啓蟄(八朔)#二十四節気の手紙
一年を春夏秋冬の4つに分け、さらに約15日ごとに分けた二十四節気。農業の目安として季節の変化に対応するために中国より伝来したと言われています。
移ろう季節をより身近に感じることができたらと思い、ミックスドリンクスタイリストのemmyと、いけばな作家のMayu Araiによるモクテルとお花の交換会をはじめました。
二十四節気の時季に合わせ、お手紙のやりとりをしています。
今回は第五回目の『啓蟄』、emmyからのお手紙です。
-
Mayuさんこんにちは。
桃の節句も過ぎ、やわらかに重なる日増しに春のはじまりを感じます。草花の芽吹きに誘われ「啓蟄」の虫のようにむずむずと...いえ、これは花粉のせいかもしれません。浅春の候、いかがお過ごしでしょうか。
『雨水』にいただいたお手紙の「こでまりとアマリリス」のいけばな、とても美しかったです。無邪気なこでまりと凛とした佇まいの鮮やかなアマリリスに目を奪われました。藁でする水揚げ、気になってついいろいろと調べてしまいました。Mayuさんがつくられるお庭、きっととっても素敵・・・!いつか拝見してみたいです。
厳しい寒さが緩むころ、旬を迎えた個性のある柑橘が次々と登場し楽しませてくれます。今回はさっくりとした食感と素朴な甘さが特徴の八朔を使ったモクテルをつくりました。
八朔の果汁とヨーグルトのホエイ、柚子の果汁を少し加え、ミキサーで混ぜます。グラスに移し、ソーダとトニックウォーターを注ぎました。
ほろ苦さを活かしたくて八朔はぎゅうぎゅうと目一杯搾り器で搾り、皮をむいた果肉を重なるように飾りました。
柑橘サワーみたいにぐびぐびっと飲めるノンアルコールカクテルです。
果肉がぷりっとした八朔は広島県のお寺でたまたま見つかった品種で、どこからやってきたのか、親品種は何なのかも不明な謎多き果実です。
八朔といえば二十四節気でも9月のころに『八朔』の暦がありますね。八朔の栽培をしていた住職がこの新しい果実を「八朔(旧暦8月1日)のころには食べられる」と言ったからなのだそうです。
現在では冬の寒い時期に収穫し、貯蔵して甘みを引き出した2〜3月ころが美味しい時期と言われています。ずいぶん季節のズレを感じますが、会話のなかからいつの間にか名称にまでなってしまうところが面白いなあと感じます。
柑橘は土地土地に根差し、栽培されてきた種類が多いのでまだまだ知らない品種がたくさんあります。まだしばらく柑橘を楽しめる時期なので、ご当地柑橘を探したいと思います。
今日は土の匂い、生命の息吹を感じる「啓蟄」のころ。
今年の桜の開花予想はずいぶんといつもより早いそうですね。変わらない時間と移ろう季節がMayuさんにとって穏やかな日々となりますよう願っています。
それでは、また。
*
二十四節気に合わせ、季節に寄り添ったドリンクとお花の交換会をしていきます。
よければこちらもマガジンをフォローしてください◯
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?