立秋(桃ハーブとモルトの香り)#二十四節気の手紙
一年を春夏秋冬の4つに分け、さらに約15日ごとに分けた二十四節気。農業の目安として季節の変化に対応するために中国より伝来したと言われています。
移ろう季節をより身近に感じることができたらと思い、ミックスドリンクスタイリストのemmyと、いけばな作家のMayu Araiによるドリンクとお花の交換会をはじめました。
二十四節気の時季に合わせ、お手紙のやりとりをしていきます。
今回は第十六回目の『立秋』、emmyからのお手紙です。
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Mayuさんこんにちは。
じっとしていても汗がしたたる日が続きますがいかがお過ごしでしょうか。
大暑にいただいた「利休草とルリタマアザミ」、すっと伸びるような線と色合いがとても涼やか!お写真からなんども涼をいただきました。
暦のうえではもう立秋。こんなにも暑いのに!と思いますが、今週から関東ではゆらぎのあるお天気だそう。残暑、残炎と挨拶も変わるように、これからゆっくりと次の季節へと向かっていくのですね。
外の暑さに加え、今年はとくにクーラーの冷えで食欲が落ちてしまいがちですが、スイカ、メロン、プラム、ぶどう、ココナッツ、トマト、、、、想像だけでも喉が潤う夏の実り。みずみずしさに身体が支えられます。
今の時期に目を奪われるのはやはり桃でしょうか。ころんとした丸いフォルムと淡く毛羽立つ薄皮。ふんわり甘い芳香に思わずうっとりしてしまいます。
孔子のころから食されていたと言われる桃ですが、桃源郷の文字に桃が入っているように、伝説や書物にたびたび登場し神聖なものとして扱われていたそう。
シルクロードを旅し、不老不死の仙果と呼ばれたのは黄色い果実の蟠桃。日本では水蜜桃が伝来されてから独自の改良を重ね、たっぷりと水分を含んだやわらかな白桃が主流となったようです。
ジューシーな桃をがぶり、と口いっぱいに頬張って味わうのもたまらなく好きなのですが、今回はとろりとした桃のコンポートのシロップを使ってドリンクを作りました。
白ワイン、レモンバームと合わせ、ひんやり休ませたコンポートシロップに、木樽の熟成の香りがするモルト風味のビネガー、炭酸。
アニスを少し加えて桃の複雑な甘みをひき立たせます。
クリアな見た目の、したたる桃の果実を表現したドリンクとなりました。
近頃は情緒あふれる夕焼けが目に美しく、なんとも切ない気持ちになってしまいました。お盆もある晩夏は絡みつくような熱気の中にいろいろな感情を含ませている気がします。
秋に向かうにつれて草花の表情もきっと変わっていくのでしょうね。次の節気のMayuさんのいけばなもとても楽しみにしています。
時節柄、くれぐれもご自愛くださいませ。
それではまた!
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二十四節気に合わせ、季節に寄り添ったドリンクとお花の交換会をしていきます。
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