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TIFF 2022 Back in the Game!

去年の映画祭投稿から、はや一年。時間が経つのは早いなあ、とやたら感慨深い9月のはじまり。トロント国際映画祭開催まで、カウントダウン真っ最中です。2020年のコロナパンデミックで、オンライン上映やら、空席だらけの指定席上映やら、映画祭なのに静まりかえったダウンタウンキングストリートやら、なんだか異世界体験のこの2年間でした。しかし、今年はインダストリーも一般上映も、ほぼパンデミック前に復活です。TIFFの人たち、いきなりこのキャパについていけるのか?とちょっと心配ですが、トロントの映画好きにはたまらない9月。とりあえず、私のおすすめ映画を紹介します。

Brendan Fraser  ルネサンス

もう、なんといっても私が一番観たい映画はこれ。ブレンダン・フレイザーの『The Whale』です。ハリウッドイケメン俳優として一時期名を馳せたブレンダン。カナディアンの両親のもとに生まれ、トロント市内の名門男子校アッパー・カナダ・カレッジに通ったこともあります。1998年、イアン・マッケランと共演したGod and Monsters ゴッドアンドモンスターでは、それまでとは違った役柄と演技が注目され、1999年The Mummy ハマナプトラ 失われた砂漠の都で始まった マミーシリーズでは一躍ハリウッド第一線に踊り出ました。その彼が、ある時期から第一線を退き、ハリウッド映画ファンから「What happended to Brendan Fraser? ブレンダン・フレイザーどこいった?」と言われるほど、彼の姿を見なくなりました。彼が長い年月をかけて自らと戦ったインタビュー、2018年GQのザック・バロンの記事はこちらから。

実は、もうかれこれ30年くらい前に、彼と映画撮影現場でほんの一瞬ご一緒したことがあります。大スターなのに気さくで優しい人だなあ、という印象でした。そしてスクリーンで見る通りのチャーミングさ。その彼が、長いバックステージからのカムバックにダーレン・アロノフスキー監督(『ブラック・スワン』/2010 『マザー!』/2017)の今作品に出演したのも、なんとなく意味深いものがあります。怪我、セクハラ事件、離婚とハリウッドスタースター街道まっしぐらといかなかったブレンダンの演技が光る『The Whale』は、ベネチア国際映画祭で6分間のスタンディングオベーションだったそうです。うちの息子が「ブレンダン・フレイザー・ルネサンス」と名付けるこの作品、とても楽しみです。

サラ・ポリー X ミリアム・トーズ

アメリカンプロダクション(主プロダクションはブラッド・ピットのPlan B) なので、完全にカナダ映画と呼べないところがちょっと口惜しいですが、サラ・ポリー監督も作家のミリアム・トーズもカナディアン、しかも女性クリエーターというところが、私にとっての推しポイントです。『Women Talking』は、私のポッドキャスト相方、翻訳者の新田享子さんの注目作品でもあります。ミリアム・トーズの作品といえば、2021年トロント国際映画祭での『All My Puny Sorrows』、このNOTE 記事 TIFF 2021 & おすすめカナダ映画でも紹介しました。ミリアム・トーズの原作をもとにサラ・ポリーが脚本を起こし、監督したこの作品、オールスター共演も見どころ。ルーニー・マーラ、クレア・フォイ、フランシス・マクドーマンド、と最近注目の役者さんばかり。一体どんな物語が展開されるのか、サラ・ポリー監督の才能に要注目の作品です。

Mariupolis 2 クベダラビチェス監督の遺作

今作品が4作目、そして最後の作品となったリトアニア人監督、マンタス・クベダラビチェス。2022年2月24日に始まったウクライナ侵攻、今日で197日目です。2016年のドキュメンタリー作品『マリウポリス』に引き続き『マリウポリス2』と名付けられた今作品が彼の遺作となりました。4月2日、戦火の中、脱出を試み捉えられ殺害されたクベダラビチェス監督。もちろん完成作品ではありませんが、婚約者の手によって映像は持ち出され、長年彼の編集者として制作を共にするドゥーニア・シチャフ(TIFF'22ではフランス、ドイツ、ベルギー共同制作の『Return to Seoul』も編集を担当しています)によって編集されました。

その他、日本人監督作品は、韓国を舞台にした是枝裕和監督の『Broker』

カンヌ国際映画祭で新人監督賞で特別表彰された早川千絵監督の『Plan 75』

矢野顕子作品からうまれた深田晃司監督の『Love Life』、など。

トロント国際映画祭は、いよいよ今日9月8日から18日まで開催されます。映画祭後に、Back in the Gameで復活した映画祭の感想も書いてみたいと思います。ポッドキャストのシーズン2(2022年秋予定)でも、きょうこりんと映画祭作品の感想を語ろうかな。


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