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米国で社会学の博士号をとって入る米国コンサル業界ではどんな仕事をするのか?

コンサルタントは一番説明がしにくい業界だと思います。日本語で、コンサルタントというと、うまく行っていない会社に専門的な立場からアドバイスする、、というような印象が私はありますが、私がいるコンサル業界は全然違う世界です。社会学の博士号を取得した後で、仕事ができる米国のコンサル業界とは何かについて書いてみます。

社会学と書きましたが、心理学、経済学、教育学、人類学などの修士号や博士号を持った人たちと一緒に働いています。

バックグランドとして私自身のキャリア経歴に触れます。2000年にシカゴ大学大学院で社会学の博士号を取得しました。その後、ポスドクということで南フロリダ大学で、最初のコンサル経験をしました。その後、ワシントンDCにあるコンサル会社に勤め、その後、小さなコンサル会社を経験した後で、現在のコンサル会社に勤めて12年ほどが経ちます。

ずばり、私がやっているコンサルは内容は社会福祉教育系で、連邦政府や州政府のプログラムを評価することが仕事です。

政府(連邦あるいは州の政府のこと)は、色々な福祉プログラムを運営していますが、例えば、ある州では、学校を休みがちな生徒を援助するためのプログラムがあります。5日連続で休むと、そのプログラムに連絡が行き、そのプログラムが親に連絡することで、色々なサポートをするというものです。州としては、そのプログラムを改良しつつ、プログラムについての効果をしたいわけですが、州内にはリソースがないので、専門的にコンサル会社を雇うわけです。データを集めて、色々な到達目法の尺度を作り、それをプログラムスタッフに報告します。これはFORMATIVE EVALUATIONと言うんですが、プログラムを改良するための情報です。

例えば、生徒が学校を5日休んだときに、即、プログラムスタッフが親とコンタクトしているかどうか。これを%で示します。

さて、SUMMATIVE EVALUAITONのもあります。結果はどうなのか?プログラムの効果は確認できるのか?これは最も強力なメソッドを使うとすれば、RCTです(RANDOMIZED CONTROLLED TRIAL)。ワクチンに効果があるかどうかにも使われますね。

このプロジェクトでは、RCTは使えないので、QED(Quasi-experimental design)を使います。プログラムのサポートをちゃんと受けた生徒と、受けなかった生徒を比べて、出席するようになったのかを実施のデータで検証します。同業者の皆さんが読んでおられたら分かると思いますが、RCTではないので、実際は、色々と難しいです。

私は大学院でメソッドとか、統計モデルについては勉強したものの、こういう実践的なプロジェクトのリサーチ方法については、やっているうちに、独自のスタイルを身に着けた感じです。

自分のスタイルは、SASあるいはRという統計ソフトを使って、分析結果をエクセルシートに、整理整頓して書き出すという方法です。一つのエクセルシートのタブを5つぐらい使って、分析結果を整理し、そして、同僚やクライアントが見て分かりやすいようにしています。

以上、一つのプロジェクトを描写してみました。

社会学の博士号をとってやっている仕事ですが、最初に書いたように、この分野には、社会学、心理学、人類学、経済学、教育学で修士号や博士号を取った人がたくさんいます。

アカデミアの仕事(教授職)はポジションが少ないのと、給料が最初は良くないことが多いので、こういうコンサル分野に入る人が多いです。

色々な呼び方がありますが、この業界をPROGRAM EVALUATIONと呼んでいます。

ずばり、データに基づいてクライアントが判断をするのを助けるという分野です。

実際のところ、例えば、今、米国教育研究協会の求人を見ると、おそらく半分以上がProgram evaluation の分野だと思います。

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上川一秋
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