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もしも隣に座った人がPrisonerだったなら?:バリ島④

旅行先では、実にいろんな人に出会います。
普段の生活をしていたら、出会うことなんて絶対にない人に出会え、仲良くなれるのも旅の醍醐味です。

今日は、本当にびっくりするような経験をした人と友達になったよ、というお話をします。

この場でこんな話題を出して良いのかどうか、正直言ってかなり迷いました。

まだまだタブーなトピックで、間違うことを極端に恐れる日本では、社会の理解が全く得られない心配がありますが、だからこそ話題にしたいと思って書きます。

英語を自由に使って、いろんな人の生き方に触れたいなら、他の文化のプラスとマイナスの社会的背景まで理解しようと努力するも必要だと思うからです。

ということで、ちょっと長くなりますが、かなり興味深い話ですので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。

1週間のバリ島旅行が終わり、関空に帰る途中のこと。
クアラルンプール経由の便で隣に座っていた30歳くらいのオランダ人男性がニコニコしながら話しかけてきました。

Timという名の彼、とってもフレンドリーだったので、挨拶だけで終わらず、バリ島でのことや、自分たちのことについて話していました。

彼はセールスの仕事をしていたのですが、今は仕事をしていなくて、東南アジアの国をいろいろ一人で旅しているのだとか。

私:
Are you a digital nomad? 
デジタル・ノマドなの? 
Tim:
No. I am just in between things.  
そうじゃないんだよね。今、ちょうど中間地点にいるみたいな感じなんだ…
私:
Okay. 
そうなんだね。

(しばらくして)

Tim:
Actually, I was in prison in the Philippines… I just got out…
実は、フィリピンの刑務所にいて…つい最近、出所したんだ…

私:
What???
え???

そりゃあ、仕事できないわな!って思ったんですが、それと同時に、いろんなことを思いました。

だって、元服役囚にどれだけの頻度で出会いますか?それも、そんなことを出会って15分も経たないのに打ち明けられるなんて、驚きません??

当然、反射的に「ぎょ!」ってしました。

でも、すぐに思ったのが
「打ち明けられるってことは、きっと罪がとても軽いか、無罪で投獄されたか、きっとどちらじゃないのかな?」
でした。

そこで、
私:
Wait a minute… You said you are from the Netherlands, where thigs are very liberal… Did you get caught using some illegal substances in the Philippines?
ちょっと待ってよ…あの自由で有名なオランダ出身だったよね?ってことは、なんか違法なものを持ってて捕まったとか??

Tim:
I was just stopping over in the Philippines from Thailand. I got stopped by the police there because I had a half a gram of weed in my backpack.
タイからフィリピン経由の便だったんだけど、リュックに0.5gの草が入ってて、それで止められたんだ。

そう、タイではOKなweedも、Zero tolerance完全禁止のフィリピンでは犯罪です。

オランダ人のTimは、ダメなのは知っていたのですが、個人使用で持っていたので、完全にうっかりしていたらしく…

私たちのように、フィリピンと同じく違法薬物への許容度がゼロの日本で生活していると、
「何考えてるの?常識でしょ?」
って思ってしまいます。

でも、オランダで生まれ育ち、いろんなことが個人の自由として認められる社会の「常識」が身についていると、それをすぐに全部変えることは難しいし、「うっかり」も当然出てきます。

私は使ったことがないので詳しくはわかりませんが、調べてみたところ、大麻0.5gは、個人使用の1本分程度。
紅茶の葉で考えると、小さじ1杯分が2gなので、それの4分の1の量が0.5g。
0.5gは一人が1日で簡単に消費する量のようです。

カナダも大麻の使用は許可されている国なので、街中にたくさんカナビスショップがあります。

他の国や地域では、犯罪に値しないどんなに軽微なことであっても、それが許されない国で間違えてしまうと、Timのように大変な目に遭ってしまうんですね。

そのまま逮捕され、争うよりは有罪を認めた方が早く解決できるという弁護士の勧めで、そのまま12か月服役したそうなんですが、彼の不注意が原因ですが、彼の人生のうちの18か月間を奪い取られるというのは、本当に気の毒だと思いました。

もしも、自分が無実の罪でそんな境遇になってしまったら、自分はどうやって苛立ちや、悲しさ、すべてを奪い取られたくやしさ、自分ではどうすることもできない無力感に立ち向かうのだろうか?と考えさせられました。

しかも、フィリピンの刑務所は劣悪な環境で知られています。

Timによると、刑務所では、30平米ワンルームアパートの狭さのところに、60~80名が押し込められて、寝起きをさせられるとか。

釈放後も、さらに強制送還されるまでの6か月間は留置場のようなところに入れられて、そこでは汚職がひどくて、わいろを渡さないと審査を進めてもらえないなんてことは日常茶飯事。
ひどい体罰もよくあったそうなんです。

この時点で、私は元服役囚が隣に座っていて怖いという気持ちは全くなくて、いたって普通の人であるTimが、小さな過ちを犯したことでどれだけ大変な生活をしなければいけなくなったのか、そんなSurrealになってしまった人生の中で、「人」の見方がどのように変わったのかに、すごく興味を感じました。

私の知っている日常とはあまりにもかけ離れていたので、たくさん質問をしました。

刑務所では、37人の命を奪った殺人犯の隣で生活したこともあったとか。薬物中毒で、普通ではない目をしている人もいたり。
麻薬カーテルのメンバーで、やってきた犯罪は凶暴だけど、家族が面会に来たら、とてもやさしいお父さんだったり。

今まで友達だと思っていた人から、パタリと連絡が途絶えたり。
でも、今まで疎遠だった元カノたちが心配してくれて、ずっと連絡をくれたり。
犯罪を犯して捕まった人でも、とてもやさしかったり。
何か特別なものを外から調達するときには、周りのみんなの分まで準備すると、仲間が増えたりとか。

「まるで映画”ショーシャンクの空に”みたいなこともあったよ」
と教えてくれました。

あまりに非日常な経験なので、
「本を書いたらいいのに!」
というと、
彼の逮捕事件は、オランダでも報道されていて、オランダ政府も彼を連れ戻そうと努力していて、本国でも話題になっていたそうで、出版社からもいくつかオファーを受けているんだ、そう。

「じゃぁ、書きなよ!みんなが読みたがってるんだから!」って私が言うと、
「書いたらいいのはわかってるんだけど、なかなか始められなくって…」
というTim。

おせっかい&習慣化の鬼(笑)&先生を25年やっている私は、
You write one sentence today.
You do that every day until it becomes a habit.
今日1文書きなよ。習慣になるまでそれを毎日続ければいいんだよ!

って、週2回ブログ(note)を続けてて、それを習慣化するまでの話をしました。
そして、習慣にできるように、
私:I will send you messages to make sure you are doing what you are supposed to be doing.
やるべきことをちゃんとやってるのを確認するために、私があなたにメッセージを送るよ!

というと、連絡先を教えてくれました。

Tim:
When I finish my book, I will write about you as a person who really encouraged me to write, Eiko!
本が完成したら、書くように強く勧めてくれた人としてEikoのことを書くね!
って言ってくれました(笑)

私:
When you finish your book, that will encourage me to write my own book. So write your book for my future book, too!
Timが本を完成させたら、それって私が自分の本を出すんだよって、めっちゃ勇気づけられるよ。だから、私の未来の本のために書いてね!

ということで、Timの本のためにも、私の未来の本のためにも、私は毎週のようにTimに本の進捗確認のメッセージを送っています(笑)

Timは、まだカンボジアやラオスなど東南アジアを旅行中なので、なかなか落ち着いて書くことはできてないそうですが、ちゃんと返事をくれるし、書かなきゃ!とは思ってるようなので、このままおせっかい&辛抱強いEIKOは、メッセージを送り続けようと思います(笑)

旅行先では、本当にいろんな人に出会いますね。
そして、怖がらずに勇気を出して話してみると、いろんな世界が見えてきて、日常ではもたらされないいろんな気づきに出会えるものですね。



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