03/18
「レシピ通りに作る」から「適当に作る」までのプロセス。私はレシピ通りに作るタイプの人間である。料理があまり上手ではないという自覚がそうさせているのもあるし、自分が理系出身だからというのもある。化学実験では極微量の誤差が失敗に繋がるため、きっちり計るのが癖になってしまった。お菓子作りにおいてその癖はとても有益に働くのだが、毎日作る食事でそんなことしてたら時間が足りない。本当は大さじ小さじも使わずにぱぱっと手早く作りたい。料理上手の主婦が言うところの「適当に作る」を身に着けたい。過去に見様見真似で適当に作ったこともあるが、料理下手における適当は本当に適当なので、奇跡が起こらない限り美味しくはならない。経験が乏しいので味の決め方を知らないのだ。それに気付いてから美味しいものを作るためにはレシピ通りじゃなきゃいけないと、適当に作ることを諦めた。月日は流れ、以前に比べて料理もこなれてきた最近。ついにレシピのアレンジに成功した。今日はカレールーの裏に書いてあるレシピを参考にしつつ、サバとほうれん草の和風カレーを作った。アレンジした点はお肉ではなくサバ缶を使ったことと、煮込む段階で和風だしを入れたこと。そのおかげかまとまりの良いカレーになった。以前お肉をサバ缶に変えただけのときはコクが無く残念な感じだったが、それに和風だしを入れることで解消できた。我ながら良いひらめきだった。こうやって経験が実力になっていくんだろう。今日はアレンジだけだったが、実は先週、適当チャレンジをしていた。作ったのはカットトマト缶を使ったトマトカレー。カレーなので失敗は無いが、私にとって結構なチャレンジだ。水の量も具材の量もレシピを見たくて仕方がなかったが、適当に作るというコンセプトは忘れなかった。過去の経験を頼りに具材を切り、炒め、適当に水を入れてカットトマト缶を入れる。もし用意したルーで足りなかったらどうしようと不安に駆られたが、今の私ならその対処法もひらめくだろう。自信を持って進めていく。ルーを入れる前に何となくコンソメを入れた。だしになるものが入っていれば美味しさに間違いはない。旨味の柱を作るイメージ。そしてルーを入れたらとろみバッチリ、いい感じになった。味見をしてみたらお店みたいなトマトカレーになっていた。大勝利。経験があるからこそ適当ができる。料理上手へ一歩近付いた。今日もなにもない一日だった。
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