英語力=単語力と言えない理由
これから英語を学ぼうという人に「英語を習得するにはとりあえず単語を覚えたらいいんですよね」「英語ってとにかく単語力でしょ」と言われることがあります。果たしてそれは事実なんでしょうか?英語力=単語力と言えるのでしょうか?結論を言ってしますと答えはNOです。なぜ単語力だけではダメなのか、今日はその理由について書いてみようと思います。
単語力が大事なのも事実
単語が分からなければ、相手が言っていることや書かれていることを理解することができません。なのでまず単語を覚えるということは大切です。私も大学などでTOEIC対策講座を教える時、特に初級レベルの学生達には「まずは単語を覚えましょう」と言っています。単語を知らないと始まらないのです。たくさんの単語を知らなくてもある程度の語彙知識がなければ、英語を聞いて理解することも読んで理解することもできないですし、ましてや英語を話したりすることもできません。語彙学習から逃げていては英語力アップは難しい。英語を話せるようになるために単語力が大事なのも事実です。
文法があって初めて意味を成す
単語の知識が大事とは言え、単語がわかる=内容が理解できる、という図式には必ずしもなりません。なぜなら英語の文章というのは単語だけで成り立っているわけではないからです。意味のある文章にするためにはある一定のルール、つまり文法に従って文章を組み立てる必要があります。ただ単に単語を適当に並べれば良いというわけではないのです。
例えば、話し手が過去の話をしているのか、未来の話をしているのかを理解するためには、英語の時制の使い方を知っている必要があります。たとえ単語が分かったとしても、時制が分からなければ大事なところで誤解が生じてしまいます。関係代名詞の用法を知らないと、英文を読んでいて文章の主語が何なのか、目的語が何なのかを正しく理解できません。単語の意味は全部わかっているのに文章の意味が正しく取れないということはよくあります。
英語の文章というのは、「単語+文法」があってはじめて成り立つのです。これはリスニングやリーディングにおいてはもちろん、ライティングやスピーキングといったアウトプットの際も同じです。完璧な文法である必要はありませんが、意味のある文章にしようと思えば、ある程度文法を意識することは不可欠になってきます。
単語と文法をバランス良く学ぶ
英文法に関して、「文法はどうでもいい」という人、「完璧な文法を求めてしまう」という人、両極端の人がいます。あまりに文法がいい加減過ぎると正しく理解できない、伝わらないという問題が生じます。一方、完璧な文法を求めてしまうとコミュニケーションのスピードが落ちてしまったり、間違えてはいけないという気持ちが強すぎて英語を話すことができないということもあります。
どちらも大切な概念が抜け落ちてしまっています。それは「コミュニケーションのための英語」ということです。文法を学ぶのは、相手が伝えようとしているメッセージを正しく理解し、自分が伝えたいことを相手にできるだけ分かりやすく伝えることが本来の目的です。なので必要以上にこだわり過ぎてもいけないし、あまりに無視してしまってもいけないのです。
なので、単語と文法、この2つをバランスよく学んでいくことが英語学習において大切。そして「英語はコミュニケーションのツールである」ということを忘れずにいること。もちろん文法を追求するのが楽しいという人もいると思います。趣味の英語学習としてはそれも大いにありだと思っています。でも、多くの人にとってはやはり英語はコミュニケーションのツールなのだと思います。学習の目的は人それぞれだと思いますが、だからこそ「自分は何のために英語を学ぶのか」ということを考えて、その目的に照らし合わせて学習をしていくということが大切です。
結論
英語力の基盤となるのは、単語力+文法力。後は、英語を文字で表現するか音声で表現するかの違いです。それによってリスニングやリーディング、スピーキングやライティングといったスキルに分かれていきます。でも、すべての基盤になるのは単語と文法。どちらも同じく重要です。逆に言えば、この2つをしっかり磨いていくことは英語の4技能全てのスキルを上げることにもつながります。