日本の子どもたちのためのフォニックスメソッド
前回「Phonicsとはなにか?」をテーマに、初めてnoteを書きました。
(まだ読まれていない方はこちらからどうぞ☞)
まずは簡単におさらいから。
Phonicsとは話し言葉である英語を、文字につなげるための読み書き指導法のこと。
Phonicsを学び始める前に、英語本来のリズムを身体にしみこませ、たくさんの英語の音に触れることが大切だとお伝えしました。
そして「聞く→話す→読む→書く」の自然な言語習得の過程に沿って、適切なタイミング・適切な方法でPhonicsを学ぶことで、英語の読み書きの力が伸びていくわけですが、今回はその中の「適切な方法」という部分をもう少し掘り下げてお話ししたいと思います。
近年、国内外様々なPhonics教材を手に入れることができるようになった一方、どの教材を選べばいいのか、どんな形で学習するのがいいのかと、学習方法に戸惑う方もいらっしゃるのではないかと思います。
そこで今日は、私のいち推し "Rhymoe Phonics" を紹介します。
Rhymoe Phonicsは、日本語を話す子どもたちが効果的かつなるべく自然に英語の読み書きを学べるよう開発されたフォニックスメソッドです。
「Phonicsを学ぶのにリズムや動きが関係あるの?」と思われた方。
これから紹介するおすすめポイント3つを通して、その「?」を解消していきます!
おすすめポイント1~英語を母語としない日本人のためのメソッド
日本語も英語も"言語"という括りでは同じですが、この2つは対極的な言語と言ってもいいくらい違うところがたくさんあります。
まずはリズム。
言語にはその言語固有のリズムがあることは前回お伝えしましたが、例えば、英語はボールが弾むような軽やかなリズムを持っているのに対し、日本語は踏みしめるような下向きのリズムを持っています。(五七五やグリコ遊びなどでひとつひとつの"かな"を数える感覚です。)
そして、その言語リズムの違いは身体の動きの違いにも表れます。
相槌ひとつとってみても、欧米人が軽く上向きに首を動かすのに対し、私たち日本人は下向きに首を振りますね。
欧米人が英語を話す時、軽く上下に揺れているのも、決して落ち着きがないからではありません(笑)上に弾むようなリズムが身体に染み込んでいるからなのです。
そんな弾むようなリズムを持った英語を、ひとつひとつの音を踏みしめるような日本語のリズム感覚のまま話そうとすると、違和感や不自然さが生まれ、場合によっては伝えたいことがうまく伝わりません。
そこでRhymoe Phonicsのレッスンではまず、英語のリズムを感じる身体づくりからスタート。
レッスンで使う教材や音源に、本物の英語のリズムを感じられるものだけを使用することで、日本語から英語のリズム感覚に切り替えます。
これって当たり前のことのように聞こえるかもしれませんが、実は日本語のリズム感覚のまま作られた英語の教材ってたくさん存在しているんですよ。(残念ながら学校教科書の音源の中にもあります・・・)
そして音。
私たち日本人は文字を見て、文字の通りに発音することに慣れています。「あ」という文字に「あ」という音以外当てはまりませんね?日本語は「1文字=1音」対応なので、かな文字が読めれば音が分かる言語だということです。
しかし英語は違います。
例えば、「apple」「age」「about」「art」「air」「August」はどれも「a」から始まる英単語ですが、それらの音は全て異なります。そしてそのどれもが日本語の「ア」や「エ」や「オ」とは違う音です。
それなのに、「アップル」にも「アート」にも同じ日本語の「ア」の音を当てはめてしまったり、
日本語にはない英語の音なのに似て聞こえる日本語の音とすり替えてしまったり、
日本語のかな構造にひっぱられて本来ない母音を付け加えてしまったり(artの最後の音に"o"が加わり「ト」の音に変わってしまうイメージです)。
そういった日本語の影響(母語干渉)が強すぎると、なかなか英語話者に伝わらないカタカナ英語になってしまうのです。
Rhymoe Phonicsは、英語と日本語とでリズムや音がどう違うのか、母語干渉をどう受けているのかをきちんと考慮した上でPhonicsを指導することが、普段日本語を話す子どもたちにとって効果的かつ重要であると考えています。
おすすめポイント2~自然な言語習得の過程に沿ったレッスン
Rhymoe Phonicsのレッスンには、「話し言葉(音)を読み書き(文字)へ」の自然な言語習得の流れが約20分にギュギュっと詰め込まれています。
①② まず、手遊びや親しみのあるメロディ(ナーサリーライム)で、英語のリズムを楽しみ、音や単語をインプット。友だちと楽しく手遊びをしながら何度もフレーズを口ずさむことで、自然な発話を促します。
③④ 次に、その遊び歌の中から、その日に学ぶ音素(音の最小単位)を抽出、その音を確認し文字の認識にうつります。
そう!この音→文字の順番に導入するのが重要なんです!!
(ちなみに多くの日本製のフォニックス教材は、文字→音と導入順が逆なのです。日本語と違って「1文字≠1音」対応の英語には不向きな学習法であり、また自然な言語習得の流れにも逆らっていることになります。)
⑤⑥ 音を文字に繋げた後は、講師が読み上げた単語の中から特定の音素を聞き取ったり、自分で文字を読んだり書いたりした単語の意味を、イラストを使いながら確認していきます。そしてそのどれもがゲーム感覚で英単語に親しめるよう工夫されているのです♪
⑦ そして最後に、その日に学んだ音素がたくさん入ったオリジナルチャンツを言う練習をするのですが、これがまたおもしろいんです。
(※チャンツとは、リズミカルに英語の文章を繰り返すことで、英語の自然なリズムやイントネーション、発音を身につけ、生きた英語の発話につなげるものです。)
Rhymoe Phonicsでは、毎回宿題としてチャンツの絵を描いてもらいます。チャンツの内容をきちんと理解できているか講師が確認する目的もありますが、おうちでチャンツを復唱したり、想像を膨らませながら内容に合った絵を描くことで、更なる音と文字の定着を図っています。保護者の方も楽しみながら親子で一緒に取り組んでみてくださいね☺︎
しかもこのチャンツ、楽しいだけでなく、語彙力アップにも繋がるよう、新しい単語も含まれているのがポイントです。英語を母語としない私たちは普通に生活しているだけでは残念ながら語彙は増えませんからね。
そんな様々な工夫が詰め込まれたワークブックがこちら☟
1回のレッスンにつき、1つの音素(1ページ)を学んでいく形になります。
自分が描いたチャンツの絵やぬりえでカラフルになったワークブックは、それこそ自分だけのオリジナルに。学び終わった後は保護者の方にとっても宝物になること間違いなしです♡
おすすめポイント3~発音指導法を学んだ講師によるレッスン
実はこのRhymoe Phonicsを指導できるのは、発音指導法をしっかり学んだ講師だけなんです。
私たちが「日本語が話せる=日本語の音声をどう発音しているか知っている」わけではないのと同じように、「英語が話せる=英語の音声の発音指導法を知っている」わけではありません。
カタカナ発音を英語らしい発音に修正するために、どのように指導したらよいか、どういう間違いをしやすいか、どこに気を付けてあげたらよいか、などを発音指導法講座のトレーニングの中で講師自身がしっかり理解し体感することで、「なんとなくこんな感じ」ではなく、子どもたちによりわかりやすい指導が出来るようになります。
日本語との対比で英語を教えられたり、同じ日本語ネイティブだからこその気づきや注意点を伝えられるのも日本人講師の強みかなと思います。
Rhymoe Phonicsをひとりでも多くの子どもたちに届けられるよう、私も今トレーニングを受講中、もうすぐ修了予定です。
英語を使う時、普段の日本語モードの自分とは違う、英語モードの自分に切り替える、ということは、もう一人の自分を作るようなものです。英語を学ぶ中で戸惑いや不安を感じたり、時には拒否反応を示してしまうのは、自我の発達の中で当然のこと☺︎
保護者の方と連携しながらそういった気持ちにも寄り添い、英語を柔軟に受け入れられる健やかな心と身体の成長をサポートできたらと思っています。
「リズム×動き×英語を文字につなげるフォニックス」どうぞお楽しみに♪