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米国、二大政党制の悪夢

米国に継続的に住んで28年になります。最初のころは、米国の2大政党制については、二つだから分かりやすいと感じていました。民主党(青で良くあらわされます)は、福祉政策重視(政府のサイズが大き目)、共和党(赤)は、ビジネス重視(規制をなくし政府のサイズを小さくしたい)というぐらいの違いしか意識していませんでした。

30年住むとさすがに違いを強く感じるようになり、また二大政党制の弱点も感じます。弱点について書いてみます。

二大政党制と言うことは、二つの人気チームが票をめぐって争うことになりますので、お互いを敵視しあうということになります。例えば、現在(2021年12月)、民主党がホワイトハウス、二つの議会(上院、下院)の多数党です。民主党が、かなり大きな予算の法案を通そうとしています。過半数の議員が同意しないと法律が通らないわけですが、基本的に、民主党が押している法案に、共和党が同意することはないと言えます。例えば上院は各州から選出された100人からなりますが、現在、50人が民主党、50人が共和党です。

共和党の中に、一人ぐらいは民主党の法案に合意しそうな人がいるかもしれませんし、実際上、以前、似たようなことを押していた人もいます。例えば、トランプ政権化で、とてつもない巨大な予算に合意し、お金をじゃぶじゃぶ使うことに賛成していた共和党の議員が、現在の民主党の法案に関して、「予算が大きすぎる」と手のひらを返したように大反対します。

これは、相手のチームに少しでも得をするようなことをすると、自分たちが不利になるからです。例えば、現在、米国では、国のインフラへの予算、社会福祉の充実などをかかげた大きな法律(BUILD BACK BETTER)が議論になっていますが、これを共和党が少しでも協力してしまうと、民主党の政権が、手柄をたてることになり、次回の選挙で共和党が不利になってしまいます。

だから、徹底的に相手のチームに反対をするわけです。結果として、共和党と民主党の議席数が僅差の場合、全く何も決まらない、何も起こらないという状態が生まれます。

さて、バイデン政権はまだ3年残っているのだから、そんなに、最初から、いがみあわなくてもいいではないか、、とは言っておられません。

大統領選挙は4年に一回なのですが、議会のほう(上院と下院)は2年ごとに選挙があります(任期が2年じゃなくて、選挙が2年に一回で、一部が入れ替わる仕組み)。

今、いがみあっているのは、来年の11月の中間選挙に向けての攻防です。

このまま行きますと、共和党が上院、そして下院のマジョリティ(大多数)を取り戻すとの見方が優勢です。共和党が、自分たちの有利なように、選挙区を書き直しているのが一つの理由です。

すると、大統領は民主党なのに、議会は共和党と言う状態が生じます。そこまで持ち込めば、大統領府をとっていても、共和党が議会を牛耳ることになりますので、民主党の法案は通らないことになります。

もう一つ、大統領には、最高裁判所の裁判官を選ぶ仕事がありますが、これは議会の承認がいります。バイデン政権としては、民主党よりの裁判官を任命したいわけですが、来年末に上院でマジョリティーを失うと、後3年の大統領の任期中に、最高裁判所に欠員が生じても、共和党が徹底的に反対して、任命できないという状態になります。

というわけで、米国の政治状態が常に、二大政党間の悪口言い合い合戦、絶対に協力しない状態であるのは、そもそも、構造的にそうなっているので、治りません。少しでも相手側に協力すると、選挙で不利になるからです。

だから、一致協力して、アメリカと言う国のために政治をするということが難しくなります。

法律を通すことが難しい状態の中、結局、じゃあ、何をするのかということになりますが、大統領には、「大統領命令」という奥の手があります。命令することで、法律を作るのです。これだと、命令ですので、議会無視で執行できます。ところが、これだと、政権が変わるごとに、その法律が容易に消されてしまいます。

理想は、両政党が協力して、良い法律を通すことですが、実際は無理のようです。

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上川一秋
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