GOTS認証が切り開く未来──ヨーロッパの最新動向と日本の課題
新たな助剤が開発されていないのにGOTS認証の助剤がどんどん増えている現状
近年、ヨーロッパではGOTS(Global Organic Textile Standard)の基準に対応する製品の需要が急速に高まっています。特に衣料用製品向けの染色の助剤において、GOTS認証製品がどんどん増えています。ただし、新たな助剤が開発されているわけではなく、既存の助剤がGOTS認証を取得し、基準を満たす形で活用される事例が増えています。
GOTS認証の普及が生むメリット
この動きの背景には、ヨーロッパのブランドや工場がGOTS基準を満たさない薬剤の使用を認めなくなっている現状があります。既存の薬剤をGOTS仕様に対応させることで、新たに薬剤を購入する必要がなく、従来のコストのままでGOTS製品を生産できるようになりました。これにより、GOTS認証製品のコスト競争力が格段に向上し、通常価格での提供が可能になっています。ヨーロッパ向けの製品ではすでにこの動きが出てきています。
ヨーロッパから日本への影響
ヨーロッパではすでに、GOTSやブルーサインに登録されていない薬剤が工場で使用されなくなる時代が目前に迫っています。日本が世界市場に向けて製品を展開していくには、この流れに乗る必要があります。国内市場だけを見据える場合は大きな影響を受けませんが、グローバル展開を目指す工場にとっては買い手が求めてくるのですから対応が不可欠です。
日本の課題とチャンス
しかし、日本ではこうした薬剤の供給がまだ十分に整っておらず、輸入時には「一ドラム缶(約百二十キロ)」単位での購入が求められる状況です。この量は多くの国内工場にとって負担が大きく、導入のハードルとなっています。一方で、欧州の薬剤メーカーは「日本で需要が広がれば小分け販売を検討する」としていますが、現時点では準備を進める意向は見られません。この「卵が先か鶏が先か」という課題に対し、三恵メリヤスは先行して薬剤を輸入・活用し、国内市場を開拓する方針を掲げています。もちろんものによっては120kgのドラム缶での海外からの購入を行っております。鶏か卵かという前に、まずはGOTS商品を市場で見てもらい、それを欲しいと思ってくれる人が居るかどうか、誰かが試す必要があるのですから、まずは工場側が動かないと!と思い、進めています。
今後の展望ー世界は動いていた
この取り組みは、日本市場でのGOTS製品の登場で需要がどうなるのか?、グローバル基準に適応する必要が日本にも必要なのか?をはかる重要なステップとなるでしょう。なお、今回の薬剤の動きをけん引するヨーロッパ系企業は現在、中国系企業に買収されており、グローバル資本がこの分野にも影響を与え始めています。
GOTS認証は、単なる環境基準にとどまらず、製品価値を高める鍵となっています。三恵メリヤスではGOTS CSCS認証オーガニック製品というだけでなく、かっこよくてずっと着たいと思うGOTS製品を世に出せるようにこれからも頑張っていきます。