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6月と7月に劇場で観た映画 WEEKLY CINTERTOTTING NOTES : 8/10/2020

 何がWeeklyなのか怪しくなってきましたが、いずれweekly更新に戻したい、私の映画鑑賞記録です。

 6月と7月は映画館へ足を運ぶことも増えました。両隣が空いた席に座って観る映画は、申し訳ないけど、とてもありがたい気持ちです。少しずつ鑑賞記録を書き残しておきます。

「ルース・エドガー」
 3ヶ月ぶりの映画館で、映画鑑賞。チケットを発券し、席についてあたりが暗くなり始めると、さあみるぞみるぞという気持ちになりますね。
 ジェフ・バーロウが音楽を担当、不穏がすぎる音楽が印象にのこる。クラスメイトたちのキャスティングもばっちり。特にルースがデートしてた女の子の雰囲気が生々しい。
 レビュー記事を色々と読んだけど「家族」としての関係性について解説しているものが無かったのが気になった。父親の「犠牲にしてきた」という感覚は息子にしみじみと伝わっているはずだと思う。
 また、もともとの名前が発音しにくい、と言ってルース(光)に改名したというエピソードがとても厳しかった。

「ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語」

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 良すぎて2回観た。こんなに心に迫ってくるものだと思わなかった。色んなシーンでたびたび泣いた。
 2回目の鑑賞で、それぞれの登場人物が抱いている思い、そしてこれから抱く思いというのが瞬時にわかった。鮮明に伝わってくるようなような演出やカットだったということに気がついてものすごく感心した。家の中がありえないほど可愛くて、劇のシーンは胸に閉じ込めたくなるほどだった。冒険心溢れるメタ要素にも脱帽。シャラメ演じるローリー、全体的に面白くてすごく良いのだけど勉強がイヤすぎてなのか椅子の上に立って何もないところを見つめている様子にめちゃくちゃウケた。

「21世紀の資本」
 この映画でもLORDのRoyalが使われていて、この曲は時代を語る傑作なんだなとしみじみ思った。しかし上が搾取しまくって止められないこの世の中って本当になんで?

「エジソンズゲーム」
 映画の始まりと終わり方が最高、鳥肌!
 しかし懲りすぎた演出にちょっとノれなかったのと、観たいと思ってた物語は、語られて終わってしまった感覚が強い!あとキャスティングの既視感がちょっとすごすぎた。仕方ないと思う。

「許されたこどもたち」
 邦画で私が良くみかける演出が多かった気がして、そこがどうかなとちょっと思った。どうしようもない怒りや家族の呪いを重ねた末、走ったり暴れたりするなかぐるぐるカメラが回る。何か違う表現が見たい。たとえば冒頭の血まみれの少年が母親に抱きしめられながらサムサックというかんじ。あれはたじろぐ画だった!
 しかし私もなんとかあの時期が無事に過ぎてくれてよかったなと思うほど、思春期の子どもたちが集まったときの閉塞感が見ているだけでしんどかった。

「レイニー・デイ・イン・ニューヨーク」
 あれよあれよと、と面白いことの運びなのかもしれないけど、私にとってはなんだか怖くなる展開だった。その渦中にある女の子が、実に地に足がついてない(そう描かれている)のであとから傷つくのが目に見えていてこちらとしては不穏なきもちでいっぱいになってしまった。監督のいじわるでばかばかしい会話でいっぱいな脚本は本当に大好きなのだけど、今作はそういう気持ちにはなれなかった。シャラメは、ちょっとイキらせたら本当に面白いね。

「はちどり」
 洗練された表現がすさまじく、ものすごく妥協していない感じが伝わってきたので、この映画がめちゃくちゃ評判いいということに驚いた。やや読めてしまうというか、見たことのない展開がある感じではない中で、長男の心の内が晒された時はそのメッセージに唸ってしまった。衣装(POCARI SWEETと書かれたTシャツ!)や美術がとてもいい、家の家具とか見ていると、父親の実家の空気を思い出した。

「WAVES」
 グレるケルヴィン・ハリソンJr第二弾。ヤンチャな感じもすごく似合っている。彼女役のアレクサ・デミーは「ブリグズビー・ベア」でジェームズと仲良くなった女の子、心身ともにイケてる子!という感じがすごくいい。音楽については、字幕をつけないほうがよかったんじゃないかな。音楽ってそういう伝わり方をするわけではないと思うので、観客に伝えようとするあまりの駆け足感がどうかな〜、と思った。
 (私のすごく個人的な感想)機能不全に陥った家族の、妹という立場にいるエミリーが母親という役割を担おうとしているように見えたので、そういう側面で、後半のセラピー展開がすごく印象的だったし、彼女が自分の感じる責任のようなものをなんとか全うしようとしているのがとても健気に見えた。そこに彼女のボーイフレンドと父親の関係も絡んでくるのがこの映画の発展的な面だと思った。

「透明人間」

 めちゃくちゃ面白かった!タイトな小物づかいがたまらない!伏線のタネをまいて、満開の花をぼかんぼかんと咲かせる感じ。透明人間が実にハイスキルな陰湿さで、主人公の女性がガスライティングされてしまう展開に「こりゃ周囲の気持ちもわかる…理解してもらえるはずがない…」と一緒に絶望を味わえた。とてもスリリングだった。あと映画がものすごいルームツアーで始まったのがなんかすごくよかった。なんなんあの家…
 犬もいいね。犬はなんでもお見通し。幸せになってね。

「マルモイ ことばあつめ」
 日本統治時代に祖父母が体験したことや、日本で生まれ育った在日コリアン2世の父親の話しを思い出しながら鑑賞。私自身は朝鮮ルーツを持ちながらも、言語に親しみがないまま育ってしまい、そのことに対してとても複雑な気持ちを今もずっと抱えています。
 なので、実にイキイキと読み書きを勉強する非識字者の主人公の姿を見ていると、なんだか魂に訴えかけてくるようなメッセージで胸がいっぱいに。ユ・ヘジンがこのキャラクターを本当に愛嬌たっぷりに演じていて、その豊かな表現力に本当に感心する。朝鮮語会の代表は「犯罪都市」で恐ろしい中国人ギャングを演じたユン・ゲサンだった。それにもびっくり。それにしてもキャラクターの人柄で物語を進める脚本、本当に王道なんだけどうまい。
 たんぽぽにまつわる話しには、声を抑えながら大号泣。パンフレットの宣伝担当の方の文章を読んで、また言葉にうまくできない思いになる。

「悪人伝」
 前評判やあらすじを聞いて、あまりに期待値があがりまくっていたためか、オヤ?というのが正直なところ。雑なあらすじに気が散ってしまうということと、マ・ドンソクが演じる役柄が実のところとても話しのわかる人というのが「思ってたのと違う」というところの大きな要因だった。決してつまらなくはないのだけど、フレッシュさには欠ける気がした。サンドバッグのシーンがピークだったかもしれない…

「パブリック 図書館の奇跡」
 ものすごくキュートな語り口、エミリオ・エステベスの佇まいが本当にチャーミング。あのやや遠慮がちな接し方の実在感がすごくて、友人のことを思い出したりしていた。製作監督脚本主演を勤め、まさにこの映画のハート。11年かけて完成した作品ということで、成熟しきった、地に足がついたアプローチが伝わってくる。
 「怒りの葡萄」のあらすじを用いたシーンが忘れられない。クライマックスは実にエモーショナル。できれば検察官側にはもうちょっと幅広いキャラクターを置いてほしかったし、特にアレック・ボールドウィンの役には発展的な心情の変化を映してほしかった。物語においてめちゃくちゃ重要な立場だと思う。


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