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#21 万里一空
年末年始に旧交を温めるべく、あるいは、プロジェクトの話を進めるために、何人かの方と懇談させていただきました。
お会いする方一人ひとりから、私自身が「ストイック」「努力家」と評価いただくとともに、私をイメージした言葉として、タイトルの「万里一空」という言葉もいただきました。
私自身が初耳で、どんな由来の言葉なのかを調べてみると、宮本武蔵の『五輪書』に所収されている言葉らしく、「世界のすべては同じ一つの空の下にある、という見方を表す表現である。どこまで行っても同じ世界だと、冷静に物事を捉える精神的境地を示すとされる。転じて、どこまでも同じ一つの目標を見据え、たゆまず努力を続けるという心構えを表す語として引用されることも多い。」ということでした。
井上雄彦作『バガボンド』でも描かれた「剣心一如」にも通ずる言葉で、素晴らしい言葉だなと思いました。
この方には、「なぜ地域活性化を志したのか?」という、私のルーツというか、アイデンティティにまで遡る質問もされました。
端的に言うと、「私にしかできない新たな価値創造をしたかった。そのために自分自身の命さえも惜しくないような、全てをぶつける対象を見つけたかった。でも、見つけることができずに、『生ける犬は、死せる獅子に勝る』という言葉のように不貞不貞しく生き延びて、自分が向き合ってきた『地域』というものに何らかの価値を残したいと思った」ということです(全く端的ではない)。
多くの経験を積んで、人並み以上の知識はあると自負していますが、他方で、私個人の独創的かつ社会的意義のある価値創造にまで到達していないというのが自己評価です。
そうしたときに、残された時間(人生)の中で、それを実現するとしたら、はたして自分はどこまでできるのか、目指している壁の高さを実感しているからこそ、そのために必要な自己研鑽なんていうのは当たり前だと思っています。
この「万里一空」という言葉のように、たゆまぬ努力の先に、冷静に世界をとらえられる視線・視点という、透徹したリアリズムに到達したいと思った2025年初でした。