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取締役自ら育休を取得した理由とは?仕事とプライベートを両立し続けられる組織へ

2022年7月、第一子の誕生を機に育児休暇(以下、育休)を取得し、育児と仕事の両立に奮闘している取締役兼テクノロジー本部長の瀬川さん。

お子様の誕生と新会社設立のタイミングが重なる中で、育休取得することになり「正直に言えば、今休んでもいいものか悩んだ」と言います。

本記事では、瀬川さんに育休取得を決断した理由や育休中の過ごし方、育休によって得られたものをお聞きしました。

瀬川 順弘(せがわ・としひろ)
東北大学経済学部卒業後、株式会社マクロミルに新卒入社。
リサーチ事業の企画・営業として売上拡大に貢献し、全社MVPを受賞した。その後は「リサーチを含め、包括的にクライアントの課題解決を支援したい」という考えから、ソリューション開発などさまざまな取り組みを経験。コンサルティング事業をマクロミル内に立ち上げ、売上・組織拡大を牽引してきた。事業部の法人化に伴い、2022年7月、新会社エイトハンドレッド(以下、800)の取締役に就任。

会社が後押ししてくれた「創業初期」の育休取得

ー本日はよろしくお願いします。まずは、瀬川さんの現在のお仕事を教えてください。

現在は取締役兼テクノロジー本部の本部長として、エンジニアのマネジメントやテクノロジー案件のプロジェクトマネジメント、新規開拓などを担当しています。

また、労務・法務・総務・人事・経理・財務といったコーポレート全般も業務範囲です。外部コンサルタントと協力しながら、責任者として全体を見ています。

ー多くの役割を担われている中で、会社立ち上げ期の育休取得に不安はありませんでしたか?

すごく不安でした(笑)。

男性の育休取得も当たり前になりつつある世の中ですし、家族のことを考えると育休は取りたいと思っていました。法人化前のコンサルティング事業部時代から男性社員の育休取得が比較的多く、人生の先輩たちの選択に「自分もそうありたい」という気持ちもありました。とはいえ、会社立ち上げ時期に取るべきかはかなり迷いましたね。

ー最終的に育休取得を決断されたわけですが、決断の背景を教えてください。

当初は、やはりこのタイミングでは厳しいかもしれないと思い、こればかりは仕方ないねと夫婦で話していました。そんな時に、代表の大畑から「育休期間は早めに言えよ」と、育休取得を前提に声をかけてもらったんです。その言葉に背中を押されました。

事業部時代から続く「男性も育休を取得しやすい文化」を、取締役である私が止めるのは良くないとも思ったんです。社員の育休取得を推奨する立場として、むしろ取っておくべきだと決断しました。

ー以前から男性も育休取得しやすい雰囲気があったんですね。文化の醸成に影響を与えた出来事があったのでしょうか?

まだ組織が小さかった頃、育休を取る社員がいて、休み前に「なぜ育休を取るのか」をプレゼンしてくれたんです。仕事は大切であるとしながら、今の自身の家庭環境や育休に対する考えを言語化し、発表してくれました。

当たり前ですが、育休はただ休むわけではありません。しかし、立場が変われば見え方も違ってしまうのも事実です。私自身も結婚する以前や子供が生まれるまで「育休はお休みできていいな」程度にしか考えていませんでした。

なので、一緒に働いている人たちに納得感を与えてから、育休に入ってくれた彼の影響はすごく大きいと思います。私も今回の育休前に、少しメンバーにお話をする機会を設けさせてもらいました。

また、800にはママさん社員も数名在籍しています。やはり彼女たちの育児に関する理解はとてもありがたいです。積極的にフォローに動いてくれたりするので、その存在には非常に助けられていますね。

ー実際に育休取得に向けた引き継ぎはスムーズでしたか?

そうですね。妻が安定期に入ってからは、周囲に育休期間を周知して、徐々にアサインの調整や不在にする1ヶ月間の権限委譲を進めました。

800のメンバーは、日頃から「万が一、自分が動けなくなった時にもきちんと引き継ぎができるように」という意識を強く持っています。業務マニュアルなどの各種資料をクラウド上に保管し、誰かが抜けてもそれらの資料を読めば、なるべくほかの人でも仕事を進められる状態を作っているんです。

同時にマインド面でも「誰かが大変な時はみんなで助けよう」という空気感を感じます。

まずはルール決めから。最大限家族のためにできることを


ー1ヶ月の育休期間はどのように過ごしましたか?

妻がメインで子どものことを見てくれていたので、私は買い出し・料理・洗濯・掃除・食器洗いなどの家事を担当していました。そのほかにも来客の対応や内祝いなどは私がするようにしていましたね。

結果、育休前は「仕事のことを考えてしまいそう」と思っていましたが、まったくその暇はありませんでした(笑)。

ー育休中の家庭内ルールみたいなものはありましたか?

まず第一には、自分たちがキツくならないようにすることですね。

仕事もそうですが、辛くなるのが一番良くないです。無理せず、頼れる時は人にもお金にも頼るようにしていました。料理だってラクしたいですから、冷凍食品をうまく使ったり、一度に量を作って小分けにしたり。あれってすごく頭使うんですよね。

また、子育てに時間は関係ないということで、子どもの世話を、妻との二交代制にしました。

日中は妻が子どもを見ているので、22時過ぎに就寝してもらいます。そこからは私がバトンタッチして、夜泣きの際にはミルクをあげたり、抱っこしてあやしたり。朝の6時ごろには妻とまた交代します。朝ごはんは家族で一緒に食べて、そのまま昼までは私が就寝。起床後はお昼ごはんを作って、掃除や買い出しなど家事をして過ごすのが一日の流れでした。

特に気をつけたのは、コロナ対策ですね。親戚にも子どもと会わせてあげたかったので「うちに来るためのルール」を整備しました。

「①長時間滞在しないこと」「②一緒にいる時に食事はしないこと」を大原則に、自宅に来てもらう前に抗原検査キットを郵送して検査してから来てもらったり、私たちも迎える側として検査したり。

この辺りは徹底しないと、親戚も逆に気を遣ってしまうと思ったので「うちはこういうルールなのでお願いします」と双方の親戚にお願いしました。

育休明けからが本番!家事分担や保活、やることは盛りだくさん


ー育休後に復帰されてから仕事の仕方に変化を感じることはありますか?

朝型になりましたね!子どもに合わせて早めにお風呂に入って、 寝かしつけをすると自分も眠くなってしまって……。その代わりに、早い時には朝4時半に起きて仕事するようになったんです。昔はかなりハードな夜型人間だったので、真逆の健康生活を送っています。

ー育休中は家庭内でしっかりルールを整備されていたと思うのですが、育休後に家庭と仕事を両立させるためのルールは設けていますか?

そうですね。子どもが生まれる以前からそうしていましたが「家事は夫婦で半分こ」は継続しています。

あとは、子どものお風呂は私の担当にして、お風呂の時間が彼女のリラックスタイムになるようにしていることでしょうか。私にとってのお風呂は「洗車」の時間に過ぎず、一人でのんびりという必要はありませんので(笑)

ー家庭と仕事の両立で欠かせない保育園ですが、かなりこだわったとか……。無事に保活は終了したのでしょうか?

おかげさまで先日、無事に終了しました。

保育園を26施設くらい見学して、それぞれの比較表を作成。一つひとつに点数をつけていきました。毎日のように家族会議をして、希望の施設を順位付けしたところです。

前提として自宅に近いところがいいなと思いつつ、もっとも重視したのは子どもへの接し方。主観が入るポイントではありますが、見学の時の様子をじっくり観察したり、運営会社に問い合わせたり。妻が保育園の散歩の様子を見ていたこともあります(笑)。

実際には入ってみないとわからないこともあるんですけど「できる限り情報を集めよう」という話をしていましたね。

仕事の誇りと休める環境のバランスが良い組織を考える

写真左:瀬川(話し手)、写真右:西村(聞き手)

ー瀬川さんにとって、育休はどんな機会でしたか?

家族の気持ちに寄り添う良い機会になったと思います。仕事をしながらとなると、自分にも余裕がなくなり「育児疲れ」を共有することができません。育休期間中、家族のことに全振りできたからこそ、気づけたことは多いと思います。

また、単純に夫として家事・育児のスキルが上がったので、今後も仕事をしながら育児をするにあたっての土台作りにもなったかなと(笑)。

さらに、会社を俯瞰して見る機会にもなりましたね。社内にいると、どうしても目の前のことに追われがちになるので、外から組織を見ることができた、有意義な時間でした。

ー今回の育休経験によって、今後の組織運営に反映させたいと思うことがあれば教えてください。

今後も育休取得は、全面的に推奨していきたいと思っています。もちろん、取らないという選択も尊重しますが、取ると決めたら全力でサポートできるチームでありたいです。

組織において誰かが突然いなくなるということは、必ず起こり得ます。育児や介護、自身の体調不良。そんな時にみんなが安心して「休んでも大丈夫」と思える組織作りの大切さを、あらためて感じています。

一方で「休める=誰にでもできる仕事」というわけではありません。自分の仕事に責任や誇りを持ちつつ、休むべき時には休める状態を両立させていく。そのためにはどうするべきか、考え続けていかないといけないと思っています。

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