『クランクイン』と相場英雄
機本伸司(2002年『神様のパズル』で第三回小松左京賞受賞)
『ぼくらの映画のつくりかた』は、自主制作映画グループの奮闘ぶりだったのだが、この『クランクイン』は、プロの内情が書かれている。
広告会社の(映画好きの)新人社員が、その会社がリードして作ることになった映画の監督に指名されて、さぁ~~~ど~~なる・・?という内容で。しかも、その指名にはいわくがあった!と後になって判るといった謎解きの要素もあって、これまた、アルアルがリアルだったりする。
けっこう面白かった!
相場英雄という作家は、全然知らなくて、検索してみたら、経済ものを書いているようで、この小説はこの作家にとっては異色作みたいだ。
けれども、他の小説も読んでみたいと思えた。
『クランクイン』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1976170529&owner_id=3672419
が面白かったので、その他の小説も読んみたいと思って。
Amazonで検索して、先ずは『KID』を買って、読んだ。
その後に、ブックオフで相場英雄の本があったから、『共振』と『震える牛』(こちらは小学館文庫本)を買った。
相場英雄は、時事通信社の経済部記者時代に、経済漫画の監修をした際、物語を創る面白さを知ったそうで、2005年に『デフォルト 債務不履行』で、第二回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞して作家デビュー。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B8%E5%A0%B4%E8%8B%B1%E9%9B%84#%E7%B5%8C%E6%AD%B4
経済小説は勿論だが、BSE問題を扱ったもの(『震える牛』)や東日本大震災後の復興支援策に纏わる殺人事件を描いたもの(『共振』)などがあって、事件ものの作品がほとんどで、そういう作家の小説の中で、『クランクイン』は明らかに異色作、と言える。
私は、その『クランクイン』から読み始めているのだけど。
『KID』も、異色作と言える方だろう。
主人公が元自衛隊員、しかも選りすぐりのレンジャーだったのだから。
作品リストの出版年時を見てみると、『KID』が一番新しい、様で。
『クランクイン』から4冊読んでみただけだけど、この作家の小説を、今後も注目していきたいと思っている。
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