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始まりのガネーシャのひとりごと
こんにちは。僕です。
え?だれかわからないって?それはそうですよね。みなさんは人間ですものね。僕は、名前が108個くらいあるんですけど(ん?1080だったかもしれないな)メジャーなところで言うとガネーシャって呼ばれています。
名乗られても聞いたことがないって?
おかしいなあ。インドだと結構有名な神様なんですよ。
**顔が象で体は人間の形をしてて、自分で言うのもなんだけど、結構ユニークで人気なんです。 **
僕のお父さんはシヴァって神様で、お母さんはパールヴァティーっていう神様。
僕はお母さんの体の垢を集めて作られたんです。
何それ、怖いって?そうかなあ。普通じゃない?
それでね、細かい説明は省くけど、
なんだかんだあって、お父さんに頭切られちゃったんですよね。ふふふふ。
で、お母さんが、「あなた!うちの可愛い息子になんてことするの!どうにかしてちょうだい!!」って怒りくるったもんで、
お父さんは「わ、わ、わかったよ。次にきたものの頭を代わりにつけるからそれで許しておくれ」と。
でも次に来たのは人じゃなくて象だったんですよねぇ。
「約束は約束だからねぇはははは」とお父さんは象の頭を切ってきて、その頭を元々のぼくの体の上につけた、と。
代替的な感じで。おしゃれでしょう。
仕事ですか?仕事というか、
主にみんなの障害を取り除いてあげてます。
商売繁盛や学問の神様とも呼ばれてるんですよ。
確か、ヨーガのクラスとかヴェーダーンタのクラスの前には、僕の名前を唱えてくれている人間も多いんじゃないかなあ。
あ、そうそう、僕の話じゃなくて、マハーバーラタの話でしたよね。
昔インドのあたりにヴャーサっていう人がいたんです。
彼は、ヴェーダーンタという聖典をより伝わりやすくするために、何ができるだろうかと考えました。
ヴェーダーンタって、すごく大切な知識の集合体なんですけど、
完全に理解をするにはちょっと難しいから、どんな人でも読めるようにできないものかと思ったんですね。
そこで、ヴェーダンタの教えをちりばめて出来上がった物語がマハーバーラタ。
すっごくいいお話に仕上がったには仕上がったんですけど、
実は一つ問題が。
ヴャーサ、マハーバーラタを作ったはいいんだけど、まだ頭の中で描いただけ。
だから、そのマハーバーラタを書物として書き留めたいけど、彼、実は文字が書けなかったんです。
だから自分ではできないと思ったんですって。しかもものすごく長い話になったし。どれくらい長いかというと、10万詩。
(注:聖書の約4倍の長さ)
まーた話がずれちゃったかな。
自分で作ったマハーバーラタという壮大な物語を書いてくれる人を探そうと、ヴャーサはブラフマー神に尋ねたのです。
「ブラフマー神よ。私のこのマハーバーラタを筆記してくれる、博識な方はいないものでしょうか」
するとブラフマー神は「それなら、ガネーシャがいいんじゃない!」と僕を推薦してくれました。
それを聞いたヴャーサは僕を呼ぶべく、深く僕のことを想って念じました。
僕は神様なので、そうやって念じられると、彼の元に行きたくなるんです。だから僕は彼の元に向かいました。
僕の姿を見たヴャーサは開口一番、マハーバーラタの筆記をしてくれないか、と僕に頼みました。
けれど僕は言いました。
「うーん。いいけど、条件があるんだ。
僕は、一回書き始めたら、僕ですら自分の手の動きを止められないんだよ。
それは凄い速さなんだよ。そのスピードに君はついていけるの?
君がしゃべるのに詰まってしまったら、僕はそこで書くのをやめてしまうんだぞ。
そしてそこで止まったらもう二度と書くことはできないんだ」
彼は少し考えこんだ後にこう答えたのです。
「ではガネーシャ様、こういうのはどうでしょう。ガネーシャ様は、私が言ったことの意味を全部掴んだ上でのみ、筆記していくというのは?つまり、私が言った話の真意(ヴェーダーンタとしての理解)がわからない限り、書いてはいけないということですな」
あ、そういうの、嫌いじゃない。
と思った僕は承諾して、この話を書き取り始めました。
そうやって出来上がった叙事詩が、
こうやっていま、時代を超えてみなさんに読んでもらえると思うと、まあ悪くないですよね。
そもそもマハーバーラタってどういう意味かって?
インド地帯はその昔、バラタと呼ばれていたんです。
バラタがどこからどこまでかはいろいろ説がありますけど、
一般的に言って「ヴェーダ・ヴェーダーンタの教えが浸透している地域」という位置づけ。
マハーというのは「偉大な」という意味があり、
バラタに住む人々のことをバーラタというので、
つまり繋げると「偉大なバラタの人々」ということですね。
そのバラタの中には、たくさんの王国があり、
ヤドゥ・プル・バラタ・クルといった偉大な王たちが君臨していました。
その中でも最後に出てきたクルという王の末裔から、このマハーバーラタという長い長いお話の幕は上がるのです。
これからお話の本筋に入りますけど、
たくさんの人が出てきてこんがらがっちゃうかもしれない。
そんな時は最初の登場人物をを参照しながら読んでみてください。
まずは暗記しようとか思わないで、楽しんで欲しいな。
僕はヴェーダ・ヴェーダーンタの知識は全て理解し学んでいるけれど、
このマハーバーラタというのはそれらの知識を学び、理解するための第一歩のお話なんです。
前も言ったけど、本当は、マハーバーラタのお話の裏側にはすごく大事なエッセンスが詰まってる。
だから、そのエッセンスを知りたくなったら、ぜひヴェーダーンタの先生の門を叩くといいですよ。
僕がそういうんだから、本当のこと。
何?最後にどうしても聞きたいことがある?
なんで僕はかたっぽの牙が折れているのって?
だってヴャーサったら、ペン持ってないんだもの。
仕方ないから牙を折って、マハーバーラタを書いたんです。
そういえば最近、折った牙を見かけてないんだけど、誰か知らないかな??
まあ、これくらいにして。なんだか僕のことを質問されると恥ずかしいし、いい加減長いよね。
そろそろ始めようかな。
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