往復書簡・映画館の話をしよう「映画館で寝ること①」(大浦奈都子)
山口さん、「子ども時代の映画館」のお話、ありがとうございました。
『震える舌』わたしも怖くて未だに観られないんです!シネマスコーレの支配人・坪井さんのトラウマ映画でもあるらしく・・・あれだけたくさんの映画を観てきた人から、唯一見返せない映画として何度もその話を聞きました。話を聞くだけで怖い。なかなか観る勇気が湧きません。
映画の予告編って本当、ぼーっとしていたら突然襲いかかってきたりするから要注意ですよね。たまーにスコーレにも小さなお客さんが来て「この予告、大丈夫か・・・?」と思ったりしますが、それはそれで思い出、というか新たな映画に興味を持つ入り口になってくれたりしないかしら・・・と心の片隅で願っていたりします。
さて、「映画館で寝ること」ですね。
まずわたしはというと、映画館でよく寝ます。
映画がつまらなかったことを表現するために貶す言葉として「寝た」が使われることがあると思うのですけれど、わたしはむしろ、つまらないと寝られなくなります。「つまらない」とか、「ひどい!」と思っているとかえって感情を掻き立てられるのでしょうか。
あと静かな映画、あれも寝ません。
わたしの場合、派手な場面が続いたり、会話劇だったりすると疲れて眠くなっちゃうんですよ。スーーっと眠りに入るのではなく、「あ、もうこれは限界だぞ」と実感して、「ごめんなさい、少し寝たら元気になってまた観ますから」と勝手に映画に謝って寝るのです。
そういえば10年前、なぜかどんな映画を観ても寝てしまう時期がありました。忙しい時期だったから疲れていたのかなぁ。「ああ、今日は寝ないでいられるかな」と、毎回試練です。
ある日の名演小劇場、大学を卒業して初めて一般(大人)料金(1700円か1800円だったかな)を払ったとあるヨーロッパ映画。若者たちが走っているオープニング、それを観た瞬間からスーーっと眠りに入り、気づいた時にはラストシーン。悲劇の結末を目にしました。
・・・ついに映画丸々1本分寝てしまった。
しかも、一般料金を払って大人の階段を登ったつもりの記念すべき日なのに。流石にその時は落ち込みましたが、今もオープニングとラストシーンが記憶にしっかりとこびりついているんですよね。あれはあれで、映画館の体験として印象深き思い出なのです。
映画館は当然映画を観にくる場所であるけれど、寝てしまったことも含めて映画館という場所をまるっと楽しみたい。それがわたしの映画館に対する思いです。
だから、お客さんが寝ていても全くもって問題なしです。
当たり前のように映画には、人によって合う/合わないがあるので、全ての映画鑑賞が実りあるものでなくても良い、なんて思っております。
特に昔は映画館が働く人々の休憩の場でもあり、寝にくるサラリーマンとかよく居たみたいですしね。流石にイビキやひどい姿勢だったりすると困ってしまいますけれど・・・。
あとわたし、どれだけ寝てもエンドロール前には必ず起きるのですが、あれ、なぜなのでしょうか?
山口さんはエンドロール後まで寝ちゃったことはありますか?
わたしの場合、仕事でたまーーーに灯りがついても爆睡しているお客さんを起こすことがあります。そのエピソードはまた次回!