往復書簡・映画館の話をしよう「映画館と匂い③」(山口雅)
「映画館と匂い」3回目です。大浦さん、ありがとうございます。
「隣の人の香水で映画に集中できない」のは、まさに大浦さんの状況だったのですね・・・! ちっとも知りませんでした。
ポップコーンの香りと塩気で頭痛が起きるだなんて、鈍感な私にはちょっと信じられない話です。嗅覚が鋭いのも大変なんですね。
匂いに悩まされたことがない私が言うのもなんですが、匂いが最も巨大なパワーを発する時というのは、各自の匂いが「混ざり合った時」じゃないかと思うのです。香水、飲食物、体臭など、さまざまな香りが混じり合うと「匂い」は「臭い」となり、最凶化する。臭いのトランスフォーマー。匂いが混ざり合う状況が起きるのは、やはり人がいっぱいの映画館場内。
昔の映画館って、人を限界まで入れましたよね。満席立ち見はそんなに珍しい光景じゃなかった。通路まで人が並び、各段差に座り、とにかくめいっぱいまで人で埋まっていました。
そうなると当然、いろんな匂いが混ざり合います。ドアをあけるとムンムンに満ちた体温や熱気と同時に、刺激的な臭いが鼻を突く。詰め込まれた人の数だけ、ひらいたドアに向かって渦巻く空気が一斉に押し寄せてくる感じ。人々の頭上にとぐろを巻いた臭いが目に見えるような気がして、私でさえも思わず後ずさりしたくなることがありました。
今は立ち見なんてもの自体がほぼないし、しかもコロナを経てますます劇場はどこも清潔になりました。そういう状況はよほどでない限り起きなくなったと思います。よくも、悪くも。
そう考えると、無味無臭な映画館というのもちょっと寂しくないですか?
「人がいるからこそ臭いが発生する」と考えれば、そんなに悪いものじゃないような気がしてきませんか??
うーん、でも現実問題、匂いに悩まされてる大浦さんにしてみたら「冗談じゃない」の一言かも。笑
いずれにしても、やっぱり匂いというのは、人が集まる映画館の風景と切り離せないものですね。
余談ですが、私、臭いのが意外と嫌いじゃないんですよ。例えばくさやの干物とか、牛舎とか、酷い体臭とかも、かなり大丈夫なほうだと思います。ギャー!と眉が寄りながらもまた嗅ぎに行っちゃうみたいな。人いきれ、キライじゃないみたいです。
さて次回! テーマは「映画館とチケット」でお願いします。
シネマスコーレはチケットの存在しない映画館ですが、近年は前売券もムビチケですかね。チケットについてのお仕事話や思い出話、お待ちしてます!
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