GOTS製品をOEMで商品作っても相手先ブランド名だとGOTSとして売れない! ~ 知らないと損する「GOTS認証」のキホンと手続きポイント ~
近年、サステナブル・オーガニック志向の高まりを背景に、GOTS(Global Organic Textile Standard)の重要性がますます高まっています。しかし、工場がGOTS認証を受けた製品をOEMで作る際には、意外な落とし穴があることをご存じでしょうか?(ブランドやメーカーがGOTS製品を作る際にも同じ問題が!!)
「GOTSとして販売できない」と困ってしまうリスクもあります。本記事では、GOTS認証の基礎やOEM製品との関係、そしてトレーダー登録や年間売上額の条件など、まだ日本ではほとんど知られていない注意点を解説します。
GOTS認証の基本おさらい
GOTS(Global Organic Textile Standard)とは?
GOTSはオーガニック繊維製品の国際認証で、原料の調達から製造・加工・流通まで、環境的・社会的基準を総合的に審査・認証します。ブランドオーナーとして認証を取得すれば、自社ブランドでGOTS製品を販売でき、トレーダーとして認証を取得すれば、GOTS認証された製品を卸売・転売することが可能になります。
OEM製品が「相手先ブランド名」でGOTSとして販売できない理由
OEMとGOTS認証の関係
もし自社工場がGOTS認証を受けていたとしても、OEM先のブランドが「GOTSブランドオーナー認証」を持っていない場合、そのブランド名で「GOTS製品」として販売することはできません。なぜなら、GOTS認証製品のラベル表示やプロモーションは、ブランドオーナーがGOTS認証を受けていることが前提となるためです。
この問題を解決するためには、OEM先のブランドがGOTSブランドオーナー認証を取得する必要があります。認証を受けるためには時間と費用がかかります。また、他のブランドとコラボしてOEM製品を作る場合、そのブランドがすでにGOTSブランドオーナー認証を持っていれば、そのブランド名でGOTS製品として販売することが可能になります。
OEMで作った製品をGOTSとして販売する方法
OEM先のブランドがGOTSブランドオーナー認証を取得する
OEM先のブランドが認証プロセスを経てGOTSブランドオーナー認証を取得することが必要です。このプロセスには時間と費用がかかります。
既にGOTSブランドオーナー認証を持つブランドとコラボする
OEM製造を受託する際、既にGOTSブランドオーナー認証を持っているブランドとコラボし、そのブランド名で販売すれば、「GOTS製品」として認められます。
GOTS製品を卸売(トレーダー)する場合
GOTS認証された製品を卸売や輸出入業を行う場合、トレーダーとして認証を受ける必要があります。ただし、年間のGOTS製品売上額が2万ユーロ(約260万円)未満の場合、トレーダー認証ではなく「登録」のみで済む特例があります。
年間売上額が2万ユーロ以下の場合:
「登録」のみでOK。登録費用は約200ユーロ前後。審査(工場検査など)は不要。
年間売上額が2万ユーロを超える場合:
正式なトレーダー認証が必要で、監査や書類審査が行われます。費用と時間がかかります。
TC(Transaction Certificate)の発行について
GOTS製品を卸売・販売する際には、取引証明書(TC)の発行が求められます。TCがないと、GOTS製品の真証性を証明できないため、最終的にGOTS製品として販売できなくなる場合もあります。自社ブランドとして販売する場合も生産工場や正式なルート問屋などからTCを発行するルートを確立することが重要です。
*TCがつながっていないというのが、まだまだ現段階だと双方慣れてないこともあり、注意が必要です。
実務から学んだ教訓:OEMの壁をどう乗り越えるか?
「最近、私たちの工場でGOTS製品を作りたいという会社が現れ、OEM製品を相手先ブランド名で販売する際に新たな発見がありました。実は、OEM先が相手のブランド名でGOTS製品を販売する場合、相手先がGOTSブランドオーナー認証を持っていないと、相手先ブランドの製品をGOTSとして販売することができないのです。これにより、OEM製品としてGOTS販売を行うためには、OEM先がGOTSブランドオーナー認証を取得するか、私たちの既存ブランドを使って販売する必要があることが分かりました。」
このように、GOTS製品をOEMで販売する場合、ブランドオーナー認証が必須であることが分かりました。また、私たちのブランドを使って販売する場合には、卸を行う場合でも登録だけで済む場合もあり、特に年2万ユーロ以下の規模であれば、GOTS認証の取得よりも簡便な手続きでOEM販売を行うことができるのです。
まとめ
GOTS認証製品をOEMで作っても、非認証の「相手先ブランド名」ではGOTSとして販売できないという壁があります。この壁を乗り越えるためには、OEM先がGOTSブランドオーナー認証を取得するか、既にGOTS認証を持つブランドとコラボすることが必要です。また、卸売する場合には、年2万ユーロ以下なら「登録」で済み、超える場合には正式な認証が必要です。
サステナブル志向が高まる中で、GOTS製品をOEM展開する企業が増えていますが、GOTS認証の要件を理解していないと、「作ってもGOTSとして販売できない…」という問題に直面することになります。事前にエコサートなどの認証機関と連携し、適切な手続きを踏むことが、スムーズなGOTS製品づくり・販売を実現するための鍵です。
GOTSの認証を工場が持つだけでは広がらない、そこから先のブランドやメーカーまでもを巻き込んで行かないと、GOTS製品が増えていかない、市場で見ることがないという現状は変わらないし、代わりづらい。先人達が苦労されたのがよくわかる実例でした。