『茶屋ファーム』さんのご紹介で『そばの里 ときわ』さんに行ってきました。
初めての名店訪問リポートです。
🔶お店概要
そばの里 ときわ
3代目経営者:富山仁敬(トミヤマ キミタカ)さん
住所:東京都町田市南町田2丁目1−29
電話:042-795-0046
営業時間11:00~20:00
日曜営業
定休日 水曜日
支払方法:現金のみ
最寄り駅:田園都市線南町田グランベリーパーク駅から1,116m
すずかけ台駅、グランベリーパーク駅から徒歩21分
創業 昭和32年 67年目【2024年3月時点】
🔶訪問動機
noterで富山県南砺市利賀村でそばを栽培し販売されている農事組合法人『茶屋ファーム』さんの記事を拝見し、個人的にも蕎麦好き、富山県繋がりも色濃くあるので、いくつか記事を閲覧させて頂き、コメントも寄せさせて頂いた。
◇茶屋ファームさんのご紹介
そして、何より富山県南砺市利賀村で頑張っておられるご様子の記事をいくつか拝見していたところ、町田市の同店にも玄そばを卸されているとの記事を見つけたので、ここはひとつお邪魔してみようじゃないか、という事に至った。
🔶訪問レポート
この日は、家内を連れクルマで出かけた。
昼時間を避けて向かった方が良いだろうと13時30分到着を目途に出発、ナビに従って、国道16号線を折れてから5分も走っただろうか?
脇道とはいえ、それなりの交通量がある。
さらに進んでいくと、ナビよろしく右前方に店が見えてきた。
路面店舗である。ちょいと先が町田街道と交わる交差点になっている。
ほぼ予定した時間に無事到着し、店側に近いエリアにクルマを止めた。
クルマから降りてすぐにお店の全景を眺めた。
お〜、中々良い感じの店構えだ。
入店するなり、明るい元気な女性の声で「いらっしゃいませ!」
と迎えられ、ずずっと手前席を通って奥の窓際の席に通された。
席に着き、メニューを覗き込んでどうしようかと思案していたところ、若女将らしき方と目が合い、注文をお願いするに至った。
迷った挙句、蕎麦そのものを味わうには、せいろなんだろうけど、以前から好みである『からみ大根蕎麦(大盛)』をチョイス。
家内は寒がりなのでメニューにはない『天婦羅蕎麦(温)』を注文。
注文の品が出来上がるまでの間、メニュー表を繁々と覗いていると、うどんのメニューも載っている。
長い歴史の中、お客さんからの要望もあって、加えられたのではないかと推察する。
しかも、うどんも手打ち、季節によって太さを変えているようだ。
本日の本題ではないが、麺好きとしては、いずれうどんにもトライしてみたいと思う次第。
注文後、すかさず、
「あの〜、富山県の茶屋ファームさんから聞きつけて伺ったのですが、ご主人はおいででしょうか?手が空いたらで結構ですので、少しお話を伺いしたいのですが、、、。」
とお伝えする。
ランチタイムを少し外して入店したにも関わらず、我々が席に着くとその後、老夫婦、中年夫婦、作業服風のビジネスマン2人連れと続々と来店、気がつけば8割の入り。
この時間にしては、中々の人気ぶりだ。
そう思っていると、すぐに若旦那の富山さんが我々の席の前まできてくれたので、すかさず切り出した。
※以降、富山さんは富と表記。
私:「あれあれ、お忙しいのに手が空いてからで良いのに、、、。」
富:「いやいや、少しなら大丈夫ですよ。」
私:「南砺の茶屋ファームさんの記事を見てお邪魔しました。」と改めてお伝えする。
富:「あ〜、そうなんですね。ありがとうございます。」
気を使って頂き、他のお客さんがいるのにも関わらず話し掛けてきてくれた。
申し訳なく、有難い限りだ。
私:「実は、noteを昨年暮れから始めたばかりなので、掛け出しなのですが、そこで茶屋ファームが書かれていたこちらのお店の記事を拝見し、それほど遠くないのでいつか出掛けてみようと思っていたんですよ。」
と動機をさらっと説明し、話題を変え、「ところで、富山県のご出身と聞いていますが、どちらなんですか?」と尋ねた。
富:「滑川です。」
私:「そうなんですか?え?近くですね。ウチの家内のところと。」
富:「どちらですか?」
妻:「黒部です。」
私:「ホント、お近くだ。隣町みたいなもんですよね。そういえば、富山訛りがあって懐かしいですね。」
富:「そうですか?すっかり抜けたと思ってたんですけど。」
私:「いや、懐かしいイントネーションだ。ねえ?」と家内に促す。
妻:「そんなでもないよ、、、。」
私:「昔、富山県黒部に盆暮れとか行った時には、私1人外国人でしたよ。イントネーションや言い回し、語尾、単語も違ったりしたので、、、。」
妻:「そんな変わらないですよね?娘もそんなに変わらないと言ってたし、、、。」
私:「そんな事はない、身内で話が始まると自分1人蚊帳の外だったよ。」
こんな取り止めのない話をして、ついつい話し込んでしまった。
私:「あとで手が空いたら、ゆっくりお話聞かせて貰っていいですか?」
富:「あ~全然、ぜんぜん。構いませんよ。」
大変気立ての優しい若旦那だ。
地元富山県の話が余程、嬉しかったのかもしれない。
申し訳ない、手を止めさせてしまった。
注文の品が出来あがりテーブルに運ばれてきた。
さあ、からみ大根蕎麦を頂くとしよう。
しっかり腰があって、こってりとした舌ざわりが心地良く、喉越しもすっきりと食べ応えのある蕎麦だ。
お店で玄蕎麦を挽いてるだけあって、全く風味が違う!
これはまさに好みの蕎麦だ。
面白いのは、トッピングだ。
三角形状に見えていたのは、注文時に何も尋ねなかったのだが、なんと豆腐だった。
それにサニーレタスが添えてある。
からみ大根蕎麦と謳っているが、ヘルシー創作蕎麦風に少しだけアレンジしているのだろう。
大分食味は違うが、何故か、名古屋の『山葵』というお店で『蕎麦サラダ』を気に入って食べていたことをほんの少しだけ思いだしていた。
家内の方は、天婦羅蕎麦を黙々と食べている。
私:「どう?おいしい?」
妻:「麺、それからつゆも出汁が利いててとても美味しい!」
こちらにも少し味見を試みる。
お~、なるほど、しっかりした麺につゆが絡んでいい感じだ。
その時、頭の中では全く違うことが渦巻いていた。
つまみやお酒もあるので、次は電車で来て、一杯やって、からみ大根蕎麦やせいろでシメたい。鴨せいろも良いよな〜。
そんな事を思い描きながら、食べ終わった。
では、一言お断りして、店内などを撮らせて頂くとしよう。
ぼちぼち、お店が空いて来た時、入り口近くの麺打ち場からトントントンと音がする。
富山さんが麺をうち始めている。
これはまたとないシャッターチャンスだ。
粉を捏ね、麺棒で伸ばし、麺切り包丁で切るところをお願いし、間近に撮らせて頂いた。
そろそろ話をしても良さそうな状況になってきた。
麺打ち場の部屋から出てきた富山さんが逆にこちらに話しかけてきた。
富:「改めまして、富山と書いてトミヤマといいます。富山県出身なんで、ちょっとややこしいですよね。僕は元々フレンチやってたんですよ。ホテルにもいたことあるんです。徳島から戻って3年です。」
私:「そうなんですね。フレンチから蕎麦の世界へ、しかもまだ3年なんですか?いやいや、すごいな。」
富:「ちょうどコロナの頃に義父さんの体調が悪かったのもあって、継ぐ事にしたんです。だから、蕎麦を本格的に習い始めてまだ3年なんですよ。」
私:「先程、麺を打つところ見させてもらいましたけど、体力相当要りますよね?」
富:「そうそう、そんなのもあって、義父さんも体力的に大変なので帰って来たんですよ。」
私:「一度にどの位の量を打つんですか?」
富:「大体、40食分ですね。腱鞘炎にならないよう無理しないでやってますよ。必要に応じて、足りなければ足して行く事にしています。打ち立てをいつも提供したいですからね。」
私:「ということは、多い時はかなりの体力勝負となるわけですね。」
富:「結構体力使いますよ。」
私:「家族経営でやられてて、先程の女性が奥さんですよね?あとで御夫婦での写真も撮らせてもらおうと思うんですが?どうですか?」
富:「違うんです。あの方は従業員さんで、ウチの家内はマックで働いてるんですよ。」
ホールを仕切っている女性がしっかりされていたので、てっきり若女将と思っていたら、奥さんではないと知り、さらに奥さんはマックで働いていると聞き、驚いた次第。
私:「おそばの原料はどんな感じで使われてるのですか?」
富:「各地の原料をブレンドしてます。その時によって、各々、出来不出来に差があるので、バランスを取る為にブレンドしてるんですよ。」
「今までは北海道、山形、長野の農家さんの蕎麦をブレンドしてたのですが、山形の農家さんが高齢となり安定的に供給できるかわからなくなって来たものですから、富山県の茶屋ファームさんの原料を使い始めたのです。」
私:「そういう事なんですね。生産地で使い分けしてると思ったら違うんですね。そういう点では、コーヒーと同じなんですね。」
富:「そうなんです。私、実は、フレンチもやっていたので、コーヒーも大好きでスペシャリティとか飲んでいた時期もあるんですよ。今はカルディで好きなのを選んで買っていますけどね。」
私:「なるほど、シングルオリジンだけでは足りない部分を配合することで補い合う点では、コーヒーと共通する話なんですね。」
続いて、2代目の本間敏夫さんが話しかけてきた。
本間さんは、富山さんの義父、つまり富山さんは娘婿である。
※以降、本間さんは本と表記。
本:「娘(長女)はさ、マックに勤めて10年になるんで副店長やってんだよ。辞めらんなくなっちゃってね。それと、婿はさ、徳島でホテルやフレンチやっていたけど後を継いでくれる事になったんだ。長男がいるんだけど、継がないというので娘婿が継ぐ事になったんだよ。」
私:「それは、良かったですね。何よりですよ。良いお婿さんだし。」
本:「親父が昭和32年に蕎麦屋を始めた時はさ、この辺りは何にも無かったんだよ。それがさ、立ち退き、立ち退きで2度も移転させられてさ。お陰で親父も俺も結構苦労したんだよ。」
「立ち退きっていったってさ、大した補償もないんだよ。だから必死で店守ってさ、持ち堪えたのさ。」
う〜ん、良い話だ。一緒に酒を呑みたい気分になってきた。
本:「あとさ、従業員も良い子ばっかりでさ、モンゴルの子なんてさ、ウチで働きながら、早稲田大学出て大手企業の研究所に入ったんだよ。すごいよね?」
切々と語る2代目本間さんと本気で酒を酌み交わしたくなってきた。
私:「ところで、この壁の書はどなたのですか?」
本:「あー、有名な人だよ。書家で鈴木景堂って人でさ、弟子がたくさんいてさ、彼らが持ってきたんだよ。兎に角、弟子がたくさんいるんだよ。」
私:「へ〜、そうなんですね。」
このまま、2代目 本間さんからさらなる深いお話を伺えるのかな、と思っていたその時、顔馴染みらしきお客さんが来店。
本間さんは、その人達に親し気に目配せと掛け声をしたのち席を立ち、歓談の場は急遽お開きとなった。
こうして、今回の名店訪問は完結し、富山さんにお礼を述べて、お店を後にした。
🔶最後に
前触れもなく、突然お邪魔したにも関わらず温かく迎えていただき、お話の場を設けていただいた3代目経営者の富山さん。
そして、創業者である父親から預かった大切なお店を娘婿の富山さんに託され、これまでのご苦労話の一端をお聞かせいただいた二代目経営者の本間さん。
お二方にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
誠に有難うございました。
そして、『茶屋ファーム』さん、良きご縁を頂き、感謝、感謝です!
とても美味しいお店がみつかったので、次回は、電車で向かい、気になっている『そばビール』にトライしてから、『鴨のくんせい』『干し大根の本かえし漬』などをアテに日本酒を楽しみ、せいろ蕎麦でシメて、ホロ酔い気分で帰ってきたいと思っています。
(了)