世界二大ゲームショー(2023)のレビューと比較
説明しよう!世界三大ゲームショーとは6月にカリフォルニアで開催される E3 、8月にドイツ・ケルンで開催される Gamescom 、9月に東京で開催される東京ゲームショーの3つのことだが、E3が消えたことで2つになったぞ!
というわけで今回コロナ明けノリの2つのイベントに訪れたのでレビューと比較。
Gamescom はデカい
デカい。……デカい! どのくらいデカいかというと、TGSが展示面積54,000平方メートルなのに対して Gamescom のケルンメッセは23万平方メートルある。4倍だ。デカイデカイと言われてる Chinajoy でさえ17万平方メートルなので、圧倒的だ。
TGS では2~3つのホールがそれぞれ合体して巨大なホールを形成し、それが4つある(+ビジネスエリア)だが、Gamescom ではその規模のホールが10個くらいある(下図参照)。しかも、4,5,10などいくつかのホールは二階建てで、漫然と歩いていると遭難する。実際、会期中にどこに何があるかよくわからなかった。
見応えは双方十分
ただ、実際に出展社数を比べてみると、Gamescom が1220社、TGSが787社と何倍も差があるわけではない(それでも1.5倍近いが……)。その分、通路が広かったり、一つ一つのブースが巨大だったり、よくわからないオブジェが突っ立ってたりする。各国から出展しているパビリオンも TGS とは比べ物にならないほど大きい。(去年はジャパンインディパビリオンもあったのだが……)
来場者数は……ヤベエ!
TGS 2023 の来場者数は24万人。一方 Gamescom 2023 の来場者数は……32万人。あれ? 比率おかしくない? つまりどういうことかというと、TGS はめちゃくちゃに人を詰め込まれている。知ってた。
Gamescom は会場の広さもあって、人並みで通れないとかはほぼありませんでした。それでもダッシュすれば人にぶつかる程度には混んでましたけどね……。
TGS は場所によってはコミケ並です。幕張メッセ二倍になってくれ!
歩いてて面白いのは Gamescom
初参加なのでバイアス掛かってる部分は結構ありますが、歩いてて面白かったのは Gamescom です。ブースがデカくて気合入ってるのでワクワク感があるのと、参加者の熱量が高くて盛り上がっている、実験的な試みをしているブースがたくさんある、などなど。そして、世界中からゲームメーカーが集うので、世界視点でのゲームのトレンドが見られる所も大きな点です。比較すると TGS はやはり日本のメーカーが主体ですね(え? miHoYoとか NetEase に押されてる? シーッ!)。
例えば、XBOXのブースはすべての道はXBOXに続くとでも言わんばかりのドデカブースがホールの端を占拠してまして…
発売直前のACを遊んできました。といっても、スマートクリーナーミッションの、日本でも何回か展示されてたやつですが。
なんとフロアの半分がコスプレゾーンのホールもあったりして……
コスプレ修復センター!これは日本では見たことないですね。
Gamescom のコスプレは事前登録必要なし、更衣室も必要なしです。みんなコスプレのまま電車で着て帰ってます。なので、コスプレ率がめちゃくちゃ高いんですよね。ホール内でも売ってるし。
TGS は日本の平均的なイベントも同じく、事前登録必須、コスプレでの公共交通機関は禁止とコスプレへのハードルが高いので、コスプレエリア外ではほとんど見ませんでした。コンパニオンの方が多いのでは。
別にどちらがいいとかはないですが、Gamescom の方はカジュアルにコスプレを楽しんでいる感じがあって良かったです。ビジネスデーに正装で来て一般デーにコスプレで来たあんちゃんとかもいて面白かった。
他にも、動画で撮ったので載せづらいんですが、自分の足で動く VRFPS をサッカー場くらいの面積でやっているブースや、卓球台でヘディングバトルをする HEADIS の大会が催されているブース。なんかよくわからないけどバスケのシュート競争やってるブースとか、NETFLIX はストレンジャーシングスのピザ屋出してたりウェンズデーのメイクをその場で施してくれるブース出してたり。もう意味がわからん。
日本ゲームの盛り上がりを感じたいならTGS
TGS といえば、人、人、アンド人……。ほぼゲームだけのイベントで、ちゃんと人を何十万人も集めることができる。これってやっぱり凄いことですよね。
ゲームショーはやっぱり、宣伝効果というより今勢いのある所が勢いのあるまま人とメディアを集めてお祭りをする場所ですので、どういう企画が今アツくて、どういう会社がイケイケなのか、そういう定点観測を行うにはもってこいです。行って損はない。
まあ、試遊は午前中に整理券売り切れますけど……これはもう仕方ないというか……幕張メッセの大きさが二倍になるしかないというか……。
飯は……多分TGS
ドイツには肉とポテトとビールしかないと思ってる諸君……その通りだ!ドイツには肉とポテトとビールしかない。しかも高い。
屋台はホットドッグとホットドッグと……ヴィーガンホットドッグ。たまにケバブだ。根気よく探せばチャイニーズフードにありつけるぞ。
TGS はちゃんとフードコートがあって、色々と屋台が出ているので選び放題。めちゃくちゃ混んでたらしいですが……。しかし、イベントにこんな豊富な種類の屋台が並んでるのって日本くらいなんじゃないでしょうか。丼ものから麺類からホットスナックからハンバーガーからなんでもある。
今回はめちゃ混みを予想してたので利用しませんでしたが、多分飯は TGS ……というか日本に敵う所はないと思います。
*ちなみに、幕張メッセの外に出て周囲のビルに入るとまた色々選択肢があります。しかも意外と空いている。
交通の便は……どうなんだろう
幕張メッセ……遠い。
けど、Gamescom のケルンメッセはどうなんですかね。日本からの参加者はケルン市内か近郊のデュッセルドルフあたりにホテルを借りてるので、近いんですが当たり前。フランクフルトからケルンはまあまあ遠いですし……でも世界中から参加者が来るしあんまり気にしないか? 10時間の飛行機旅の後の1時間の電車なんて誤差よ誤差。
結局のところ、会場の交通の便に関しては、実際に両方に泊まりで参加した人しかわからないと思います。識者求ム。(幕張周囲のホテルはめっちゃ高くなるとは聞いた気がする。まあケルンもだけど……)
完全に余談ですが、ドイツでは毎朝電動キックボードで20分くらい乗ってホテルから行きました。ドイツの電動キックボードはめちゃくちゃ良かった。そこら中に落ちてるのを拾ってスマホでピッとやれば動くので、タクシーより利用が遥かに簡単だし、道も広いから乗りやすい。そして風が気持ちいいので乗ってて楽しい。
まあ、20分乗って600~800円くらいかかるんで、二人以上で移動するならタクシーの方が圧倒的に安いんですが……。それはさておき。
実際に展示してみて
試遊台の来場者数という点では、恐らくあんまり変わらないと思います。というのも、ひっきりなしに人は来ますし、一台の試遊台で捌ける数は規模に拠らないですしね。
やはり、最も違うのは当然ですがプレイヤー層。日本人と外国人では、反応も詰まるポイントも感動するポイントも全然違います。日本人はみんな黙々と上手にプレイするんですが(多分、日本人の方が平均的にゲーム上手いです)、外国人でノリのいい人だと一生口に出して驚きながらプレイしてくれたりします。「これやべえな!?」とアイコンタクトしてくる人も。
ゲームメディアも、 TGS なら日本のゲームメディア中心、Gamescom は海外のメディアが世界中から訪れます。ウィッシュリストの伸びも全く違う層から発生するので、出れるなら両方から出ておいて損はないんですが……個人ではちょっと大変すぎますね。
Gamescom での展示
5日もあるのが何よりツラいです。こちとら Bitsummit の 2日ですら瀕死なのに……。殆どのお客さんが英語話者、たまにドイツ語しか話せない人もいると思えば、日本のゲームが好きでニホンゴ、チョットシャベレルな人も来たりで面白いです。そういえば、コスプレの他にタトゥー率も半端ないですね。3割は超えてた。
Gamescom の Indie ブースでは休憩室がちゃんと用意されていて、その中では疲れ果てたインディーゲーム開発者がソファーでくたばってます。スポンサーに提供されたノンアルコールのドリンクが完全無料で飲み放題なのはいいですが、2日で飽きてきます。そしてただの水や炭酸水は初日に無くなりました。なんで?
軽食も用意されますが冷たいヴィーガンホットドッグのみです。結局、6ユーロ出して食べたヴィーガンじゃないホットドッグがうまかった……。
面白かったのが、ちょっと過激な表現が入ってて18禁のゲームも展示できることです。通路からは見えないように筐体が逆向きになってます。エロもいいのかな?(ダメそう)
あとは、周囲は当然海外の開発者なので、異文化交流ができますね。隣はブルガリアのゲームデベロッパーでした。見識を広めたい人にはオススメ。もう少し英語できればな~~。
TGS での展示
TGS 2023 では自分は直接展示はしてなくて、PLAYISM ブースで EDEN.schemata();、ハピネットブースで幻走スカイドリフトを展示してもらってました。楽チン。やっぱり展示は他人の手に限る!!(すみません、感謝してます……)。
で、それとは別に友人のブース(in Selected Indie 80)を半日だけ手伝ったりしたんですが、たった半日なのに足がツラい……。一日コンクリート床に立っていても疲れないようなスゴイ靴とかないんですかね。モンベルの登山靴とか……? 人の入りはなかなか盛況で、どのブースも大体常に試遊されていました。ちなみに TGS もご存知4日間なので、ソロプレイは絶対死にます。
Gamescom のように外部と遮断された休憩スペースはありませんが、傍にミーティングスペースと銘打たれた椅子と机の休憩ゾーンがあって、疲れた開発者が転がってました。もう疲れちゃってェ……動けなくってェ……
しかし、TGS のインディーブースは昔はかなり虐げられてたんですが、今は大分マシになりましたね。よかった!
2017年頃なんかはだだっ広い 8,9,10 ホールのド真ん中に放置されてたりしたんですが。今回の8,9,10 ホールは(上から三番目の写真参照)VR/AR、物販、インディーが所狭しと並んで、ホールの通路もゆっくりとしか歩けないほどでした。
まあ、一番ひどかったのは2020年のコロナ禍オンライン開催でしたけどね……気がついたら始まって気がついたら終わってた。
まとめ
どっちも楽しかったけど Gamescom は歩いてるだけでも楽しい
人はどっちも多い
Gamescom イイトコ一度はおいで
PAX や GDC も実は行ったことないので、そのうち行ってみたいですね。TGS と比べて Gamescom のハードルは大分高いですが、ぜひ機会があれば一度行ってみてください。
*今、ロシアが戦争してるせいで航空機の時間が二倍+チケットの値段も二倍ですが……。あと円安。
オマケ:宣伝広報としてのゲームショー
で、結局インディーゲームクリエイターとしては宣伝広報としてゲームショーがどのくらいの効果を持つのかが気になる所ではあります。
1プレイに10分掛かるとして、一時間に6人。7時間で42人。4日で168人ですが、全員がウィッシュリストに登録してくれた所で168ウィッシュリスト。ちょっと労力と合わないですね。そこから10%買ってくれて17Salesでは明らかに赤字です。
しかし実際の所、試遊人数以上にウィッシュリストはちゃんと伸びます。なぜだろうか? こういうのをちゃんと数字から分析できるようになったのがありがたいですね。
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