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部屋とパソコンと私

最近なんだか体の不調が多い。
30代になってから絶好調の日のほうが少なくなってきた。
肩は痛いし、頭もいたい、運動すれば脚はつるし、寝ても腰が痛い。
若かったあの日にはもう戻れないのね…とサプリと通院にて健康を整える日々だ。

そんなこんなで、今日は夜の仕事のほうの話をしようかと思う。
16歳くらい(その時はそんなに風営法が厳しくなかった)から今まで唯一続けている仕事がホステスだ。
最初は宴会コンパニオン(脱がない)、パブ、ニュークラ、ラウンジ、クラブと飲み屋は一通りこなしてきた。
負けん気が強いのと文句を言われることが最大に苦手とする私はどこいいてもナンバーに入ることができた。
お客様も太めのお客様(高額を使ってくださる人)の一本釣りではなく、組数が多いタイプのホステスだ。
そんな中、面白かったお客様の話をしようかと思う。

ぴちぴちの19歳の私は最強だった。
メスゴリラみたいに力が強かったわけではない。
最強で最恐だった。
まず、どこから来るかわからない自信があった。ビジュアルもそうだが、自分にできないことはないと思っていた。(できないことのほうが多かった。)若かりし頃の謎の自信は本当に今となっては謎だが、人生いろいろあった私で今ある自信は生きていたら何とかなるだけなので、少しだけならその自信を分けてほしい。

私は、おとなしい感じのおじ様たちがメインのお客様だった。
そんな中で、5つ上の25歳のお客様がいた。
職業は不明だが、たぶん普通の会社勤めで株か何かでお金があった感じだったと思う。
アフターはせず、同伴だけでいろんなおいしいお店に連れて行ってもらった。
話は、最近読んだ本や、食べたおいしかったもの、最近何が楽しかったかなど本当に普通の話しかしていなかった。
そんな中で急に「結婚っていつにする…?」と切り出された。
「ふぇぇぇぇぇぇぇえ!?」性的な行為もしていなければ、手もつないでいない。何なら好きって言ったこともない。
19・20歳である程度いろんな経験はしてきたつもりだったが、そんなこと言われるとも思っていなかった私はびっくりしすぎて声にならなかった。
「な…なんで?」が私が発せたやっとの言葉だった。
「気も合うし(合わせてる)、かわいいし、家庭的だし(今はできるがこの頃はまだ実家に住んでいた為嘘)、博識だし(YOUTUBE等の都市伝説が詳しいだけ)、ほんとに俺のこと考えてるなーって思ってた。好きだよ。」ってほんと見たこともない真面目な顔で言われた。
どうしたら正解かわからなくて、とりあえずお手洗いに行ってきますと伝えてお手洗いに行った。
どうするのが正解か…。結婚はない。断りたい。でも傷をつけるのもいや。なんて言おうか…。おもろい断り方のほうがいいか…。
何分もお手洗いに籠るわけにいかないので席に戻ってみた。
「ええっと。私まだ19歳だし、社会経験したいかもと思ってて。何やりたいかはまだ決まってないんだけど。なんか、偉い人になりたいかなって思ってて…。だからまだ結婚とかは考えていなくて。。。」
心の中で大突込み!なんていうおもろくない返し方してんだ!!断るにしてももっとおもろいい方あったやろ!
彼は悲しそうに「そっか…」といって
30分くらい飲んでお会計していった。
もう今後はないかな。と恐怖とちょっと寂しい気持ちになっていた。
二週間後くらいにご飯の誘いがあった。
ああ、理解してくれたんだと思って本当にうれしかった。
何にもなく普通に会話してかえって頂いた。

その週からだ。
切手の貼っていない手紙が私のポストに届くようになったのは。
手紙には、当時付き合っていた彼氏が家に来ていたことや、酔っぱらってバーテンが終わるまで待ってそのあと焼肉を食べに行ったことが詳細に書かれていた。
怖い。
単純につけられている事実が怖かった。
彼ではないかもしれない。でもわからない。あんなにいい人なのに。とものすごい恐怖に襲われた。
引っ越しをして手紙は届かなくなった。彼もお店に来なくなった。
タイミングだったのか、彼だったのかも今はもうわからない。
人の好意の裏は脅威だと教えてもらった。
こんなことがあって、怖かったのに水商売を続けられる私の精神もいかれているとおもう。

そんなこんなで、いまだに私は水商売を続けている。
私にとって一番向いていて、一番向いていない仕事が水商売だ。




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