EIJUSOグループが実践する「ほめ育」とは?園長先生に聞きました【後編】
こんにちは、EIJUSOグループ代表の永嶋です。
前回は、EIJUSOグループが導入している「ほめ育」の導入理由や研修内容について、おうぎの森保育園の井上園長、つつじが丘認定こども園の西田園長 に語ってもらいました。
後編となる今回は、さいわい保育園の鈴木園長も加わり、各園での導入の様子や変化について語ってもらいます。
「ほめ育」実践内容について
――研修を受けたあと、どのように「ほめ育」を実践しているのでしょうか。
西田:つつじが丘認定こども園では、誕生日会のときに誕生月の子どものいいところを必ず書くようにしています。園だよりを保護者の方にオンライン配信している中で、その子の保護者だけではなく、クラス全員の保護者がクラスの子たちのいいところを知ることができるんです。他の子を知ることは保護者の方同士の会話のきっかけにもなりますし、大切なことだと思っています。
井上:おうぎの森では、年に4回ほど「キラキラシート」といういいところを書く「ほめシート」に取り組んでいます。書くのは職員や保護者です。以前は全園児のほめシートを部屋に貼って保護者の方が見られるようにしていたんですが、コロナ禍がきてからは玄関ホールに移動。ただ、感染予防対策のため、今はゆっくりみんなのシートを見ていただくことができていません。落ち着いたら、ぜひ他の子どもたちのものも見ていただきたいですね。
あとは、キラキラタイムというみんなでその子をほめる時間も作っています。悪いところはすぐに見えるものですが、いいところは意識しないとなかなか言葉にできません。ほめシートを使うことで、私たち保育者も園児もいいところ探しの訓練ができていると感じますね。
鈴木:さいわい保育園では、以前から「プラスの言葉だけで育てていきたいね」と言葉がけにこだわっていましたが、ほめ育を導入してからは、さらに意識が高まったと感じています。例えば、廊下を走っている子がいたとき、走っている子に「走らないでね」と注意するのではなく、まずはきちんと歩いている子をほめるんです。
あとは、全員がまだきちんと座れていなくても、先に「すごい、みんな座ってる!」とほめる。ほめられることで子どもたちがますますほめられたくなり、どんどん自発的に動けるようになっていくなと感じますね。
キラキラタイムをクラスで行うことで、子どもたち同士で「こういうところがすごいと思った」と伝え合えるようにもなりました。
「ほめ育」導入後の変化について
――ほめ育を始めてみて、何か変化はありますか?
西田:先生たちの雰囲気がやわらかくなったような気がします。ほめ育は自分を受け入れて相手を受け入れる、受容の心がないと実践が難しいものです。そのほめ育に取り組むことで、園全体が穏やかになったといいますか、空気がまるくなった印象があります。
井上:前よりも先生たちが前向きになれたんじゃないかな。何か失敗があったときに犯人捜しをするのではなく、「今、気付いてよかったね」「次はこうしていこう」という言葉が増えた気がします。園に見学に来られる方からも、「先生の笑顔がいいですね」と言っていただくようになりました。楽しそうに働いている様子が外から見た人にも伝わるのはうれしいですね。
鈴木:Zoomを使って保育参観をしているのですが、保育の様子を見ていて「先ほめ」が出ているなと感じられるシーンが増えました。先生たちの中に「プラスの言葉がけで育てていきたい」という想いがもともとあったのが大きいのかもしれません。職員会議の場でほめ育を実践し、「この先生はこういうところがすごいんですよ」と他の先生に紹介してみる活動も行っています。
今後はインストラクターの資格を活かし、地域にも「ほめ育」を広げたい
――先生方は、全体研修のあと、ほめ育アドバイザー研修も受講し、資格を取得しました。今後、どのように資格を活かしていきたいですか?
鈴木:今はまだ外に向けては活動できておらず、園内でのほめ育活動に留まっているのが現状です。ただ、地域の方の中にもほめ育に関心がある方もいらっしゃると思うので、今後は資格を活かした活動にも取り組んでいきたいですね。
井上:おうぎの森保育園は子育て支援センターがあります。コロナ対策のため、今は1日3組限定開催です。ここでほめ育の講演会をするのが今年の目標です。小さく始められる、今がチャンスかなと(笑)。何度も繰り返しながら、徐々に活動を広げていきたいです。
西田:自分を認めて受け入れ、生きる軸をきちんと見つけてから始めて他人を受け入れるキャパシティができるのかな、それがほめ育の1番の基本なのかなと思っています。「ほめ育は学ぶことじゃなく、思い返すこと」と研修で触れられていたように、ことあるごとに学び気づいたことに立ち返れればと思いますね。
保育園や幼稚園、こども園の使命は子どもの最善の利益を追求することです。子どもが未来に向かって歩んでいくとき、どう自分を見つけて生きていくのか。その選択をするときにほめ育で培ってきたものが役立つのかなと思います。大きくなった子どもたちが、「ほめ育によってプラス思考を身に付けられたんだ」とか「前向きに生きていけるんだ」と思う瞬間があれば、とてもうれしく思います。
今後については、さらに勉強を重ね、保護者の方向けに講演会を開催します。未来を前向きに生きていける人がひとりでも多くなるようなお手伝いをしていきたいと思っています。