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英語 聞き取れるようになるには

日本人なら聞き取れない!?

日本人が英語の発音を聞き取るのが難しいということは、英語学習者にとって一般的な問題です。多くの日本人が、英語の音を正確に聞き取れない、あるいは聞き分けられないと感じる理由には、言語の音韻体系や文化、幼少期の言語環境、そして無意識的な音の処理が深く関係しています。

この記事では、日本語話者が英語の音を聞き取ることが難しい理由と、その現象がどのように起こるのかを詳しく説明します。

母語の影響と音韻的なカテゴリー化

幼少期に学ぶ母語(第一言語)は、脳がどの音を重要視し、どの音を無視するかを決定します。この過程で脳は「音韻カテゴリ」(phonemic categories)を形成し、母語に存在する音は明確に識別できるようになりますが、逆に母語に存在しない音に対しては感度が低くなります。

例えば、日本語には英語の /θ/ 音(「thing」の "th" の音)や /l/ と /r/ の区別がないため、日本語の音韻体系にはないこれらの音を区別するのが難しいのです。結果として、日本語話者は英語の「thing」を「sing」として、あるいは「light」を「right」として認識してしまうことがあります。これは、英語の音が「聞こえているけど、意味をなさない」ために、脳が無意識的にそれを聞き流してしまうという現象です。

音が「聞こえていない」という錯覚

日本語話者が英語の音を「聞き取れない」と感じるのは、音が実際には耳に届いているのにもかかわらず、それを認識する脳のプロセスで無視されてしまうためです。これは、母語に基づいてどの音が重要で、どの音が無関係かを脳が判断しているためです。そのため、英語の音は「聞こえているけど、聞こえていない」と錯覚されるのです。

たとえば、英語の /l/ と /r/ の音は、日本語にはない音韻的な区別です。日本語話者の脳は、これらの音を別々に処理する必要がないと判断し、結果としてこれらの音が同じ音として処理されてしまいます。この無意識の音の処理が、日本語話者にとって英語の音を「聞き分けられない」原因となっています。

文化の影響と音の知覚

文化もまた、音の捉え方や言語使用に影響を与えます。ある文化では特定の音が象徴的な意味を持つ場合もあり、音をどのように解釈するかが異なります。日本語では、「ラ行」と「ラリルレロ」の音が同じカテゴリに含まれますが、英語では「light」と「right」は全く異なる意味を持つ別の音です。このような文化的な違いが、日本語話者が英語の音を正確に聞き取ることを難しくしている要因の一つです。

言語習得の柔軟性と克服方法

ただし、文化や育ちが初期の音韻認識に大きな影響を与える一方で、人間の脳には言語学習の柔軟性もあります。特に幼少期には新しい音に対する感度が高く、訓練や適切な音声環境によって、新しい言語の音韻カテゴリを習得することが可能です。成人でも、意識的な音声学習やリスニング訓練を通じて新しい音の認識を向上させることができます。

結論

音をどのように言語として捉えるかは、文化的な背景や育ち、特に幼少期の言語環境によるところが大きいです。しかし、学習や経験を通じて、新しい音韻体系に適応する能力も持ち合わせているため、文化的・育成的な影響が全てを決定するわけではありません。音韻的な柔軟性を保つことで、異なる言語の音を学習し、理解することが可能です。



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