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【日本人ALT】 小学校の英語はどう?

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【日本人ALT】は英会話学校の講師・英語教材制作・子供から大人に教えた経験のある私が、ALTとして小学校の外国語の授業を見て感じたことをお伝えしています。
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小学校で外国語・活動が導入され、今まで英語を教えたことのない先生が教えて大丈夫!?という声があったり、先生たちも自分が教えられるか不安といった思いがあったように思います。(前回の記事「【日本人ALT】日本人でもなれるって」参照)今回は、私が小学校の英語の授業をみた感想をお伝えしようと思います。

教えるプロ

私が学校に行ってまず思ったのは、「さすが先生!教えるプロだ!」複数の生徒を一気に導いたり、楽しめるように工夫したり、わかりやすいように活動を説明したり…。簡単そうに聞こえますが、スキルが必要です。いままで英会話の先生を何人か見てきましたが、教えることに慣れていない人もたくさんいました。新人の先生はとくに子供に教えるということで悩む人が多かったので、小学校で先生を見た時は「さすがだなぁ」と感心するばかりでした。やっぱりプロですね!

学校の教材

教材の内容も充実しているなぁと思いました。教科書とセットになって、歌、チャンツ、動画、リスニングなどたくさん使えるものがありました。そしてただリスニングをしたり、動画を見るだけでなく、世界の国々ではどう違うのか?など比べてられるような内容になっていてグローバルな思考も意識しているようです。そしてターゲット言語以外の表現も取り入れていたりするので、習っていないものが含まれていても全体的な意味を理解しようとする力につながります。またスピーキングでもただ単に習った英語をリピート練習をするのではなく、きちんと自分だったら何が言いたいか、パーソナライズできるようになっているので、自分の想いを伝えようとする力やコミュニケーション力につながると思いました。

英語の授業

教えるプロの先生たちと、さまざまなアクティビティが準備され、工夫がされている教材。小学校の英語の授業、いいじゃん!と思ったのが正直な感想です。もちろん私がみたのはごく一部でしかなく、学校や先生によって異なるとは思います。でも私が見た中では生徒たちが積極的に英語を使って、楽しそうに活動をしている様子が見られました。

授業のあり方

音楽の授業を受けてミュージシャンになれるわけではないし、プールの授業を受けて水泳の選手になれるわけではないのと同じように、学校で英語の授業を受けて英語が流暢になるわけではないです。流暢に話せるようになるための授業なのであれば、専門の先生を配置したり、教科書の内容を見直したりと、特定の教科は英語で教えるなど、システム事態を見直さないといけないと思います。では、外国語の授業は何を目的としているのか?

外国語について、学習指導要領では「言語活動を通して,コミュニケーションを図る素地・基礎となる資質・能力を育成する」 という大枠の目標があります。英語に関しては「簡単な語句や基本的な表現を用いて話すようにする」や「 自分のことや身の回りの物について,動作を交えながら,自分の考えや気持ちなどを,簡単な語句や基本的な表現を用いて伝え合うようにする」などという言語に対する具体的な目標もあります。それに加え、教育の核となる「主体的・対話的で深い学び」を目指していく必要もあります。全て考えると、どういう授業?とわからなくなってしまいます。でも曖昧にすると授業の内容も曖昧になってしまいます。私だったら、学ぶ内容(教科書の内容)に応じて、コミュニケーションを重視するのか、言語習得を重視するのか、深い学びを重視するのかなどの目的を明確にし、それに沿った活動や指示の仕方を取り入れるかなと思います。そうすれば、さらに充実して目的がはっきりとした授業になるのではないかと思いました。

理想と現実

そんな理想を考えたりもしますが、現場を見ているとそれどころではなさそうな雰囲気です。授業の準備をする時間があるのだろうか?というくらい先生方は忙しそう。私たちが授業をより良いものにと望む前にも、先生方の働き方改革が必要な気がします。

さて、私はALTとしてできることが限られますが、今できる範囲で外国語の授業のあり方を探っていきたいなと思っています。今回は授業を見た上でのざっくりと全体的な感想を書きました。今後は授業についてだけではなく英語教育・英語学習について気づいた点を紹介していきたいと思います。


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