく、スペースに奥行きもあり、少し開放感をを漂わせる店になってます。こちらは一軒目に紹介した店よりも陳列が整理されていて、主にレディースが中心ですが2階には男性向けの商品もあります。商品はカテゴリー・価格ごとに分けて陳列されていて、主な価格帯はシャツやパンツは5〜15ユーロ、アウターは20ユーロくらいといった感じです。品揃えとしてはあまりヴィンテージ感が強いものは少なく、ZaraやGAPといった馴染みのあるファストファッションの古着もちらほら見受けられたり、程度の良いクオリティが安定した品揃えという印象がありました。
着なくなった服を手軽に寄付できる、古着回収ボックス
また、パリ市内には、着なくなった服を寄付できる回収ボックスが所々に設置されています。パリの人々は着なくなった服をここに寄付し、回収された服がこうした古着屋に渡り、ゆくゆくはまた新たな人の手に渡るというサステイナブルな循環がもたらされています。環境省が出しているデータによると日本では手放した服の66%は焼却処分、及び埋め立て処理されており、20%は海外輸出され、たった14%しか国内市場で再び流通していないそうです。ゴミとして出される服の量は年間約48万トン、換算すると1日大型トラック130台分の服が焼却されていることになります。また、また古着の海外輸出は輸出先国の現地産業に影響を与える懸念がある為、国内での服のリユース促進が課題になっています。フランスにおける服のリサイクル習慣に、日本も何か見習うことがあるかもしれません。
以上、パリで人気の古着屋とサステイナブルな取り組みについて紹介しました。手頃な価格で新しいスタイルにトライできるので、特に若い世代に親しまれています。どちらの店もパリ市内に複数店構えているので、それぞれの店舗を訪ねて異なる雰囲気や品揃えを楽しむことができます。今回紹介した店があるマレ地区は、若者に人気の地区でこの2店舗以外にもユニークな古着屋がたくさんあるので、街中で目に留まったお店に飛び込んでみるのも楽しいかもしれないですね。
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