創作小説「Vaio Stera」の小説プロトタイプ
「ああ……今日も推しがてぇてぇなぁ……ゆいたんの配信を見るだけで今日も幸せだぁ……」
推しのVチューバーの配信に夢中になっているのは、一般のVチューバー好きの男性、創田結人。
彼は普通に可愛い美少女のVチューバーが好きな、普通の人だった。
Vチューバーとは、簡単に言えば、アバターを纏って動画や配信等の活動をする人の総称の一つである。
Vチューバーに対しては、ライトなファンから命を捧げる程のヘビーなファンが存在しており、ネットでは今日もVチューバーに対して熱を注ぐファンが多数存在していた。
「ゆいたん!! ゆいたん!!」
「わかゆい~」
「今日も可愛い(投げ銭10万円)」
と、創田結人は極めて一般的なVチューバーのファンだった。
その創田結人は、推しのVRライブをヘッドセットを被って夢中になっていた。
『投げ銭ありがと~! 毎回言ってるけど10万円は嬉しいけど無茶はしちゃダメだよ~!』
「おっしゃレスもらえたーーー!!! 来月も節約して目指せ、10万円投げ銭!!」
推しからの言葉に一喜一憂する創田結人。
推しといれて幸せだ!! それをモットーに生きていた。
しかし、そんな彼に突然の人生最大の不幸が訪れる。
「今日の配信もサイコオオオ!! ってなんだかいい加減、かなり熱い……」
創田はヘッドセットを外し、クーラーが効いてないのかと思い、クーラーのリモコンを確認する。
そこには「冷房20°」とあり、部屋を冷やしている事を示すものだった。
「あれ、寒いままだ。なんで?」
そして周りを見回す。そして、自身に災厄が訪れていた事に気付く。
「うわああああああああああああ!?」
そう、火災だった。ドアから火の手が回り始め、完全に逃げ道を塞がれていた。
「どうしよう、火災警報器が鳴らない?!」
何故か作動しない火災警報機に混乱しつつ、逃げ惑う創田だったが、完全に逃げる場所が失っていた。
「死にたくない死にたくない死にたくない!!!! ごほっごほっ!」
煙が回り、いよいよ死期を悟る創田。そこで彼は、最期の行動に乗り出す。
「死ぬくらいなら……!!」
創田は辛うじてスマホを手に取り、推しのVチューバーの配信ページへ行き、人生最後の投げ銭をした。
「ずっとすきで(200円)」
そこから、創田の人生は幕を閉じた。
〇-〇-〇
デジタルが煌めく電脳の異世界で、とある集団が創田結人を見守っていた。
しかし、そこで彼に起きた緊急事態を見て、驚いていた集団がいた。
「やばい、”プロデューサー”が死んだ!!」
クラゲみたいな足の髪を持つ生命体は狼狽えていた。
「え、まずいでしょ!? なんとかならないの!?」
驚くピンク髪の少女。
「その人がいないと、私達の世界のVstar達が……!!」
「どうにかなんないの~、コロニー!?」
狼狽える青髪の少女と銀髪の美女。
「最終手段だ、アレをやれ、お前ら!! ライブの時間だ!!」
「こんな時にライブなの!?」
「でも、やるしかないんだね……。わかった!」
「マジでやるしかないよね~!! 急ごう!!」
ライブステージが突然現れ、そこに立つ三人の女性。それぞれのポジションに付き、音楽ライブが発生した。
「いけ、お前ら!! ライブ名はーーーーーー!?」
「「「 Virtual Stars!!!」」」
そしてピンク髪の少女が、前に出て叫んだ。
「再生数、稼ぎたーーーーーい!!!」
求めるものは、創田結人の異世界転生。それを懸けたバーチャルライブが始まる。
異世界転生をする彼が及ぼすのは、Vstar達への救済か、破滅か。
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Vaio Stera
Virtual Battle Royal ーVBRー 編
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一部一章① 「魂として彷徨っていた創田結人だが神らしき何かと勢いで契約しちゃって電脳の異世界に来ちゃった回」
〇ー〇ー〇
推しの配信が見られなくなるなんて悔しい。創田結人は死ぬのを激しく後悔していた。
(死後の世界って何にもないと思ってたけど、案外色々と考えれるんだなぁ……)
何もない世界で彷徨う創田結人。そこで、彼の中にはひたすら推しへの渇望が存在していた。
(幽霊の状態でもかまわない。ゆいたんの配信がみたい。配信が見たい。はいしんがみたい。ハイシンガミタイ。みたいみたいみたいみたいみたいみたいみたいみたいミタイミタイミタイミタイミタイミタイミタイミタイミタイミタイミタイ……)
ひたすら推しの配信を渇望する創田結人。しかし、彼が幾ら望んでも、推しの配信を見る事は叶わない。
(どうしてなんだよ!! どうして火事で死ぬんだよ!!! どうして推しの配信を楽しみたいだけなのにどうしてこんな死にざまなんだよ!!! 僕が何をしたっていうんだよ!!!)
(ホントに普通の人生を送って、そして篝火ゆい……普通に可愛い美少女のVチューバーと出会って僕の人生は変わって、バラ色になったというのに……!! 毎月10万円を投げ銭するぐらい!!)
(ああ。神様。いや仏様だろうが閻魔の大魔王だろうが関係ない。貴様らを倒し、現世へ蘇ってゆいたんの配信を見るまでは終われない!!)
(だけど死んだんだよなぁ……。このまま永遠に何もない空間を彷徨うのか。魂は輪廻転生して推しに捧げる事もできないのか……? それでいいのか?)
そこで、彼の魂に煌めきがほとばしる。
(いや、良くない。例え赤ちゃんになって転生しても彼女の配信を見る!! 彼女が大型ライブに出るのを見るまで僕はこんなとこで終われない!!)
更に、輝きが強くなる。
(終わってたまるかあああああああああああああああああああああああああああ!!!)
その輝きは、とある異世界にまで届く”炎”となる。
「うるさいぐらいに推しに渇望しているな、創田結人クン? そんなに推しの配信が見たいかい?」
(だ、誰だ!?)
「WAREか? WAREは神様みたいなもんだ。その神様からビッグサプライズだ」
(何でもします。この魂を捧げる事も誓います。だから、何卒望みを叶えて……!)
「ただし、Noプライズとはいかない。お前には、代償として修羅の道を歩んでもらう事になるが、それでもいいか?」
(上等だ!! やってやる!!)
「素晴らしい。グレート。良い返答だ。それでは、”電脳異世界”へご案内しよう!!」
(でんのう……? ってうわああああああああああああ!?)
創田結人は、突然の奔流に巻き込まれ、光輝く世界へと入っていった。
〇ー〇ー〇
「もしもし、起きて!! 死んじゃだめだよ!!」
ピンク髪の少女は白髪のバーチャルキャラクターへ呼びかけていく。
「大丈夫でしょうか……? 異世界転生させるのってネット小説並に上手くいくとは思えないけど……」
「だって”コロニー”だよ? 心配ないって~」
心配する青い髪の少女と、対照的にのんきな銀髪の美女。
「WAREを信じろ。彷徨っていた魂を見つけたから、アイツは直にここに来る」
「うう……」
「ほれ見ろ」
「ゆいたんっっっ!!!!」
突然、白髪のバーチャルキャラクターが起き上がり叫びだす。
「「「は???」」」
「ぷっ」
三人の美少女はきょとんとした顔になり、クラゲの足みたいな髪の生命体は、少し笑ってしまう。
「いや、こう言うのは違う気がするけどそれどころじゃない!?!? ここはどこだ!?!? 火災で死んだのにどうなったの!?!? ここは……どこ……?」
白い髪のバーチャルキャラクターは、突然の状況を飲み込めず、ひたすら周りをキョロキョロし始めた。
そして、近くの美少女達に声を掛ける。
「すみません……ここどこですか……? なんか、凄いデジタルっぽい世界なんですけど……」
「はい? えーと、ですね」
「デジタルな異世界だよ、ここは」
クラゲみたいな足の髪を持つ生命体が、声をかける。
「え、うわ!? UMA?」
「どうも、UMAです。こんなデジタルな異世界に巻き込まれて悪いが、お前にはお告げが二つあるよく聞け」
「えっ……? えっ?」
生命体は、白髪のバーチャルキャラクターの頭を両手でわし掴み、こう告げる。
「一つは、お前はバーチャルキャラクターに転生した。二つは、己の世界のVstar界隈生命を懸けた戦いに出る、このチームのプロデューサーになってもらう!」
「………転生? 異世界転生?」
「それが、WAREがお前に提示した、修羅の道だ。言っとくが、途中で推しの配信は見れないぞ???」
名前を告げる。
「創田結人クン?」
「………はい?」
生命体から手を離され、白い髪のバーチャルキャラクターは自分の手を見る。
そして、置かれてあった鏡を見て、自分の姿を確認する。
そこには、背の低い白い髪の美少年がそこにいた。
「はい?????」
創田結人は、ひたすら混乱するしか無かった。
〇ー〇ー〇
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この小説は創作企画「Vaio Stera Project」の小説のプロトタイプです。正式版の時には、変更が加えられている可能性もございます。
企画の詳細はコチラ↓
https://note.com/eireon/n/n688939c473f1
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