日本人の苦手な発音3つのポイント
10年以上シャドーイングの指導をしていて、気づいた日本人の苦手な発音についてお話ししてみようと思います。ちょっと気をつけるだけで、カタカナ英語とは違うナチュラルな英語の発音に近づけると思います。練習してみてくださいね。
弱形の「ア」の発音
日本語の「ア」は1種類しかありませんが、英語には4種類もの「ア」が存在します。例えば、fanとfunは日本語では同じ「ファン」ですが、英語では違う発音です。fanの「ア」はcat「キャット」と同じ「ア」で、funはcut「カット」と同じ「ア」になると言えば想像がしやすいでしょうか?
「adult」という単語をみてみましょう。この中に2つの「ア」が隠れています。「a-dult」と2音節に分かれていて、うしろの「ア」はfunやcutと同じ「ア」の発音です。日本語の「ア」に最も近く日本人にとって発音しやすい音です。一方で冒頭の「ア」は弱い「ア」で日本人にはもっとも難しい音です。ほとんど聞こえないぐらいに弱く発音されます。
日本人は、全般的に弱く発音するのが苦手です。母音をしっかり発音することが多いためです。弱形の「ア」は英語でとてもよく出てきます。例えば前置詞の「of」や「at」も弱形の「ア」になります。
シャドーイングでスピードについていけない時、この弱形の発音ができていないケースが多いです。英語で強弱のリズムを出そうとすると、日本人はつい力んで、アクセントのあるところで強く読もうと頑張ってしまいます。 実は、強く読むのではなく、弱く読む練習をすることの方が大切なのです。
BBC Learning Englishのサイトで発音を聞くことができます。イギリス英語になりますが、弱形の「ア」がつかめるのではと思います。
破裂音
th や f, v といった日本語にはない発音もつい抜けがちですが、コツさえつかめば意外とできるものです。それよりも難しいのが、p, b, t, k などの破裂音です。単語の語尾に来ると消えることが多い音ですが、単語の頭にくるとかなり強く発音されます。息を勢いよくパッと出さなければいけないのですが、日本人にはうまくできません。その後に母音が続くと、つい母音頼りに発音して、音がうまく破裂しないのです。
破裂音ではないですが s の音も意外と苦手です。英語では s の発音で日本語以上に息が強く使われます。英語の音声を聞くときに、息の使い方に意識を向けて聞いてみると面白いです。息の音がかなり耳に残るはずです。
英語は日本語の5倍の息の量が必要と言われています。日本語は浅い呼吸で発音されますが、英語は腹式呼吸で発音します。日本語と同じ感覚で英語を話すと、息の量が足りないのです。
以下のTEDトーク動画は、ストレスの効用について話す内容です。動画の内容も興味深いですが、「stress」という単語の「s」の音が良くひびいているのがわかるでしょうか。他にも、「In the past year」というところで「p」がきれいに破裂しています。日本人にはなかなかこれができません。
破裂音はこつが必要なので、なかなかすぐにはできないですが、「どうやら日本語のパピプペポと英語の p は違うようだ」と知っておくと意識が変わってくると思います。
音の高低(ピッチ)
これは意外と見落とされがちなのですが、英語を話す時に音の高低(ピッチ)も大事です。リズムやイントネーションだけでなく、音が高くなったり低くなったりします。特に、強く発音する(アクセントのある)ところでは音が高くなっています。
例えば、疑問文で語尾のイントネーションを上げるのがうまくできない人がよくいます。うまくリズムを取れなくて、イントネーションを上げるべきところで下がってしまうのです。
実はこれは音の高低とも関わっています。イントネーションを上げる時、音の高さも一緒に上がっています。そして音を上げるためには、その前にいったん音を下げる必要があります。これができていないと、イントネーションがきれいに上がらないのです。音程を少し低くすれば、その後に自然に上がります。
まとめ
今回の記事では、日本人が苦手とする英語の発音のポイントについてお話ししました。これまであまり意識しなかったことかもしれません。発音を練習する時に少し気をつけてみてください。そうすればカタカナ英語から脱出して、英語らしい発音に近づけることができると思います。
発音は練習すれば改善されていきます。私も学生時代に音声学の授業で発音矯正を受けました。なにもネイティブ発音を目指す必要はありませんが、通じる英語発音を目指して練習してみてくださいね。