『恋奴隷』と『趣味嗜好』
趣味嗜好。
それは、個人が好きなこと。好んで行うことがらを指します。
付き合っている彼氏彼女が相手の趣味嗜好に似ていくということがあると思います。
例えば、食事の傾向です。
付き合う前はあまり食べなかったけれど、相手が好んで食べていることで、自身も食べる頻度が高くなり、いつの間にか好んで食べているなんてことはないでしょうか。
何故似ていくのか。
それは、相手のことを想い合い、より相手の心に寄り添いたいと想うことで似ていくのだと私は考えます。
片想いでは?
片想いとは、相手のことを一方的に好きになることです。
自分が相手のことを好きでも、相手は自分に対して特別な感情を抱いていません。
関係性によっては、全くの無関心であることだって有り得ます。
ですから、当然片想いの場合、相手の趣味嗜好に変化は無く、自分だけが相手に似ていく可能性が高いと言えます。
相手が「最近○○に嵌まっていて~」と言えば、少しでも相手との会話の機会を増やしたくて、それについて調べ始めてしまうことでしょう。
場合によっては相手よりも嵌まってしまうこともあるかもしれません。
もっと話したい。
もっと仲良くなりたい。
彼女になって欲しい。
そういった相手への想い。それが強ければ強いほどに、自身の趣味嗜好は変わりやすいのではないでしょうか。
では、それが恋奴隷だとしたら?
恋奴隷も基本的には片想いと同じであると思われますが、大きく異なる点があります。
それは、ご主人様の調教によって、恋奴隷はその心をご主人様に捧げ、ご主人様に片想いさせて頂くためなら何でもしてしまう点です。
調教で何度も告白させられていくうちに、次第にその告白は”言わされた”告白ではなく”自分の心からの”告白に変わっていき、ご主人様への告白無しでは生きていけなくなります。
ご主人様に告白させて頂くにつれて、ご主人様への恋は強固になっていき、告白する度に告白したくなるようになってしまうでしょう。
告白するためにご主人様には絶対服従。
許可を貰うためにご主人様の機嫌を伺い続ける。
だから、恋奴隷は片想いよりも相手/ご主人様の趣味嗜好に染まりやすいと言えると思います。
また、快楽と恋を結びつけられて、強烈な射精の快感を告白に置き換えられた奴隷は、ご主人様へ恋していること自体が快感になってしまうかもしれません。
そうなったら最後、ご主人様への恋は永遠に醒めることのない恋へと昇華し、ご主人様に告白させて頂くために人生全てを捧げている完全な告白中毒者の完成です。
そして、これはご主人様が複数の恋奴隷を飼っている場合、さらに顕著に堕ちやすくなります。
他の恋奴隷よりも自分を見て貰いたい。
後から恋奴隷になったくせに、自分よりご主人様に愛されているなんて許せない。
恋奴隷の中でもご主人様の一番になるため、恋奴隷達は他の恋奴隷よりも深くご主人様に溺れていってしまうのです。
ご主人様の何気なく一言「○○が好き」と言うだけで、他の恋奴隷を出し抜くために趣味嗜好を変えていってしまうでしょう。
つまり、恋奴隷の趣味嗜好はご主人様の思い通りに変わっていくのです。
ですが、それは本当に趣味嗜好と言えるのでしょうか。
趣味嗜好とは、個人の好きなこと。
ご主人様に操られる”好きなこと”は、個人の”好きなこと”なのでしょうか。
ですから、恋奴隷に趣味嗜好は有りません。
恋奴隷は趣味嗜好すらご主人様に捧げているのですから。