何かが飛んでいる家
高校時代、山岳部の合宿での話です。
その日の宿泊は山の麓にひっそりと佇む廃屋的な家でした。6畳ほどの部屋が2つ、4畳ほどの部屋が一つある平屋です。
電気も通っていないため、夜は真っ暗です。近くには小さな川が流れていてザーッと水の流れる音がしています。
暗い中での晩飯も終わり明日の登山のミーティング。ミーティングが終わるとトランプなどのまったりタイムです。そして21時位には明日の登山に備えて早めの就寝。いつものルーティンです。
深夜に金縛りに遭い目が覚めました。
疲れなどによる金縛りなどもちょくちょくあったのですが、その日の金縛りは明らかに違いました。なんとなくですが、霊的な金縛りと疲れによる金縛りって見分けがつきますよね?
ギューッと体が締め付けられ全く身動きできません。
目を開けると、部屋の中を無数の何かが飛んでいます。大きさ的にも虫ではなさそうです。その時は怖さよりも何だろうという感情が勝っていて、ジーッと注視します。
顔みたいなものでした。
部屋中を無数の顔みたいなものが飛び回っています。それが分かってからは恐怖しかありません。身動きもとれないし、気づかれるのも嫌だったので必死に耐えました。まぁ、金縛りに遭っている時点でばれているとは思いますが・・・。
しばらく失神しそうなくらいの恐怖に耐えていると、突然天井が明るくなりその瞬間金縛りが解けました。
光の正体は、隣の部屋から先生が照らした懐中電灯の明かりでした。なぜ夜中のあんな時間に私たちの部屋を照らしたのかは分かりませんが、先生も何か異変に気づいたのかもしれません。
金縛りが解けた私は先生の所へ這っていき、今までの事を話すとこっちで寝ろとの事だったので、朝まで先生達の部屋で寝ました。
一緒に寝ていた他の3人はまぁどうなってもいいので、そのまま起こさず放置したわけですが、翌朝確認すると、珍しく他の3人は爆睡していて気づいていないようでした。
あれは一体何だったのかは分からずじまいです。