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GOTS認証取得に向けた紡績工場の挑戦



GOTS認証取得に向けたA社の挑戦

最近、糸製造を手掛けるA社(仮名)さんが、GOTS認証取得に関する相談をしに私たちの工場にやってきました。A社さんは、これまでオーガニック糸を使用して製品を作ったり、オーガニック糸の販売を行ってきたものの、GOTS認証は取得しておらず、今回、国際的な認証の重要性に気付き、世界市場へと踏み出すために認証を取ることを決断されたのです。
そんななか、GOTS取得の前例があまりにも少ないため三恵メリヤスにご相談にいらっしゃいました。いろんな方の今後のヒントになればと思い記録として残しておきます。

なぜGOTS認証が必要になったのか?

A社さんが特にプレッシャーを感じたのは、ヨーロッパの大手取引先から「GOTS認証を取得していなければ取引を中止する」という厳しい要求を同業他社が受けたことです。これにより、A社内で環境問題への意識も高まり、持続可能な製品作りを会社の次の一手として向き合い始めました。

しかし、GOTS認証を取得するという決断をしたものの、具体的なプロセスや基準に対する不安が大きく、A社さんは私たちに助言を求めてきました。
ここで、まず強調したのは、
「一歩一歩進めていけばいい」ということ。
認証取得プロセスは、たしかに複雑で挑戦的ですが、焦らずに取り組めば確実に進展します。

「全てをGOTS基準にしなければならない」という誤解

A社さんが最初に抱えていた課題の一つは、「会社の全てをGOTS基準にしなければならない」という大きな誤解です。工場の設備だけでなく、配送業者や梱包材、本社の運営体制に至るまで、すべてをGOTS基準に合わせなければならないと考えていました。

しかし、私たちが説明したのは、GOTS認証において重要なのは、オーガニック製品を生産するプロセスの設備とその流れが基準を満たしていることです。全く関係のない商品の梱包材や配送業者にまでGOTS基準を適用する必要はないのです。(もちろん基準に適合する企業を選ぶ方が好ましいとは思います、サービス残業をさせ続けて、人権/社会的問題がある企業があったとして、そんな企業とは取引しない方が絶対良いです。)
A社には、まずオーガニック製品の生産現場に焦点を当て、そこから準備を進めることが大切だと伝えました。この言葉でA社さんも「まずできるところから始めよう」と前向きに考えるようになっていただけたようでした。

人事労務の整備とこれかの採用のために

もう一つの課題として、人事労務において名文化されていない部分が一部ありました。特に新入社員が入ってくる際、労務体制がしっかり整備されていないと、不安を感じさせてしまいます。そこで私は、「この機会に、労務管理を明確にし、会社の基盤をより強固なものにしましょう」と提案しました。GOTS認証取得をきっかけに、企業の透明性や信頼性を高めることができるという視点は、A社さんにとって前向きなこととなり、これを機に、労務体制を整え、従業員が安心して働ける環境を作ることは全ての社員、今後の社員にとって良いことだと捉えてもらえたように感じました。

そして、最後の難関は「社内への情報共有」でした。

さらに、社内全体への情報共有も大きな課題でした。GOTS認証に向けたプロジェクトに関わるメンバーはやる気に満ちていますが、社内全体でその重要性を共有するのは容易ではありません。アドバイスを求められ、「GOTS認証を取得することで、会社全体が改善され、信頼性も向上することをしっかり伝えていきましょう」とお伝えしました。GOTS認証取得が「会社の信頼性向上」や「従業員の意識改革」にもつながることを、社内全体に発信するようアドバイスしました。間違いなく会社が良くなる動きになるからです。

問題が起きても「改善」のチャンス

A社さんが心配していたもう一つのポイントは、「GOTS基準を満たさなかった場合、どうなるのか?」ということでした。認証プロセスで不備があった場合、それが一発アウトになるのではないかと不安に感じていました。

しかし、実際には問題が見つかったとしても、それで終わりではありません。改善策を提示し、期限内に修正することで、認証プロセスを続けることができるのです。「GOTSは、環境や人権の問題に対する対応を改善し続けるための仕組みです。失敗を恐れるのではなく、それを改善のチャンスとして捉えるべきです」と私は考えています。

ここからA社さんは、「一ヶ月以内にアプライ申請をしよう!」と「失敗を恐れずに挑戦する」という前向きな姿勢を持ち、来月には正式にGOTS認証を申請する予定です。

まとめ

A社さんのように、GOTS認証取得に向けて取り組む企業が増えている中で、三恵メリヤスがこうして支援できることを非常に嬉しく思います。環境問題や持続可能な製品作りに真剣に取り組む姿勢が、企業の未来を明るくする力になると信じています。これからも私たちは、こうした挑戦を続ける企業を応援し、一緒に成長していけることを楽しみにしています。

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