どうして中高6年間も勉強して英語ができないのか
皆さん、英語できますか。
今回はよく言われるどうして日本人は英語が出来ないか、問題です。
この問いがスタートになって、英語教育の見直しが行われたりと大きなトピックです。でもひとつの理由で答えが出るような問題ではありません。詳しくみていきましょう。
そもそも英語が出来るとは何?問題
仕事でスムーズに使いたい
日常会話くらいしたい
道案内を出来るようになりたい
すらすら話せるようになりたい
映画を字幕なしてわかるようになりたい
海外旅行で困らないようになりたい
よくある英語が出来る、はこのあたりでしょうか。
英語が出来ると一言で言っても、人によってかなり違いがあります。仕事で必要な英語力は人それぞれですし、日常会話ってそもそも何でしょう。日本語でするように雑談するイメージを持つ方が多いのですが、雑談を外国語でするのはかなりハイレベルです。トピックがその場で変わって事前知識が使えませんから。道案内の英語は学校で学ばないでしょう。逆に表現さえ知っていれば短い期間ですぐ上達する項目でもあります。海外旅行ではどこまでを求めるかにもよります。ホテルやレストランのトラブルを思い浮かべるかもしれませんが、そもそも海外での接客レベルが日本では珍しいものなので、同じことが日本で起きても泣き寝入りする人も多いでしょう。純粋な英語力ではない可能性も高いです。字幕なし映画はTOEIC満点でも普通にわからないところがたくさんあります。
このように英語が出来る、の範囲が広すぎることが問題1です。
学校英語教育について期待値高過ぎ問題
なぜか、6年間の学校教育で語学を習得出来る、という考えが前提になっています。
他の教科では言われることがないのにです。
数学も6年間してきましたが近所の公園の面積を計算出来ますか。国語を学びましたが、日本文化について論文を書いてスピーチ出来ますか、社会を学びましたが各県の主要生産品について把握していますか、理科を勉強しましたが冷蔵庫の仕組みは知っていますか。
経験にもよりますが、ほとんどの人が出来ないと思います。でもなぜか英語では出来ることを求められます。
日本人が英語を習得するには約2000時間が必要と言われていますが、学校教育では半分も足りません。小学校で150時間、中学校で350時間、高校で100~500時間(学校によってカリキュラムが違う)とされています。高校卒業までに英語を習得していないのは、当然です。
話すためのスキルを最優先していない問題
基本的に英語ができないことが話題になるときは話す能力が問題になると思います。でも日本の英語教育は話すことに焦点が強くおかれていないです。
今の指導要領は4技能をバランスよく、となっています。それ以前はまずリーディング特化、その後リスニングが加わりました。でもまだ4技能バランスよく、です。会話力特化ではないです。以前ネイティブの友人に聞きましたが、アメリカの平均的な高校生は日本の難関大学に出るような単語は知らないものが多いのでは、と言っていました。3000語あれば通常使われる英語の90%以上をカバー出きるというコーパス研究もあります。
私自身は4技能を高めることに賛成です。しかし、一般的に考えられる「英語が出来る」と指導要領で設定しているゴールはまだ隔たりがあるのでは、と思うのです。
例えば語彙と読解のハードルを下げて、「3000語で中学英語文法を使って話すこと」に6年間を全降りしたらスピーキング力は上がるでしょう。一方で難関大学で求められているような、論文を読み取る力は下がるので科学研究力は下がるかもしれません。このあたりのトレードオフは選択になるでしょう。
今日は学校教育と英語習得について3つの問題をお話しました。
個人的には中高6年間で全員が英語を習得することは期待しずぎで、その必要もないと思っています。個々人が必要に応じてスキルを高めていけばいいし、語学を習得しようと思うと学校以外の自習はしなければならないと思います。
一方で必要になった時にスムーズに学習出来るように学校教育で素養を育てておくことはすごく大事だと思います。学校教育が地ならしであり、種まきであり、植木鉢で育てる役割で、外の世界への準備期間になるといいのではないでしょうか。
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