和 英香(をのうえ えいか)

旅、本、お酒が好き。読んだら旅に出たくなる、ガイドブックのように少しためになる小説を書いています。夢は本屋や図書館、ブックカフェ、ブックホテルなど本スポットを回る世界一周旅をすること!

和 英香(をのうえ えいか)

旅、本、お酒が好き。読んだら旅に出たくなる、ガイドブックのように少しためになる小説を書いています。夢は本屋や図書館、ブックカフェ、ブックホテルなど本スポットを回る世界一周旅をすること!

最近の記事

小説『本と旅と○○と』マレーシア #5 留学

成田から約7時間のフライトを経て、 クアラルンプール国際空港に着いた。 「Thank you」「ありがとうございました」「テリマカシ」 客室乗務員に見送られ飛行機を降りる。 私は高校3年の夏休み、マレーシアで2週間の短期留学をすることにした。 部活動が終わり、周りのみんなが本格的に受験勉強を始める中、 先生や友達には「大丈夫?」と心配されたけど、 留学はどうしても高校のうちにしてみたいことの一つだった。 留学したいことを母に相談すると「由美子がやりたいならやってみたら?」

    • 小説『旅と本と〇〇と』マレーシア #4 離陸

      8月、深夜の成田空港。 点々と灯りがまっすぐに延びる滑走路を前に、機体が静かに止まる。 エンジン音が鳴り、機体はゆっくりと徐々に、全速力で走る。 ふわっとした感覚とともに、窓の景色が空港の光から真っ暗な空に変わる、、、 以前は飛行機の飛び立つまでの瞬間が好きだった。 飛行機の離陸は高跳びと似ている。 スタートラインに立ち、気持ちを落ち着かせ、 目の前のバーに集中する。 助走の勢いを利用して、身体が宙に浮かぶ。 それはワクワクして、 一生自分は好きでいるんだと疑わなかった。

      • 小説『旅と本と〇〇と』マレーシア編 #3 空港パスポート

        「ドキドキするね。」 私は職場の同期、美玖、桜子と3年ぶりの成田空港にいる。 出国ロビーの突き抜けるような天井の解放感、 これから日本を出る、自分の国へ帰る人たちが入り混じった空間。 非日常に足を踏み入れ、これから本当に海外に行くんだという実感が湧く。 この日をどれほど待っていたか、、、 大学卒業後、あこがれだった旅行会社に就職した。 旅行で人を幸せにしたい。 旅行業界の厳しさを知って早々と転職した同期も多い中、 私の思いは変わらず誇りをもって働いていた。 しかし、その思い

        • 小説『旅と本と〇〇と』マレーシア編 #2 ガイドブック

          「ねえ、まだ?」 出発して5分もたっていないのに後部座席に座っている長男の優人が騒ぎ出す。 成田空港に向かう車内。 私たち中野家の一家4人はペナン島2日間、クアラルンプール2日間のマレーシア旅行に出発した。 次男の彰人を出産後はコロナの影響で海外旅行に行けず、 規制が解かれた今がチャンス、この夏に行こうということになった。 行先をマレーシアに決めてから、仕事や家事の隙間時間を見つけ情報収集する時間は私にとって至福の時間だった。 旅は行き当たりばったり、そんなに調べない方が楽

          小説『旅と本と〇〇と』マレーシア編 #1 旅のはじまり

          「なおこ、まだ決まらないの?」 真剣に本を選んでいるとき声をかけられてびくっとした。 スマホの時計をみると本屋に入ってから1時間も経っている。 雑誌コーナーで立ち読みして待っていた夫の明がしびれをきらして呼びにきたのだ。 来月のマレーシア旅行に持っていく文庫本を選んでいるのだが、なかなか決まらない。 文庫本なんて数百円なのだから、とにかく買えばいいのだけど、旅行にもっていく本は慎重に選びたい。 「ごめん、まだかかりそう。」 「先帰ってるよ。」 明は先に帰ってしまった。 旅

          小説『旅と本と〇〇と』マレーシア編 #1 旅のはじまり

          はじめまして。

          はじめまして。和 英香(をのうえ えいか)です。 本と旅というテーマで作った作品を多くの人に読んでもらいたいと思い、 noteを始めました。 旅行を再開して コロナが一段落した今、旅行の楽しさ、旅行に行ける幸せを身に染みて感じている人が多いのではないのでしょうか。 私は今その真っただ中。 旅行先で娘が笑っている姿を見ると幸せな気持ちになります。 日常生活では見ることができない景色、 初めての体験がこんなにも素敵なんだと。 健康で、旅行に行けるお金があって、安