旅はバスで、か徒歩で

もっとずっと若かった頃、車に乗る事がとても楽しかった。
むろん、今でもその気分は残っているけれど、やっぱり仕事となるとそうはいかない。
仕事であっても、見知らぬ所を走るのはおもしろかった。
高校を卒業して、川崎の溝ノ口にあった専門学校に入り映画科を専攻して、一人暮らしをしていた頃、東京は点としてしか把握していなかった。渋谷とか新宿とかの駅周辺しか知らなかったからだ。
専門学校を卒業して、いったん実家に帰って免許をとり、夏に北アルプスの山小屋で働いて金が貯まると、それでまた東京に出た。それで、2トントラックの運転手で働いた。点と点が繋がり東京が面になっていった。それが楽しかった。
そういえば、小さい頃は父の運転する車の助手席に乗せてもらい、小諸や臼田辺りへ行くだけでもわくわくして、ずっと外を眺めていたものだ。

自分で運転するしないにかかわらず、これまでに車でずいぶんといろんな所を通り、景色を見てきたと思う。外国へも行ったし。
2000年には、オーストラリア、タスマニア島を車で一周。
アメリカはわりといろんな所を見てきたと思う。
初めて行った'91年はロスからカナダのウィニペグ、'92年はロスからソルトレークシティ、さらにアルバカーキからNY州のアルバニィ、
'01年はロスからミネアポリス、ミネアポリスからアルバニィ、
そして2006年はロスからサンフランシスコとオクラホマシティからロス、 それぞれグレハンバスで。

'01年にはバスだけじゃなく、自らレンタカーでアリゾナを走った。
ロスで車をかりそこから出発してラスベガス経由でナバホ居留地へ、それから、キャニオンデシェイ、モニュメントバレーとまわりフラッグスタッフに戻り、帰りはセドナを通ってフェニックスからロスに。
その後、ミネソタのデニスバンクスの家をたずねてから、ベミジからサウスダコタのバッドランド、ウーンデッドニィへも行った。そこからまたミネソタ州のベミジに戻って、グレハンバスに乗った。

仕事でないドライブは特に楽しかった。
さらにいうなら、飛行機にのる機会も増えて、私の見聞はより広がっていった。電車をつかった旅行はわりと少ない。
60歳をとうに過ぎて、海外への飛行機搭乗も、なんかすっかり新鮮味が薄れてしまっている、と思う。

私の初めての海外旅行は、インドからネパール。8000峰の麓のトレッキングだった。
カトマンズからポカラへバス移動。ポカラからトレッキング。ジョモソンルートといわれるコースで、奥地ムクチナートへ。
まさに、自分の足で歩くしかない旅だった。


なんだか、そんな歩く旅をまたむしょうにしたくなってきている。

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