![原稿用紙一枚でなにが書けるか_](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/14536493/rectangle_large_type_2_d0d591d52ee09e6bbe86be0aab72ca73.png?width=1200)
400字作文 11枚目
ノアの箱船
天の底が抜けたような大雨が始まった。ノアと家族たちは箱船に乗り込んで無事だったが、洪水は地上のあらゆる陸地を飲み込み、箱船に乗り込んだ者たち以外、人間も動物もすべてが死に絶えた。
洪水が終わり、箱船を出たノアの家族は、農夫として荒れ果てた土地を耕し始めた。だがノアは間もなく畑を放り出し、酒に溺れるようになる。荒れた土を掘り起こせば、そこかしこから洪水で死んだ動物や人の遺体が見つかるのだ。それがノアを苦しめる。
洪水では、親しくしていた人たちも皆死んだ。彼らは良き隣人だったが、神の目には正しくない者だったらしい。だがノアにはその違いが、正直良くわからないのだ。
ノアはしばしば酔い潰れ、自分と子供たちの未来を呪った。洪水後三五〇年を生きた彼は、自分の運命と和解できただろうか。