#2 映画『命乞いコレクター』のテーマとは?
前回のログラインに続きぶっちゃけましょう。テーマ、苦手です!
そもそも言葉にできない感情の変化や人物の関わりを描きたくて映画や舞台という恐ろしく面倒臭い物を作っているのに、伝えたいことをまとめろと?
大事なのは分かります。テーマはこれです!と言い切れた方が資金繰りもいくらかスムーズだろうし、スタッフ&キャストの気持ちを一つにしやすいし、宣伝も分かりやすく作れるでしょう。シンプルは強い。
ただまあ作ってる本人は題材に近すぎて、これが何の話なのか言語化するのに必ずしもベストパーソンとは限らないと思うんです。例えば:森の中にいる人は、目の前に変わった植物があって、危険な動物がいて、水分と食料を探していて、夜が怖い。その人が自分の状況を説明しようとすると何が大事な情報なのか判断が難しい。でも、外から見てる人は「森で生き延びようとしてる人ですね」と簡単に言える。
従ってテーマは、脚本理解力のあるプロデューサーが言葉にしたらいいんじゃないでしょうか。いや僕も頑張りますよ、頑張りますけどね。
さて、前置きが長くなりました、『命乞いコレクター』のテーマはきっとこんな感じのことです:
死を目前にすると生きたい理由を言葉に出来る。
人は、あらゆる言い訳を並べて、大事なことを後回しにする。
しかし「あと半年の余命です」などと言われようものなら、仕事をやめて旅行に行き、タトゥーを入れてスカイダイビングをする。
「やることリスト」ではなく「やりたいことリスト」が見えてくるのだ。
「あと1週間の命です」となれば、仲違いしていた友人や家族に連絡を取り、言えなかったことが言えるようになる。
死を目前にすると、否応なく、大事なことがハッキリする。
では、銃口を向けられ「あと3分の命です」と言われたら、
人は、あなたは、どんな行動に出るのか?
この映画は「命乞いを集める殺し屋」が主人公という設定上、様々なターゲットが命乞いするシーンがあります。最初はちょっと残酷に感じるでしょうが、人間は良くも悪くも慣れる生き物、次第に「次はどんな命乞いを聞けるだろう?」という見方に変わっていくはずです。
その楽しみ方は、このパンクブーブーさんの漫才でちょっと味わえます。
いかがでしたか?「次はどんな命乞いが来るかな?」ってマインドになったでしょう?その先には「自分だったらどんな命乞いをするだろう?」という問いが控えています。これって結構いい質問だと思いませんか?
命乞いって何だろう?
命乞い、命乞いって何度も書いてるうちに「そういえば命乞いってなんだろう?」とプチ・ゲシュタルト崩壊が起きました。しばらく悶々としたのち、ピンと来る定義が浮かびました。
命乞いとは:究極のプレゼンである。
・自分にはこういう価値がある。
・生かしてくれれば、あなたにこういうメリットを与えられる。
・自分にとって大事なものがある。
ここら辺のことを、文字通り命がけで訴えるわけです。「何もしなければ殺される」というルートをひっくり返さなければならない。否応なしに頑張ります。そして観客は、頑張る登場人物を見るのが大好きです。
あなたなら、どんなプレゼンをしますか?
あなたには、どんな価値がありますか?
あなたが生きていることで、周りにどんなメリットがありますか?
あなたは、何を大事にしてきましたか?
結構厳しい質問ですよね。僕だったらなんて言うかな・・・。
と、こんなふうに振り返れたとしたら、それはテーマって呼べるんじゃないでしょうか。
この企画を実現したいというプロデューサーさん、連絡待ってます!
次回予告
前回の予告で「登場人物を紹介します」と書いたような気がするんですが、結局しませんでしたねw 次回こそします、紹介。
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