チーズトースト
朝,父がよくテレビを付ける。 番組もほぼ決まっていて、某目覚ましのテレビ。 寝てるんか寝てないんかわからん様な顔の父を横目に、僕は朝食を食べながら見てた。
その番組で、雑誌のモデルさん(?)が流行りのものを紹介するコーナーをやってた。 パンを食べて、またいつものように「外はサクサクで中は"ふんわり"してて美味しいです。」だって。
聞き飽きたフレーズ。 耳にタコが住み始めて、ポテチとコーラを嗜むぐらいまで聞いた。
それなら、「外はサクサクで中は"ゴリゴリゴリゴッゴリゴリゴッ"ってしてて美味しいです。」の方が気にならん? 何やそれって思うやろ。
なんて思ってたら、急に左にいた"ふんわり"が、「そんな事、言わんといてやぁ。みんな私を使っとんねん。分かりやすい方が良いやろ。」なんて言ってきた。
そしたら、右の"ゴリゴリゴ"が、「在り来り過ぎるんよ。同じ様な食感のパンしかあらへんのかい。」って喧嘩を売った。
「そんな訳ないやろ!」 「じゃあ、なんで"ふんわり"しか言っとらんのや。」 「それは、伝わりやすいからやろ。」 「そんなら、同じ食感しかあらへん事になるやん。」 ………
「うるさい!!」
あっ、しまった。 まぁ、いいや。
叫んだ衝撃で、朝食の準備を始めた父を横目に、「なぁ、どうでも良いけんさ、食べようや。」なんて言って、外はサクサクで中は"しっとり"としてる半分になったチーズトーストを、2つに分けて、僕はカフェオレを啜った。
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