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往復書簡・映画館の話をしよう「映画館とチケット③」(大浦奈都子)

山口さん、チケットを捨てる派でしたか。

何でしょう、何なんでしょう、何故わたしは、ちょっとしたショックを受けているのでしょう。あれですよ、山口さんを否定したい気持ちなんて全くないですよ!?むしろ理解できるんですよ!?わたしの、チケットに対する執着にびっくりしているんですよ!チケットが捨てられる情景がいくつも浮かんできて、勝手にしんみりしているわたくしです。
ほら、山口さんの「映画館での流儀」でCMについてのお話あったじゃないですか。とっても真剣にCMを見る山口さんと、全く見ないわたし。山口さんにショックを受けさせてしまったじゃないですか。ああ、こういうことか・・・と、山口さんの気持ちを想像しております。

なんて御託を並べつつも、お手紙とても面白く拝読しました。普段は捨ててしまうけれど、それでも捨てられないチケットのお話にキュン。
「すぐ捨てよう!」と決意した瞬間のお話にも頷きます。あまりに部屋が汚くて「よし、断捨離だ!」と急に思い立つ時と似ているような気がします。

あと、前売券のお話もありましたね。
山口さんのおっしゃる通り、前売券は「この映画を絶対に見てもらえる」という約束手形。
興行を行う上で「前売券がどれだけ売れたか」が上映回数を決めるバロメーターになることもあり、そういう意味でも大切なアイテムなのです。整理番号制でチケットのないシネマスコーレでは、お客さんが唯一、鑑賞の思い出として持ち帰られる物質でもありますしね。

しかし最近、紙の前売券はずいぶん減りました。
ムビチケカードやデータのムビチケが主流になって、受付でもぎったり、はさみで切ったりする紙の券は絶滅危惧種。「前売券って何ですか?」と、その役割を尋ねられることも増えて来ました。

前売券の良いところって、まずは当日券よりかなりお得!チラシとは違った柄が使われていいたり、さらにおまけが付いていたりすることもあるでしょう?実際ポストカードとか部屋に溜めているだけであんまり飾らないのに、貰えるとわくわくしちゃう性分のわたくしです。だから販売する時もおまけが付いていると気分が上がるのです。

そうそう、映画館には前売券マニアという人たちが居りまして。
毎週のように劇場にチェックしに来ては、先週とほとんど変わっていない前売券売り場をじっくりチェック。どうやら彼らは、前売券がある映画しか観ないようです。一体なぜ?

たまに前売券のない映画を観ることもあるけれど、溜まったスタンプカードで無料鑑賞するという徹底ぶり。「点線からはみ出ないように切ってください」という緊張する要望を出す人、一度汚れが付いてしまった時に激怒してきた人も居ました。でも「新しいものに変えますよ」と差し出したら、バツが悪そうに謝ってきました。こだわりは時として、人を狂わせるのですね。

わたしはというと、買っておいた前売券を忘れ、当日券で再びお金を払ったショッキングな体験から、ほとんど買うことはなくなりました。使われなかったチケットはもちろん捨てられず、大掃除のたびに対面しては、あの時のショックを思い出すのです。

以上、「映画館とチケット」でした!

さて、次のお題です。「映画館のロビーにて」でお願いします!

この往復書簡をはじめていつの間にか半年が経ったようです。山口さん、いつもありがとうございます!これを読んでくださっている方々、何か良いお題があったら、教えてくださいね。

追記:THE HIGH-LOWSの「映画」という歌、ぜひ聞いてみてください。映画というタイトルで、映画館のことを歌っていてとても好きです。


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