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文系の研究者になりたい人たちが知っておくべきこと
大学の授業を通して学んだ学問分野に強く心を惹かれて大学院に行くことを考えている方や、実際に大学院に行っていて研究者になることを目指している方が知るべきことを紹介します。
まず、「研究者」とは、文系の学問分野ではほぼ「大学の先生になる」ことです。これには大きく分けて二つの形態があります。
1.専任 2.非常勤 です。
専任は「その大学でフルタイムで仕事をする人」で、授業を担当し、会議に出席し、大学運営における様々な雑用をします。自分の研究室が与えられ、研究費が配分された中で、業務の一環として研究を行います。
一方で、非常勤は「その授業だけを教える人」です。大学運営には参加せず、普通は研究室や研究費も与えられません。非常勤の給料は専任と比べて非常に安く、食べていくためにはかなり多くのコマ数を教えなければなりません。非常勤の契約はたいていは一学期単位なので、いつまでその授業を担当できて、いつまで収入が得られるかは不透明です。
非常勤の職はほとんど「コネ」で決まるようです。大学院・研究室で、代々そこの院生が担当しているポストがあったりします。
これに対して、専任はほとんどが「公募」によって決まります。そのシステムは・・・
(1)ある大学で専任のポストに空きが出る(退職・転出・新設)
(2)その大学内で、人事委員会が立ち上がり、公募書類を大学HPやJREC-INを掲示
(3)応募者から応募書類が集まり、2・3人に候補を絞る
(4)絞った候補者を対象に面接を行い、最終的な候補者を一人選ぶ
ここでの大事なポイントは、選考は本質的に相対評価ということです。一件の公募に対して集まる数十~百以上の応募者の中で、一番にならなければ専任にはなれないのです。
「覚悟を決めなくてはなりません」
自分の年齢に+10歳ぐらいまでの範囲で、「一番良くできる人たち」を見つけ、その人達がどれくらいの研究業績を持っていて、どれだけ論文を出しているか調べてみる必要があります。
大学院の博士課程を修了するまでに、その人達の業績に匹敵する結果を得ていなければなりません。
つまり、大学院にいる間が勝負です。社会に出てからは、自分の研究に十分に時間がとれなくなるでしょう。院にいる間に成果が出なかった場合、院を出てから十分な成果をあげることは難しいと評価されてしまいます。
人とのつながりはとても大事です。「誰から、どれくらいアドバイスを得て、それをどれだけ反映させることができたか」にかかっています。
研究を通じて関わった人たちとコミュニケーションをとり、アドバイスや教訓を無駄にしないような心がけが大切です。
今は海外の大学院でPh.Dを取って、たくさんのジャーナルを出している人が応募してくる時代です。着実に出版物を増やしていくように準備していきましょう。
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